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いよいよ新シーズン開幕! ブンデスリーガ 18-19シーズン「全クラブ戦力分析」

2018.08.24

[写真]= Getty Images

 ワールドカップで失意を味わったドイツの人々はブンデスリーガの開幕を心待ちにしているが、マイスターシャーレの行方に新たなドラマを期待するのは難しそうだ。6連覇中の王者バイエルンに死角はなく、他クラブの指揮官たちも「優勝するのはバイエルン」と口をそろえるほど。もちろん、腹の底では虎視眈々と番狂わせを狙っているはずだが……。

 一方で、2位争いは激戦必至だ。ドイツで流行中の「青年監督」が率いるシャルケホッフェンハイム、リーグを熟知する名将リュシアン・ファーヴルが就任したドルトムント、若い力を中心に躍動感あふれるレヴァークーゼン、確かな実力で躍進を続けるライプツィヒなどが上位争いを盛り上げてくれそうだ。新加入の日本人選手の奮闘次第で飛躍が期待できそうなハノーファーブレーメンにも注目。バイエルンの一強支配が続く可能性は高いが、ファンは王座を揺さぶるダークホースの登場を密かに期待している。

文=湊昂大 写真=ゲッティ イメージズ

バイエルン 戦力評価:S


今年1月の段階でレオン・ゴレツカの引き抜きが決まっていたこともあり、この夏の目立った動きはアルトゥール・ビダルの退団と、ホッフェンハイムで成長を遂げたセルジュ・ニャブリの復帰のみ。移籍市場での動きの少なさこそ7連覇への自信の表れだろう。ジェローム・ボアテングやセバスティアン・ルディに移籍の噂はあるものの、エースのロベルト・レヴァンドフスキを筆頭に既存戦力のほとんどをキープ。その陣容は控えメンバーだけで優勝を狙えるような充実ぶりだ。新監督のニコ・コヴァチにしても、現役時代に在籍した勝手知ったるクラブだけに大きな不安はなさそうだ。

シャルケ 戦力評価:A


昨季11得点のギド・ブルクシュタラーを擁する前線に、同14得点のマルク・ウートが加入。ナウド、マティヤ・ナスタシッチが健在の最終ラインには圧倒的なフィジカルを誇るサリフ・サネが加わり、リーグ屈指の3バックが完成した。一方で生え抜きのゴレツカとマックス・マイヤーが抜けた中盤は不安材料。後釜としてオマール・マスカレル、スアト・セルダルらを補強したが、4シーズンぶりとなるチャンピオンズリーグもある中でどこまでやり繰りできるかは未知数だ。就任2年目を迎えるドメニコ・テデスコ監督の真価が問われる。

ホッフェンハイム 戦力評価:B


多くの主力を放出した昨夏と同様、今夏もウートとニャブリの2桁得点コンビがチームを去った。昨季13得点のアンドレイ・クラマリッチ、攻守の要である主将ケヴィン・フォクトとの契約延長は朗報だが、新戦力のシャク・ベルフォディルやレオナルド・ビッテンコートはいずれも昨季5得点以下と物足りない印象。昨季苦しんだ過密日程に加え、ケレム・デミルバイ、ナディーム・アミリら主力が相次いで負傷中と開幕から厳しい戦いを強いられそうだ。来季からライプツィヒで指揮を執ることが決まっているユリアン・ナーゲルスマン監督がラストシーズンも持ち前のチームマネジメント術を発揮できるか。青年監督の手腕の見せどころだ。

ドルトムント 戦力評価:A


昨季までの主力を放出しつつ、アクセル・ヴィツェルやアブドゥ・ディアロら即戦力を補強。実績のあるファーヴル監督の下で新たなチーム作りが始まった。ソクラティスが抜けたセンターバックは若手中心でリーダーが不在、前線もいまだ頼れるセンターフォワードが見つかっていないが、中盤の陣容は香川真司もポジションが安泰ではないほどの充実ぶり。現段階で1トップの第一候補である新主将マルコ・ロイスが、ボルシアMG時代の恩師と再びタッグを組むことも好材料だろう。期待と責任を背負うガラスのエースがシーズンを通してチームをけん引できるかが大きなポイントになる。

レヴァークーゼン 戦力評価:A


守護神ベルント・レノがアーセナルへ去ったものの、後釜として実績十分のルーカス・フラデツキーを獲得。課題のサイドバックにヘルタのミッチェル・ヴァイザーを迎え入れたほか、ブラジルの18歳パウリーニョという逸材の引き抜きも忘れなかった。ビッグクラブも注目していたレオン・ベイリーやユリアン・ブラントの慰留に成功し、昨季14得点のケヴィン・フォラントや国内最注目の19歳カイ・ハフェルツら他の主軸も健在。ハイコ・ヘルリッヒ体制2年目でチームに安定感が出てくれば、トップ4入り、さらにはバイエルンを脅かす存在になってもおかしくはない。

ライプツィヒ 戦力評価:A


クラブ哲学に従って続々と有望株を補強しているものの、ナビ・ケイタが抜けたセントラルMFの補強だけは進んでいない。ディエゴ・デンメ、ケヴィン・カンプルなど既存戦力にも実力者がそろうが、ケイタの打開力や得点力を補えているかは疑問だ。ラルフ・ラングニックSDが監督を兼任する今季も「ハイプレス」と「縦に早いサッカー」というベースは変わらないが、引いて守る相手への対策が必要になった今、ケイタの穴はやはり大きい。欧州カップ戦との両立がある中で、既存のタレントだけでカバーするのは非現実的。「あと3人獲得することは現実的」という指揮官の言葉どおり、さらなる補強があるかもしれない。

シュトゥットガルト 戦力評価:B


昨季途中に就任して驚異的な巻き返しを演出したタイフン・コルクト監督は、これまで重宝してきた主力を軸にバランスのとれた補強を実施。ダニエル・ギンチェクの後釜を担うマリオ・ゴメスの相棒役には万能型の若手FWニコラス・ゴンザレスを獲得、中盤にはゴンサロ・カストロ、ダニエル・ディダヴィのブンデス経験者を迎え入れた。W杯で大ブレイクしたベンジャマン・パヴァールには移籍の噂や疲労の影響がつきまとうが、マルク・オリヴァー・ケンプフを加えてバックアップ体制も整備した。リーグ戦に集中できるチームとしては潤沢な戦力がそろい、サプライズは今季も続く可能性がありそうだ。

フランクフルト 戦力評価:B


ケヴィン・プリンス・ボアテング、マリウス・ヴォルフら主力放出の穴は、2部に降格したハンブルガーSVからニコライ・ミュラーとフィリップ・コスティッチを獲得してカバーした。ゴールマウスもフラデツキーと似たキャリアを歩むフレデリク・レノウを後継者として擁立。W杯で活躍したアンテ・レビッチやカルロス・サルセドの契約を完全移籍に移行できたのも大きい。しかし、王者として臨んだDFBポカール1回戦では4部チーム相手に惨敗。攻撃的サッカーを掲げるアドルフ・ヒュッター新監督は初陣を勝利で飾ることができなかった。長谷部誠は今季もリベロ役を担うことが濃厚。一方、合宿メンバー外の鎌田大地は退団の可能性が報じられている。

ボルシアMG 戦力評価:B


ディーター・ヘッキング監督は就任以降、主に4-4-2を採用してきたが、今季は新システムの4-3-3を導入。DFBポカール1回戦では3トップを担ったトルガン・アザール、ラファエウ、新戦力のアラセーヌ・プラが、5部クラブ相手にそれぞれハットトリックを達成と大暴れした。負傷離脱していた主将ラース・シュティンドルの復帰や若手タレントの充実など、トップ4入りへの起爆剤となり得る要素もそろっている。唯一の懸念材料は、長身DFヤニク・ヴェステルゴーアが抜けた穴を補強できていない守備陣か。

ヘルタ・ベルリン 戦力評価:C


昨季のレギュラー陣のうち、チームを去ったのは移籍の噂が浮上した4月時点でメンバーから外されていたヴァイザーのみ。その穴もケルンからルーカス・クリュンターを引き抜いてすでに補完した。その他にもリヴァプールでくすぶっていたマルコ・グルイッチ、2部で2シーズン連続2桁得点を記録したパスカル・ケプケを補強しているが、いずれも未知数な補強で、戦力的なプラスアルファは欠けている印象だ。ELの負担がなくなったとはいえ、昨季の10位を超えるためには、レンタルから完全移籍に移行したヴァレンティーノ・ラザロや、クラブ生え抜きのMFアルネ・マイアーといった若手の躍動が不可欠だ。

ブレーメン 戦力評価:B


主将のズラトコ・ユヌゾビッチとトーマス・デラネイを失った中盤に、エヴァートンでくすぶっていたパスマスターのデイヴィ・クラーセンを補強。クラブ史上最高額の1350万ユーロ(約17億円)という移籍金には期待の大きさがうかがえる。新主将マックス・クルーゼを擁する攻撃陣には、大迫勇也とハルニクという実力者2人に加え、レジェンドのクラウディオ・ピサロが4度目のチーム復帰を果たした。昨季途中に就任し、見事にチームを立て直したフロリアン・コーフェルト監督のアグレッシブなサッカーが機能すれば、11位だった昨季から飛躍する可能性はある。

アウクスブルク 戦力評価:C


昨季の躍進を支えたマルヴィン・ヒッツがドルトムントに引き抜かれたにもかかわらず、ここまでGKの補強はなし。頼れる守護神の不在は上位を目指す上で大きな懸念材料だ。昨季ブレイクを果たした左サイドバックのフィリップ・マックス、2桁得点コンビのミハエル・グレゴリチュとアルフレズ・フィンボガソンの残留は大きいが、対戦相手の警戒が高まる今季も同じような活躍を見せられる保証はない。4年ぶりに復帰したアンドレ・ハーン、ヘルタからフリーで獲得したユリアン・シーバー、マリオ・ゲッツェの弟フェリックスといった新顔がどれだけチームを活性化できるかがポイントになる。

ハノーファー 戦力評価:B


今夏は浅野拓磨と原口元気の日本人選手2人を獲得。ハンブルガーSVからボビー・ウッドをレンタルで補強し、フェリックス・クラウスとハルニクが抜けた穴を埋めた。原口はW杯出場の影響とケガで出遅れたが、7月から合流している浅野はDFBポカール1回戦で早くもゴールを記録。エースのニクラス・フュルクルクと2トップを組んで相性の良さをアピールしている。また、守備の要だったサネの後釜には、過去にケルンで3年間プレー経験があるケヴィン・ヴィマーを確保。中盤にもハンブルガーSVからブラジル代表経験のあるワラシを獲得して充実の戦力を整えた。昨季超えのトップ10入りの可能性を秘めている。

マインツ 戦力評価:C


チーム最多8ゴールと奮闘した武藤嘉紀がプレミアリーグへと旅立ったほか、ディアロやセルダル、さらには契約満了のレオン・バログンやナイジェル・デ・ヨンクがクラブを後にした。武藤の代役としてリヨンから192センチの長身FWジャン・フィリップ・マテタを、最終ラインにはメスからムサ・ニアカテを、セントラルMFにはアトレティコ・マドリードのユースからピア・カンディを確保したが、即戦力と見られる選手たちはいずれもドイツ1部での経験がなく不確定要素は多い。新戦力の活躍なくして、残留以上の結果を期待するのは難しいだろう。

フライブルク 戦力評価:C


ビッグクラブの注目を集めていたチャグラル・ソユンクがレスターに移籍したものの、今のところ他の主力流出はなし。ソユンクの後釜としてケルンからドミニク・ハインツ、中盤にはジェローム・ゴンドルフと、実力者の補強にも成功した。昨季得点ランキング2位の15得点を挙げたニルス・ペーダーゼンに加え、ケガで昨季の大半を棒に振ったフローリアン・ニーダーレヒナーも復活。ハンブルガーSVから獲得したジャンルカ・ヴァルドシュミットら若い力も加わり、前線の戦力は引き上げられた。主力の長期離脱のようなアクシデントさえなければ、2シーズン前のような躍進を見せても不思議ではない。

ヴォルフスブルク 戦力評価:B


守護神のクーン・カステールスや中盤のマクシミリアン・アルノルトといった既存戦力を見れば、2シーズン連続で昇降格プレーオフに回るようなチームではない。今夏は昨季9得点のディダヴィや同7得点のディヴォック・オリジが退団したものの、フェリックス・クラウスやギンチェク、そしてオランダの点取り屋ボウト・ベグホルストを加え、むしろ選手層は厚くなった。昨季は主力のケガや相次ぐ監督交代がチームに混乱を招いたが、2月から指揮を執るブルーノ・ラッバディア監督の続投が決まり、腰を据えたチーム作りが実現しそうだ。目指すは3シーズンぶりのトップ10入り、シーズン序盤の出来次第ではその先に欧州カップ戦出場権も見えてくるはずだ。

デュッセルドルフ 戦力評価:C


6年ぶりの1部昇格に貢献した原口とフロリアン・ノイハウスが退団したものの、宇佐美貴史を再びレンタルで獲得。1部経験者の残留は朗報だろう。ウイングにはその宇佐美のほか、昨季10得点を挙げたベニト・ラマン、リヴァプールのDFデヤン・ロヴレンの弟ダボル、スピードスターのドディ・ルケバキオなど人材が豊富。また前線にはエースのロウヴェン・ヘニングスのほか、昨季2部得点王のマーヴィン・ドゥクシュという新たな得点源も加わった。64歳のフリートヘルム・フンケル監督にとっては9シーズンぶりの1部での采配。第一目標の残留を達成できるかは今季最年長監督の手腕次第だろう。

ニュルンベルク 戦力評価:C


1部復帰の立役者のうちトップ下のケビン・ムーヴァルトがブレーメンに引き抜かれたが、その他のメンバーはほぼキープ。GKクリスティアン・マテニアや、左右のサイドバックでプレー可能なロベルト・バウアーという1部経験者も補強した。戦力的には“1部仕様”とは言い難いが、そんな中で獲得したのがスイス、ベルギーで結果を残してきた久保裕也だ。今冬に行われたヘントとのテストマッチで久保を見初めたというミヒャエル・ケルナー監督の期待に応え、ドイツでも実力を証明したいところだ。欧州4大リーグ初挑戦とはいえ、残留が最優先のチームにおいてキーマンとなるだろう。

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