2015.07.31

ミラン本田が語る新シーズンへの思い「ようやくトップ下へ戻ってきた」

本田圭佑
「ようやく戻ってきた」と語るトップ下で出場した本田(左)[写真]=兼子愼一郎
学生時代から全国のスタジアムへ通い続けてきた経験と人脈を生かして、Jリーグを取り巻くピッチ内外のネタを探り続ける。

文=青山知雄

 30日に中国・上海で行われたインターナショナルチャンピオンズカップ2015の中国ラウンド最終戦で、日本代表FW本田圭佑が所属するミランがレアル・マドリードと対戦。試合は90分間で0-0のまま決着がつかず、PK戦の末にレアル・マドリードが10-9で勝利を収めた。本田は後半開始から出場し、中盤をダイヤ型にした4-4-2のトップ下で45分間プレーした。

 トップ下というポジションを託されたことに関して、本田が力強い言葉を残した。

「監督がどう思っているかは分からないですけど、自分的には完全にはまり役。これが続くのならば、間違いなく結果は出てくる感じはしています。開幕までまだ1カ月近くありますし、ようやくトップ下に戻ってきたんで、まずは感覚を戻したい。トップ下って独特ですから。(ポジショニングが)1メートル違っただけで受けられるボールが受けられなくなったりする。その感覚を早く取り戻したい。開幕までの1カ月で、そのあたりはもうちょっと良くなると思います」

 昨シーズンのミランでは主に右ウイングとしてプレーした本田だが、今シーズンはシニシャ・ミハイロビッチ新監督の就任でポジションがトップ下に変更。25日に中国・深センで行われた同大会のインテル戦でも同ポジションでプレーしていた。自らも「ようやく戻ってきた」、「間違いなく結果は出てくる」と言葉にするほどで、主戦場に心躍らせているように見えた。

 とはいえ、決して簡単なポジションではない。中盤をダイヤモンド型にしたトップ下にはかなりの運動量が求められる。時にはサイドに流れて起点になり、時にはFWを追い越してゴール前へ飛び出すことも必要となる。もちろん守備ではボランチとの連係も重要だ。

「そこが大事やと思うんですよ。トップ下って、チームで一番走らなければできないポジションやと思うんですよね。守備の時にはダブルボランチ気味に戻るんですけど、攻撃では(ボランチの)デ・ヨングを残して僕が攻め上がらないと攻撃にならない。そこに戻って走れるスプリントとか有酸素能力が必要になってくるんで、走力がもう本当に求められる。そこはもう、とりあえずやりますよ」

 本田が目指すものは、いわゆるイタリアサッカーにおける「10番」=「ファンタジスタ」とは異なる。しっかりと守備でも貢献し、チームを前進させるために献身的に動くことを誓う。トップ下でのプレーが改めて注目を集めるが、新シーズン開幕に向かう上でレアル・マドリードやインテルといった強豪とプレシーズントーナメントで対戦できたことは大きく、現時点での手応えも上々のようだ。

「この2試合はどちらかと言うと、攻撃よりもチームとしての守備に手応えがあった感じかなと。ただ、点はセットプレーからしか取ってないですし、攻撃にはちょっと課題が残ったキャンプだったと思いますね。もっと高いものを求めていかなければいけないし、すっごい怖い攻撃をしたいと思っているんで、ちょっとできただけで『いい感じだ』と思わず、厳しく追い求めていけたらなと思いますね」

 本田が口にした「すっごい怖い攻撃」という表現が気になり、その意図について聞いてみた。その答えはいたって単純明快だった。

「ミランというクラブは、守備にも攻撃にも常に世界のトップのレベルを求められる。今の状態では3~4人の相手を簡単に抜く攻撃はできないですけど、連係面を磨いていけば、一つひとつのパスの質やコンビネーションに関しては、2~3人が絡めばたいていの守備組織は崩せるくらいのレベルの選手がそろっていると思う。ミランでプレーする上で『求められているものは高いよ』という思いがありますし、常に満足せず、そういうものを追い求めていきたいという意味ですね」

 この言葉は、彼自身がミラン加入を決めた際に考えていたことの延長線上にあるように感じる。2014年1月にミラン移籍が決まった際、自らにプレッシャーをかける形で名門の10番を背負うことを選択した。だが、初めて開幕からチームに帯同した昨シーズンは13勝13分け12敗の10位でヨーロッパへの挑戦権には届かなかった。本田自身も29試合6得点という成績に終わっており、チームの成績にも自分自身にも当然ながら満足はしていない。ミランの一員として目指すものがあることを「すっごい攻撃」という表現で改めて明確にした形だ。

 強気な言葉を口にできる理由がある。今シーズンはシャフタール・ドネツク(ウクライナ)からブラジル代表FWルイス・アドリアーノを、セビージャ(スペイン)からコロンビア代表FWカルロス・バッカを加えた。ともに複数のビッグクラブとの争奪戦を制してロッソ・ネロのユニフォームに袖を通すことになった大物アタッカーだ。その両選手をコントロールする役目もトップ下のプレーヤーが担うことになる。今年のチームを「すごく可能性を感じる」としたが、その浮沈を握る存在も本田自身になると言える。

 多彩なタレントチームを率いることになったミハイロヴィッチ新監督については、「面白いですよ。選手時代のポジションが守備のやり方に関係しているんで。この2試合はセットプレーからしか点を取っていないですけど、逆に守備はこうやってすぐにでも形になる。まだ危ない場面はあるけど、最後は足を伸ばして止めることができているところを見ても、昨シーズンとは精度で明らかに違いがある。そういうところで成長の手応えを感じることが選手たちにとっては日々のモチベーションにつながるし、これが攻撃面でも感じることができれば、攻撃陣も監督に対しての信頼が厚みを増していくと思います」と教えてくれた。

 6月13日に29歳を迎えた本田にとって、新しく開幕する2015-16セリエAは20代最後のシーズンともなる。結果を残したいという思いは当然ながら強いはずだ。彼が輝かなければミランの復権はない。もちろん日本代表にも何らかの影響を与えることだろう。8月23日に行われるフィオレンティーナとのセリエA開幕戦まで約3週間。ミランと日本代表の明るい未来のために、トップ下のポジションで再び輝くことを誓った本田圭佑がその牙を磨き続ける。

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