2017.06.30

U20中国代表のリーグ参加に批判続出…ドイツのファンは“商業化”に反発

ドイツのファンやクラブはU-20中国代表チームの4部リーグ参加に反発している [写真]=Bongarts/Getty Images
サッカー総合情報サイト

 現在ドイツ南西のハイデルベルク近郊を拠点として活動しているU-20中国代表チームのレギオナルリーガ・ジュートヴェスト(南西部/4部リーグ)への参加を巡って、ドイツ国内では批判が続出している。

 とりわけ、今シーズン14位でありながら降格してしまったFKピルマゼンスは納得がいかないようだ。ピルマゼンスは、3部から同リーグに2チーム(マインツU23とFSVフランクフルト)が降格してくる上に、優勝したエルヴァースベルクが入れ替え戦の末に昇格できなかったため、下から6番目ながら降格してしまった運のないチームだ。サッカーの商業化に反対の立場を表明している『11フロインデ』誌はさっそく彼らの言い分を聞きに行っている。

 同クラブのカルステン・フォルベルク会長は、「よくよく考えてみると、リーグは最初から計画していたんだろう。リーグを20チームにするべきだ、という申請は出したものの、断られるだろう。でも、仮に自分たちが残留していて、リーグから同じ条件の要請をされていたら、間違いなくその提案を受けていただろう。控え選手のためのトレーニングマッチでチケット料なども含めて1試合で2万ユーロ(約255万円)も入るなら、大きな収入だ」とインタビューの中で述べている。

「順位とは無関係であることを条件にブンデスリーガ(1部)に参加します」とドイツサッカー連盟(DFB)への皮肉を込めたフェイスブックの投稿で注目を集めた4部のロート・ヴァイス・エッセン。ミヒャエル・ヴェリング会長は、「ポカール決勝の(ハーフタイムにパフォーマンスを披露した)ヘレーネ・フィッシャーへのブーイングは彼女自身ではなく、商業化に対するものだろう。私たちは自分たちのルーツがどこにあるのか自覚していないといけない。レッドブル・ライプツィヒはルーツなくして、身近なものになろうとしている。サッカーが純粋なエンターテインメントにならないように気をつけないと」と『シュポルト・ビルト』誌のなかでクラブの社会性と文化面を強調している。

 約5万人が参加した『kicker』誌のアンケートでは、84.7パーセントが今回の決定を「悪い」と評価しているようだ。実質、ドイツではブンデスリーガのクラブも各自が社会的責任を引き受ける存在として、スタジアムの入場料を意図的に抑制している側面もある。ここから見ると、ドイツのファンが反対しているのは、中国という存在ではなく、サッカーの商業化という流れであり、それを促進しているDFBということになる。実際、商業化のシンボルとして取り上げられたライプツィヒに対するファンの扱いは惨憺たるもので、暴力沙汰に発展し、警察が動かざるを得ないほどの事態となっている。

 一方で、当のリーグの運営を任されているDFBのロニー・ツィンマーマン副会長にも言い分がある。「まず、誤解があるようだが、中国U20チームはリーグ戦に参加するのではなく、リーグのチームと親善試合を行うのです。この試合によって、リーグへの関心が高まり、クラブには収入が入る。誰にとっても、利益になる決定です。(土壇場で反対し、国内の好感を集めた)ヴァルドルフのやりかたはフェアではありません。彼らは電話での交渉では賛成を表明していたのです。全クラブからの了承を経た後での発表だったのですからね」と地元紙『ライン・ネッカー・ツァイトゥンク』の中で話している。

 実際、ドイツ国内では、リーグ間の資金の分配の不平等が話題にされ、4部や5部のセミプロクラブでは破産申請も珍しいことではない。そういった中で資金集めや新たなマーケットの開拓に苦心しているリーグの運営側にとっては、今回の動きを単純な商業化を進める悪者と決めつけられるのには納得がいかないのだろう。今回の騒動は国外からドイツサッカー界の捉え方が良く分かる事例となるはずだ。

 この騒動をよそに、中国U20チームにはすでに“ウルトラス”が出来ているようだ。フェイスブックではすでに6000人を超えるファンが付き、ツイッターやインスタグラムでも活動を展開するつもりのようだ。とはいえ、フェイスブックの写真には中国からのチベット独立運動のフラッグをもじったものを使い「レギオ(ナルリーガ)開放」と書かれ、DFBのロゴには「銭」の文字が入っている。どの程度真面目にチームを応援するのか、それとも皮肉を込めた批判的なサイトなのか判別しづらい作りになっている。シーズン前から大きく揉めているレギオナルリーガ・ジュートヴェスト、新シーズンは良くも悪くもドイツ中の注目を集めることになりそうだ。

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