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初挑戦のブンデス1部で躍動する遠藤航…さらなる成長で日本代表の主軸へ

マインツ戦で勝利の原動力となった遠藤航(右) [写真]=Getty Images

「初挑戦のブンデスリーガ1部では、毎試合『決勝戦』だと思って挑んでいきます。シュトゥットガルトは名門だし、もう1回タイトルを取るくらいのところまでチャレンジしないといけない。1つ1つの球際とか2部でやってきたことを突き詰めていきます」

 20-21シーズンを迎える前にこう気合を入れていた遠藤航。シュトゥットガルトは19日の今季開幕節・フライブルク戦で2-3と黒星発進を強いられたが、26日の第2節でマインツを4-1で撃破。待望のリーグ初勝利をもぎ取ることができた。

 その原動力となったのが、背番号3をつける日本人ボランチだ。前節は途中から最終ラインに入ってプレーする時間帯もあったが、この日は90分間アンカーを務め、中盤でフル稼働。危ない場面でいち早く相手のスペースを消し、球際でバトルを繰り返す。優れた危機察知力と状況判断の速さを全面に押し出したのだ。

 そして攻撃面でも1点のビハインドを背負っていた前半終了間際、巧みな浮き球のパスをゴンサロ・カストロへ供給。これが最前線のサイラス・ワマンギツカに渡って同点ゴールを演出する形になった。

 さらに61分にはサーシャ・カライジッチに鋭いスルーパスを送り、ダニエル・ディダヴィの逆転弾の起点となった。これで勢いに乗ったシュトゥットガルトはもう2点を追加し、勝ち点3をゲット。遠藤は地元メディアから「強烈なパフォーマンスを見せた」「シュトゥットガルトを安定させ、支えている」と大絶賛されるほどの絶大なインパクトを残すことに成功した。

「ブンデス1部初勝利することができました。次のレヴァークーゼン戦に向けてまた良い準備をしていきます」と本人はSNS上でコメントしたが、本当に心から大きな喜びを感じたことだろう。

 彼のここまでの道のりは決して簡単なものではなかった。湘南ベルマーレでプレーしていた頃から海外志向は高かったが、浦和レッズ時代は3バックの一角で起用されることが多く、本人が希望する本職のボランチで自身を研ぎ澄ませることはできず、海外移籍も叶わなかった。

 出番なしに終わった2018年ロシアワールドカップ直後にシントトロイデンに赴き、25歳にしてようやく念願の海外キャリアをスタート。中盤の要として評価され、翌2019年8月にシュトゥットガルトへ移籍したところまでは着実なステップアップだったが、同クラブでは11月まで出番を得られない状況が続いた。

 当時のティム・ヴァルター監督は遠藤がどんな選手かを全く理解していなかったという。だが、そこでネガティブにならないのが彼の強さ。真摯な姿勢でサッカーに向き合い続けた結果、11月から出場機会を与えられ始める。そして12月にペリグリーノ・マタラッツォ監督が指揮を執り始めると、絶対的信頼を手にするに至った。このまま昨シーズン終了まで走り続け、1部昇格の立役者となった日本人ボランチは、今季から欧州5大リーグの大舞台でプレーする権利を得たのだ。

「プロデビューして10年かかってここまで辿り着いたけど、僕にとっては一番の近道だったのかな」と遠藤は神妙な面持ちで語っていたが、20代後半になった今だからこそ見えるものも多いはず。実際、ここまでの2試合を見る限りでも、ブンデス1部で遜色なく戦えているし、むしろ余裕さえ感じさせる。そうやって確実に実績を積み重ね、名門復活に貢献すれば、いつか本人が願うプレミアリーグ行きの道も開けるかもしれない。チャンピオンズリーグ参戦の夢も叶うのではないか。そういう意味でも今後のパフォーマンスが楽しみで仕方がない。

 今季、シュトゥットガルトでの活躍とともに注目されるのが、約1年ぶりの日本代表での一挙手一投足だ。10月のカメルーン・コートジボワール2連戦に挑むメンバーは10月1日発表予定だが、遠藤が名を連ねるのは確実と言っていい。

 2年前に森保一監督率いる代表が発足してからというもの、ボランチ陣は柴崎岳が中心に据えられてきた。しかし、その柴崎は新天地・レガネスでいきなり太もも裏を負傷。直近のカルタヘナ戦で62分から復帰を果たしたものの、万全の状態とは言い切れない部分がある。それだけに、遠藤にとっては大きなチャンスだ。彼がボランチの軸を担える存在だと改めて示してくれれば指揮官も安堵するはず。日本サッカー協会の反町康治新技術委員長も湘南時代にプロデビューさせた教え子の大きな飛躍を待ち望んでいるに違いない。

 今回の2連戦では、遠藤・橋本拳人、あるいは遠藤・中山雄太といったフレッシュな組み合わせが見られる可能性も少なくない。そこで遠藤が絶対的リーダーに君臨できれば、長く代表を引っ張った長谷部誠、遠藤保仁の両ボランチ超えの布石も打てる。そうなるように、彼には高度な経験値と戦術眼を遺憾なく発揮してほしいものだ。

 2020年秋、満を持して遠藤航の時代が幕を開ける――。

文=元川悦子

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