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【インタビュー】浅野拓磨が示した可能性、セルビアの2年間でつかんだものとは?

W杯出場を目指し、浅野は挑戦を続ける [写真]=アディダス

 パソコンのモニターに映る浅野拓磨はすごく楽しそうに見えた。もちろん、いつだって笑顔で応じてくれる。ただ、この日はいつも以上に楽しそうというか、饒舌だった。

 2019年の夏、浅野はセルビアのパルチザンへ移籍した。1年目は公式戦37試合に出場し、9ゴールを記録。2年目の昨シーズンはキャリア初の2ケタ得点を挙げた。あまり馴染みのないリーグとはいえ、ゴールを取り続けるのはそう簡単なことではない。どうやら、この2年で“うまくやる”ためのコツをつかんだようだ。

 人は何かコツをつかんだとき、そのコツを忘れないように反復する。さらには別の分野や場所でも試してみる。これ使えるかな、なんて思いながら。

 インタビューの10日後、新シーズンはボーフムで背番号「10」を背負うことが発表された。2年ぶりのブンデスリーガでもうまくやれるか。浅野はウズウズしているに違いない。

インタビュー・文=高尾太恵子
取材協力・写真=アディダス

心に余裕が出てきた移籍2年目

――1年目はリーグ戦で4得点、2年目の昨シーズンは18得点。浅野選手がいつも言っている「伸びしろしかない」というのを証明できたシーズンだったと思います。
1年でこれだけ結果が変わったということは、その言葉を証明できたということだと思います。でも、1年目からやらないといけなかった。ここからもう一度ステップアップするという覚悟でセルビアに行って、活躍しないといけないという気持ちが強かったんだと思います。1年目は点が取れない焦りや、チームや監督に対する申し訳なさを感じていました。

――そこから何を変えたんですか?
コンディションが良くない日ほど、チームのためにプレーしようと考えるようになりました。守備で絶対に負けない、誰よりも多く走る。ここをサボるかサボらないかで違うっていう局面で全力で走ることを意識しました。そうしたらゴール以外のプレーでも自分がチームに貢献できていると感じられるようになったし、それが自信につながった。今日はうまくいかないなと感じていても、自分の中でやるべきことが明確になっているので力まずにプレーできる。その流れで気づいたら点を取っていたという試合もあります。1年目と比べて、気持ちの部分が明らかに変わったと思います。

――プレーに迷いがなくなり、その姿勢が周囲からの信頼にもつながったと。
そうですね。僕にとっては監督交代も大きな出来事でした。(アレクサンダル・スタノイェヴィッチ)監督は得点以外の部分をすごく評価してくれたんです。ミーティングで僕の守備を見本として出したり、チームへの献身性を評価してくれたり。それがあったから、僕は心に余裕を持てたんだと思います。信頼を感じながらプレーできたからこそ、結果が出ていないときもネガティブなほうに気持ちが働かずにやれました。

――信頼を得られるとボールが集まって、自分がプレーしやすい環境になると思うんですけど、同時に点を決めないといけないというプレッシャーも大きくなるのでは?
そこまでいったときに初めてエゴを出せるのかなと。昨シーズンは結果が出ていなくても「俺にパスをくれ」って言えるくらい自分自身をアピールできていたし、点を取って試合に勝つという自信が毎試合ありました。もちろん、ストライカーとして常にエゴは持っていましたけど、これまでは外に出すことがなかった。やっぱりエゴを出すことによって得られる信頼もあって、海外だとその傾向がより強いと思うんです。それを初めて感じられたシーズンでもあったのかなと。ドイツでプレーしていたときとは明らかにメンタルの持ち方が違うと感じています。そこがワンステップ、いや、ツーステップくらい成長できたと感じる部分です。

浅野拓磨

6月の代表戦から数日後、浅野がリモートインタビューに応じてくれた

W杯出場の目標がある限り、点を取り続ける

――ドイツに渡って1年目のとき、「最後の質にこだわりたい」と言っていました。「調子が悪いときほど、1つのプレーに自信を込められていない」とも言っていて、今の話を聞いていると自信を持ってシュートを選択できたことが得点数にもつながったんじゃないかなと。
それは要因の1つだと感じます。同じチャンスでもパスをするかしないか、シュートを打つか打たないか、そのシュートが入るか入らないかで僕らの人生、一瞬一瞬が変わっていくと思うんです。そこで未来がどうだろうが、自分にできる100パーセントのことをこの瞬間にぶつける。チームのためにっていうのもありますけど、自分のためにプレーを選択することが何よりも大事なことだと思っていて。

――さっきのエゴを出すという部分にもつながりますね。
結果が出始めたり、チームメートからの信頼を得たり、メンタルの変化があったり。いろんな要素が加わって、初めて実感できたことです。自分のためにプレーを選択することが大事なのは誰でも分かると思うんですけど、その一瞬で判断できるかどうかは、心の底からくる自信しかないと思うんです。じゃあその自信はどこからくるかっていうと、やっぱりすべては結果だと思う。だからまずは結果が出るまでやるべきことを全力でやること。結果が出たら、謙虚でありながらも100パーセントの自信を持ってプレーすることが大事だと感じました。今はそれができている自信があります。日本代表でも、常に「俺が点を取る」という気持ちでやっています。今回もシュートをいっぱい外しましたけど、最後はゴールで締められた。そこは今までの自分とは違うという自信があります。

――メンタルコントロールを1つ上の層でできるようになった感覚ですか?
それは間違いないですね。明らかに1つ上の段階にいったと思います。

――昨シーズンは左足のゴールが多かったと思うんですけど。
本当ですか? 気づいてなかった(笑)。

――あ、そうなんですね(笑)。
全く意識してなかったですね。でも言われて思ったのは、トレーニングのやり方を変えたからかなと。専門的な部分をトレーナーさんに頼るようになって、コンディションが良くなりました。端から見ているだけでは分からないと思うんですけど、例えば、股関節の動きに応じて体が左足で打てる、打てないというのを一瞬で判断している。だからコンディションが上がっていると、右でも左でも打てるという状態ができる。体の感覚が変わってきているんだと思います。

――メンタルと体が見事にフィットした1年だった。
まだまだですけど、今までと比べたら良かったです。トレーニングは騙されながらやっている感覚があるんですけど(笑)。それでも向上を実感できたので、行けるところまで行きたいと思っています。

――新シーズン、もっと成長したいという点を挙げるとするなら?
やっぱりゴールじゃないですかね。僕はゴールを取ってナンボだと思うので。うまくいっているときも、そうじゃないときでも、自分の力を100パーセント出せる自信はあります。それさえできれば、自然と結果はついてくる。その一つひとつのプレーや1試合1試合が、次のワールドカップにつながると信じています。


■浅野拓磨と「エックス スピードフロー」(X SPEEDFLOW)

浅野拓磨

――昨シーズンからアディダスのスパイクを着用しています。履き心地はいかがですか?
ほぼ完璧と言っていいほど、自分の足に合っています。正直、ここまでフィット感のあるスパイクを履いたことはありませんでした。僕の足はスパイクと相性が悪いんだろうと思っていたくらいです。でも、エックスシリーズは履いたときから自分の足にフィットしている感触がありました。これを履いて1年間プレーできて良かったです。

――フィット感のほかに気に入った点は?
軽さです。スピードタイプの僕にはもってこいのスパイクです。でも、軽いスパイクは裏のポイントにまで軽さを求めていることが多くて、ヨーロッパのピッチでプレーするとよく滑るんですよ。縦への推進力にはプラスに働くけど、止まったり方向転換したりするときに滑って、タイミングが遅れてしまうことがありました。

――でも、「エックス スピードフロー」は違うと。
はい。ポイントが地面をすごく噛んでくれるので、止まるときも、方向転換のときも、相手より一歩早く足を出せる。相手の動きに素早く反応できると実感しています。

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