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独2部で最高評価の女性審判、1部“昇格”ならず…男女差別は存在するのか

2016.06.14

来季も2部で笛を吹くこととなったシュタインハウス氏 [写真]=Bongarts/Getty Images

 ブンデスリーガにはまだ男女差別が残っているのだろうか。

 おそらくドイツで最も有名な女性審判員ビビアナ・シュタインハウス氏は、今シーズンのブンデスリーガ2部で主審を務めた人物のうち、DFB(ドイツサッカー連盟)内の評価が最も高かった。来たる2016-17シーズンの同1部主審は4人の空きができるため、今季2部で主審を務めた者のうち、DFB審判委員会が下す採点の上位4名が“昇格”できるはずで、当然その中にはシュタインハウス氏も含まれるかと思われた。

 しかし「スキャンダルだ!」と見出しをつけたドイツ紙『ビルト』によれば、今季最高評価を得たにもかかわらず、シュタインハウス氏の昇格は見送られ、同氏は来季もブンデスリーガ2部で主審を務めることが決まったという。

 37歳のシュタインハウス氏はすでに女子ブンデスリーガ1部で35試合、男子ブンデスリーガ2部72試合、インターナショナルマッチ20試合で笛を吹いた経験があり、ブンデスリーガ1部では第4審判も度々務めるなど、過去の実績も十分である。

 DFB審判委員会トップのヘルベルト・ファンデル氏は昨年、「2部から1部への(主審の)昇格は、能力によって決められる」と宣言していた。これが事実であれば、今季2部全主審の中で最もうまく試合を操縦し、毎試合高評価を得ていたシュタインハウス氏は、来シーズン1部のピッチに立つべきなのだ。しかし実際には、彼女よりも平均点が下であるフランク・ヴィレンボルク氏、ハルム・オスマース氏、ベンヤミン・コルトゥス氏、ロベルト・カンプカ氏の4人が、2部からの昇格を決めている。

 ちなみにビルト紙はDFBに対し「シュタインハウス氏が女性だから(昇格できないのか)?」という質問を送ったが、現在まで正式な回答を得られていないという。

 47歳という年齢制限のため昨シーズン終了後に審判員を引退したトーステン・キンヘーファー氏は今回の騒動について、「前もって『主審の昇格・降格は評価によって決める』と(ファンデル代表が)明言していたのであれば、それは守られなければならない。ビビアナ・シュタインハウスの今シーズンの評価は、間違いなく来季ブンデスリーガで笛を吹くのに値している」とコメント。シュタインハウス氏の昇格がならなかったことについて、大きな疑問だとしている。

 キンヘーファー氏によれば、主審の評価は、すでに引退した元主審によって毎試合後に行われるという。採点項目は「ルールに則っているか」「ボディランゲージ」など計10個、0.1~10.0で点数がつけられるが、多くの主審は7.9~8.7に位置している様子。シュタインハウス氏が今季ナンバー1だったということは、つまり毎試合ほぼ全ての項目が満点に近かったことになる。また、ドイツ紙『ヴェルト』がオンライン調査を行った結果、88パーセントが「シュタインハウスは1部で主審を務めるのに値する」としており、「彼女のジャッジは十分ではない」という反対派が9パーセント、「まだもう少し能力を証明しなければならない」は3パーセントだった。一般のファンも、同氏の仕事ぶりを高く評価委していることになる。

 明確な判断基準が設けられ、好成績を収めたにもかかわらず、昇格を見送られてしまったシュタインハウス氏。DFBからの正当な理由説明がなされなければ、当の本人はもちろん、周囲も納得できないのではなかろうか。

文=鈴木智貴

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By 鈴木智貴

ドイツ在住。ライター兼サッカー指導者

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