2016.05.23

ウディネの街を愛したストライカー…アントニオ・ディ・ナターレという生き方

ディ・ナターレ
今季限りで現役を引退したアントニオ・ディ・ナターレ [写真]=Getty Images
イタリア・ジャーナリスト協会会員。ミラノ在住。

 ウディネーゼの元イタリア代表FWアントニオ・ディ・ナターレが引退を決断した。15日のカルピ戦で78分から出場、80分にはPKを決めた。2009-10シーズンに29得点、11-12シーズンに28得点と2年連続で得点王に輝いた元イタリア代表は38歳となった今シーズン、16試合出場でわずか2ゴールと調子を落とし、3月末にクラブを去る発表をした。クラブのフロント入りする可能性が濃厚だ。

 ナポリ近郊出身のディ・ナターレのサッカー人生は、ちょっと変わっている。エンポリで徐々に才能を開花させ、2004年にウディネーゼに移籍。12年間で445試合出場、227得点という通算成績だ。出身である南イタリアから遠く離れた北イタリア、オーストリアとの国境にあるクラブがサッカー人生のメインとなった。ユヴェントスからのオファーもあったが、ディ・ナターレはこれを断ったと告白している。

ディ・ナターレ

ウディネーゼでは445試合出場227ゴールを記録 [写真]=Getty Images

 多くのイタリア人は故郷を大事にし、誇りに思う気持ちがとても強い。そんな中、ディ・ナターレはウディネに拠点を置き、一生過ごすつもりだ。それは家族の生活環境が整っていて、彼が街の人々から愛されている証拠だろう。「ウディネは愛する僕のホームタウン。僕が引退すると知った息子は、別の街へ引っ越すと思ったみたいで泣きじゃくっていた」と“ウディネ愛”を語っている。大学があるウディネはこぢんまりとした落ち着いた街だ。人々は穏やかで勤勉、また外国人に対しての偏見も少ない。ウディネーゼに所属した経験のある外国人選手は、サッカー界を離れてから再び戻ってくるほどだという。そして街の規模にすると美味しいレストランも多い。

 ジャンパオロ・ポッツォ会長は試合前日、スポーツ紙1ページを使ってメッセージを伝えた。「クラブ史上でディ・ナターレは最強の選手。彼のスタイルは美しいサッカーへの讃歌だ。そのプレーは我々フリウリのチームに、クオリティーとインテリジェンスを与えてくれた。サッカー選手として、一人間として、君がいないと寂しくなる」。最大の賛辞だった。カルピとの最終戦ではスタンドで「(ウディネのある)フリウリ州にやってきて王者になった」という横断幕が掲げられた。試合後のセレモニーではフランチェスコ・グイドリン、ルチアーノ・スパレッティら過去のウディネーゼの監督やジャンルイジ・ブッフォン(ユヴェントス)、フランチェスコ・トッティ(ローマ)らからのビデオ・メッセージが映された。「自分の能力以上を発揮できた選手生活だった。何よりも大切なサポーターに感謝している。フロント入り? クラブが招いてくれるなら喜んで」と本人は笑顔だった。

ウディネーゼ

メッセージを掲げるウディネーゼのサポーター [写真]=Getty Images

 ウディネにサッカー・スクール2校を主催し、チャリティーマッチにも積極的である。エスプレッソで有名なナポリ出身を活かし、友人とコーヒー豆店の共同経営もしているそうだ。ビッグクラブからの誘いよりもウディネーゼとウディネの街を選んだプレーヤーがディ・ナターレ。こんな充実したサッカー選手の生き方があってもいいのではないだろうか。

ディ・ナターレ

サポーターの声援に応えるディ・ナターレ [写真]=Getty Images

文=赤星敬子

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