番組レギュラー解説委員の岩政大樹(東京ユナイテッドFC)がドイツを訪問。ブンデスリーガ2部デュッセルドルフに所属する原口元気、宇佐美貴史とのスペシャルインタビューが実現した。
■デュッセルドルフでの日々
岩政大樹(以下、岩政) デュッセルドルフ、いいところ(対談時はブンデス2部第24節終了時点で2位)に来ているんですけど、二人とも調子はどうですか?
原口元気(以下、原口) 脳しんとうでしばらく休んでいたんですけど、たぶん今週末から行けると思うんで。順位はいいですけど、昇格だけではなく優勝を目指していきたいなと思っています(第25節で原口は先発に復帰。宇佐美が1ゴール1アシストの活躍でザンクト・パウリに勝利し、チームは首位に立った)。
宇佐美貴史(以下、宇佐美) 僕も、ぼちぼちゆっくり上がってきているかな、という感じですし、シーズン終盤に入っていくんで、チームにどれだけ貢献できるかというところを、ラストスパートを個人としてもチームとしてもかけていきたいなというところです。
岩政 日本でやっている時と比べて、練習やプレーなど、どういったところに違いを感じますか?
原口 やっぱり激しさは違いますよね。練習も試合も含めて、ONとOFFのスイッチを入れるのが非常にうまいというか。日本人は常にスイッチが入っていて、真面目で勤勉ですけど、こっちの選手はどちらかというと、フワっとしている感じでも、ピッと笛が鳴るとギュって入る。その「ON」の入れ方がめちゃくちゃうまいかなって感じますね。
宇佐美 ほとんど一緒ですけど、練習でも試合でも、ボールを持った時に距離が全然違うというか、スペースもそんなにないですし、よりフィジカルを駆使したサッカーというか。あとは上下動というか、攻守が行きかうスピードが、多いし速い。日本のサッカーとは全く違うなと思います。
岩政 その中で、難しさというのは日本とは違うわけですよね? 適応してく中で。
宇佐美 そうですね。こっちの速いテンポから日本に行くのと、日本からこっちに来るのとでは全然違うと思うんですけど、テンポも上がっているしスペースもないという状況に来るので、そのサッカーに順応していくのは、最初はやっぱり苦労するかなと思いますし、サイドのポジションをやっていると特に、試合中はめっちゃキツいです。この上下動がホンマに激しいなって毎試合思うし、特に相手がパスを回せるチームだと、カウンターで一発狙うとかになるので、その時は行って、戻ってっていう息つく暇もない感じは、日本ではなかなか経験できなかったので、そういうところから違うなと感じました。
岩政 監督やチームメートなど、チームの他の人たちからの要求もまた違うんですか?
原口 全体的に言ったらテンポとか試合の雰囲気も違うので、あるんですけど、全員が全員に言うというか、日本では上下関係があって、この選手には言わないけどこの選手には言うというのがあるけど、(ドイツでは)あまり乗っていない選手がいるとみんなから怒られるし、全員から言われるような感じなので、そこはやっぱり違うなって感じますね。
岩政 いい意味でフラットということですね?
原口 フラットだし、みんなが勝ちたいので、そこが一番。勝ちたいから、うまく乗れていない選手に檄を飛ばすというか。そういうのはやっぱあるよね?
宇佐美 そうですね。
■日本代表への思い
岩政 代表での戦いは、これまでもそうですしこれからも、いろいろ立場は変わっていくんでしょうけど、チームと行ったり来たりするじゃないですか。ご自身は意識されるほうですか? 代表のプレーというのは。
原口 しないですね。全く別物だと思いますし、正直こっちにいる時はこっちのことを考えて、代表に行ったら頭を切り替えて、というやり方ですね。そうじゃない?
宇佐美 いや、僕はしばらく行ってないんで(苦笑)。1年ぐらい行ってないんじゃないかな。
原口 そんなことないでしょ?
宇佐美 こっちではこう、代表ではこう、っていう感覚、どうやったっけ? と思ったんだけど、全然覚えてなかった(笑)。
岩政 そのへんって、ドイツだと場所も変わるから切り替えがしやすいのかな。日本だと、報道も大々的にされるじゃないですか。こっちだと報道もそんなにされないから、パッと切り替わっていけるのかなっていう気がするんですけど。
原口 そうですね、特に自分で切り替えようともせずに、こっちで厳しい戦いがすぐに来るので、終わったらすぐにこっちのことに切り替わるし。
岩政 じゃあ今も、シーズン中だしそんなにワールドカップのことをにらみながらというより、まず自分のやるべきことをやりながらという感じですかね。
原口 本当に期間的に見たら(W杯まで)近いんですけど、全然遠く感じるというか、今はこっちのことしか考えていないですね。
岩政 日本代表への思いというのはどのように感じていますか?
宇佐美 やっぱり、離れれば離れるだけ思いは強くなるというか。やっぱり行きたいですし、日本代表に行くためにと言ってもいいぐらい、ここへの移籍も代表に行くためにっていうところで選んだので。しばらく行っていないので、代表ではこう、クラブではこうという感覚は、今は話せないんですけど、やっぱり代表に戻るためにという意識で常にいられますね。そういう場所です。
岩政 お二人はこれから選手としていい時期を迎えると思うんですけど、海外にいると自分で立ち位置を見つけていかなければならないという感覚が日本よりもあるじゃないですか。その中で、テーマは漠然としていていいんですけど、どのようなプレーヤーになっていきたいというのは、プランニングとかはありますか?
原口 “楽しいところ”に行きたいというのはあります。少し前だと、ブンデスリーガに来て、ずっとプレミアリーグに行きたいという思いが強かったんですけど、去年半年あまり試合に出なくて、デュッセルドルフに来て、サッカーの楽しさを忘れかけていたという部分にすごく気づいて。サッカー人生そんなに長くないじゃないですか。なので、自分が楽しいなと思えるところに今後は行きたいなとは思っています。信頼もされて、自分が魅力を感じられるようなサッカーをしているクラブ、そういう監督の下でプレーしたいなというのは、ちょっと前より今は強く思っています。
宇佐美 僕も全くもって同じで、僕もずっと苦しんでいたと思っていますし、そうやって苦しめば苦しむほど原点に帰るというか、楽しめる場所、楽しめるサッカー、楽しめる環境というか、自分で作っていかなければいけないというのはあるんですけど、まずそういう環境を作るためにも、まず楽しまないと、というのがあるので、いろいろなことを経験していろいろなことを感じて、いろいろな意識になりますけど、結局戻っていく場所は、原点として楽しまなきゃと。楽しみだすとどんどんどんどん好転していくと思うので、そこですかね。自分自身成長していけると思うので。
■二人の関係について
岩政 あと何かあります?
宇佐美 この場を借りて言っておいたら?
原口 何を?
宇佐美 犬猿の仲を…仲良いよって。言っておけば?
岩政 そうなの? そんな報道出てるの?
宇佐美 そうなんですよ。ゲンくん(原口)が(デュッセルドルフに)来るってなった時に、ニュースに…。
原口 「大丈夫か?」みたいな。
宇佐美 「犬猿の仲」って出て。で、「俺ら犬猿の仲らしいよ」って二人でめっちゃ笑って(笑)。(自分たちでは)そういうイメージなかったのに、そういうイメージを持っている人たちもいたのかなって。
岩政 なんでだろう。試合中にバチバチやったことはある?
原口・宇佐美 ないです。
原口 ポジションが一緒、歳が近いぐらいじゃない?
宇佐美 あとは「仏頂面」とかですかね。二人とも。
原口 (笑)。顔はね。
宇佐美 怒ってないのに怒ってるように見えるって。
原口 それ損だよね、俺ら(笑)。全然不機嫌じゃないから。
宇佐美 それが損ということも、この場を借りて(お伝えします)。
3月16日(金)21時から放送の『スカサカ!ライブ』では、JリーグYBCルヴァンカップ第2節ハイライトやJ1第4節サンフレッチェ広島対ジュビロ磐田戦のプレビューなどを放送する予定となっている。
By サッカーキング編集部
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