2016.05.25

これを読めばすべてわかる! ブンデスリーガ 15-16シーズン「全クラブ通信簿」(10位~18位編)

昇格組のインゴルシュタット(上段左)とダルムシュタット(上段右)が残留、シュトゥットガルト(下段左)とハノーファー(下段右)が降格となった [写真]=Bongarts/Getty Images
サッカー総合情報サイト

 今シーズンのブンデスリーガは、またしても絶対的王者のバイエルンが通算26度目のリーグタイトルを獲得する形で締めくくられた。史上初の4連覇を成し遂げたチームは、第7節でトップに立って以降、一度も首位の座を譲ることなく、圧倒的な強さを見せつけた。2位ドルトムントも昨シーズンのバイエルンが記録した勝ち点79に迫る勝ち点78を積み上げて優勝争いを盛り上げたが、王者の安定感は揺らぐことがなかった。

 熾烈を極めた欧州カップ戦争いでは、終盤戦の追い上げで3位の座を確保したレヴァークーゼンと、監督交代によって蘇ったボルシアMGが躍動。一方でシャルケは2シーズン連続でチャンピオンズリーグ出場権を逃し、シーズン前半を3位で折り返したヘルタ・ベルリンは、終盤に失速して7位フィニッシュという結果になった。

 また、中位、下位に目を向けると、昇格組のインゴルシュタットが11位、ダルムシュタットが14位と大健闘。揃って残留を果たすサプライズを見せた。一方、昨シーズンは最終節で残留を決めたハノーファーが14年ぶりの2部降格。また、2006-07シーズンの王者であるシュトゥットガルトが41年ぶりの降格という憂き目に遭った。そうした1部の常連クラブと入れ替わる格好で、来シーズンはライプツィヒが初めて1部に昇格するため、ブンデスリーガの顔ぶれも新鮮なものになりそうだ。

ハンブルガーSV

[写真]=Bongarts/Getty Images

■10位:ハンブルガーSV(55点)

 2シーズン連続で2部3位との入れ替え戦に回るという悲劇を繰り返し、かろうじて1部残留を達成していたハンブルガーSV。過去2年に比べれば、今年は幾分マシなシーズンを過ごすことができた。とは言え、全34節のうち、9位以上にいたのはたったの4回しかなく、基本的には中位と下位の間を行ったり来たり。10~12位に位置していたのは、計27回もあったほどだ。

 メンバーを見れば、2010年W杯前にGKマヌエル・ノイアーとドイツ代表守護神の座を争っていたGKレネ・アドラーを筆頭に、DFエミル・スパヒッチ、DFヨハン・ジュルー、MFギデオン・ユング、MFルイス・ホルトビー、MFアーロン・ハント、MFニコライ・ミュラーなど中盤より後ろには猛者も多いが、問題はFW陣の決定力。本来は10番を背負うFWピエール・ミシェル・ラソッガがエースとして活躍しなければならないが、ベンチスタートになることも度々あり、結果的に今シーズンは右サイドのアタッカーであるミュラーが、9ゴールでチーム内得点王に輝いている。

 1963-64シーズンのブンデスリーガ創設から絶えず1部に所属する唯一のクラブという名門である以上、この成績ではやはり満足などできないだろう。

インゴルシュタット

[写真]=Bongarts/Getty Images

■11位:インゴルシュタット(80点)

 2004年創設、そしてクラブ史上初のドイツトップリーグ参戦となったインゴルシュタットは、グラーツ出身のオーストリア人、ラルフ・ハーゼンヒュットル監督の下、“難敵”として対戦相手から恐れられた。

 在籍選手の多くは無名である。しかし同監督が目指す組織的な守備戦術を忠実にこなし、シーズンたったの33ゴールという攻撃力を補って余りある強固なディフェンスを見せつけた。また、得点力は決して高くはないが、勇気を持って前に出ていくということも忘れず、バイエルンの本拠地アリアンツ・アレーナに乗り込んだ第16節、0-2の敗戦に終わったものの、前半はどちらがドイツ王者なのか分からないような戦いを披露。試合後、世界的名将ジョゼップ・グアルディオラ監督も「インゴルシュタットの気持ち溢れる戦い方は素晴らしかった。もし世界の全てのチームが彼らのような戦いを目指すチームであれば、サッカーは世界中で最も魅力的なスポーツとなるだろう」と、最大級の賛辞を送っている。

アウクスブルク

[写真]=Bongarts/Getty Images

■12位:アウクスブルク(70点)

 8位に終わった一昨シーズン、5位に入りヨーロッパリーグ出場権を獲得した昨シーズンなどに比べると、今シーズンの12位という結果は、やや不満の残るものだったかもしれない。しかし2011-12シーズンに初めて1部昇格を達成した小クラブが、ELベスト32に進出しながらも、ブンデスリーガ残留争いを勝ち抜いたという事実は、大いに褒められるべきだろう。

 リヴァプールのユルゲン・クロップ監督が名指しで高く評価するマルクス・ヴァインツィアル監督の手腕も見事だった。攻守のキーマンだった左サイドバックのババ・ラーマンが開幕前にチェルシーへ引き抜かれ、また選手の多くがELとの“2足のわらじ”を初体験。そのため序盤は過密日程に苦しみ、第12節までわずか1勝しかあげられず、4週連続で最下位に位置していた。しかし、そこから前半戦終了までの5試合で13ポイントを奪いチームを立て直すと、冬の移籍市場では得点力不足を解消すべく、スペインやオランダ、ギリシャなど6カ国でのプレー経験があるFWアルフレズ・フィンボガソンを獲得。同選手は後半戦14試合で7ゴール3アシストを記録し、アウグスブルクを牽引した。

 新戦力をすぐさま融合させられるヴァインツィアル監督については、毎年のようにビッグクラブへの移籍話が聞こえてくる。果たして指揮官は、どんな決断をするのだろうか。

ブレーメン

[写真]=Bongarts/Getty Images

■13位:ブレーメン(40点)

 1980-81シーズン以外のブンデスリーガ全52シーズンで1部に在籍し、2000年代中頃には攻撃サッカーで人々を魅了したブレーメンも、今シーズンは降格の足音がすぐ後ろにまで迫っていた。

 その理由は補強の失敗にある。昨シーズン、最終ライン中央を担っていたDFセバスティアン・プレードルとDFアサニ・ルキムヤという2枚のセンターバックに加え、FWフランコ・ディサントとFWダヴィー・ゼルケの2トップなど、看板選手4人が揃って移籍。FWアンソニー・ウジャーと、歴代外国籍選手で最多得点記録を更新し続けるFWクラウディオ・ピサーロを獲得し、最前線の面子は保たれたものの、守備面での穴埋めはされず、第32節まで毎試合失点を喫するという有様だった。

 第32節シュツットガルト戦、そして最終節のフランクフルト戦で勝利を飾り、なんとか降格および入れ替え戦を免れはした。しかし、その劇的な幕切れに心を奪われ、今シーズンの分析を少しでも怠るようなことがあれば、来シーズンも同じ轍を踏むことになってしまう。自他ともに認める北ドイツの名門クラブである以上、それだけは絶対に避けなければならない。

ダルムシュタット

[写真]=Bongarts/Getty Images

■14位:ダルムシュタット(60点)

 1981-82シーズン以来3度目のブンデスリーガ1部挑戦で、ダルムシュタットは初めて残留を果たした。同都市出身の女子テニスプレーヤー、アンドレア・ペトコビッチ(世界ランキング過去最高9位)がディルク・シュスター監督との賭けに負け、ケルン戦でソーセージスタンドに立つなどのイベントも盛り上がり、町をあげての応援が印象的だった。

 しかし、34年ぶりのトップリーグは、予想通り厳しい戦いの連続。今シーズン1試合あたりの平均ポゼッション率、パス成功率は、それぞれ37.23パーセントと56.88パーセントで、どちらも17位に約10パーセントの差をつけられ断トツの最下位となっている。また、計12試合で先制点を奪いながら、その12試合は7分5敗と、1度も勝利に結びつけることができなかった。

 面白いのはホームとアウェーの成績だ。本拠地での順位表は下から2番目で、ファンの大声援を力に変えることはできなかったが、アウェーでの順位表は4位に位置。ここまで“地の利”が真逆になるクラブも珍しい。

 リーグ2位の得点数を誇るセットプレーで効率良くゴールを稼いだ今シーズンの戦い方に、守備戦術の向上が見られれば、来シーズンの残留も決して不可能ではない。

ホッフェンハイム

[写真]=Bongarts/Getty Images

■15位:ホッフェンハイム(55点)

 2012-13シーズン終盤にマルコ・クルツ監督の後を継ぎ、入れ替え戦の末に1部残留を叶えたマルクス・ギスドル監督。一昨シーズン、昨シーズンはそれぞれ9位と8位に終わりまずまずの成績だったが、今シーズンは開幕からの10試合で1勝3分6敗と不調に陥り、首脳陣はついに指揮官交代に踏み切った。こうして2013-14シーズン、2014-15シーズンと2年連続で途中就任ながら、シュトゥットガルトを奇跡の残留劇に導いたフーブ・ステフェンス監督が率いることになったわけだが、この交代が効果をもたらすことはなく、不整脈という健康上の理由で辞任した第20節までの10試合で1勝4分5敗。ホッフェンハイムは完全に後がなくなった。

 しかし来シーズンからの就任が決まっていたブンデスリーガ史上最年少監督ユリアン・ナーゲルスマンがその座を引き継ぐと、成績はみるみるうちに向上。第20節までに稼いだ白星の数にたった4試合で並び、この28歳の青年に率いられたチームは、17位という自動降格圏から一気に順位を浮上させ、第33節ハノーファー戦で残留を確定した。革命的とも言えるこの若手監督大抜擢は、来シーズンどんな化学反応を我々に見せてくれるのだろうか。

フランクフルト

[写真]=Bongarts/Getty Images

■16位:フランクフルト(35点)

 安易な監督選び――今シーズンのフランクフルト不調の原因は、この一言に集約されるのではないだろうか。

 2011年夏、監督に就任したアルミン・フェーは1年で同クラブを2部から1部へ昇格させ、翌シーズンには6位に入るなど大健闘を見せた。しかし同監督3年目の2013-14シーズンは采配に限界が見え、フェーは辞任。そこでブレーメンの黄金期を築いたトーマス・シャーフ監督を招へいし、昨シーズンは9位に入るなどしたが、なんとシャーフ監督までもがたった1年でチームを去ってしまった。

 今シーズン開幕を迎えるにあたり、チームを発展させる適任者はおそらく何人もいたはず。しかし首脳陣はまたしてもフェーを呼び戻すという“安パイ”を選び、その結果フランクフルトは今シーズン著しく低迷している。第26節からはニコ・コヴァチ監督が指揮を執るようになり、終盤で初の3連勝を飾るなど持ち直したかに思えたが、最終節でブレーメンに敗れ、入れ替え戦へ回ることになった。

 もちろんフランクフルトの“顔”であるFWアレクサンダー・マイヤーが、負傷により今シーズンわずか19試合の出場にとどまった点も無視できない。しかし問題の本質は、クラブの運営を司る者たちにあったような気がしてならない。

シュトゥットガルト

[写真]=Bongarts/Getty Images

■17位:シュトゥットガルト(30点)

 アレクサンダー・ツォルニガーが新たな指揮官となり、同監督の志向する攻撃サッカーは確かに魅力的ではあった。しかし、その一方で失点の数は減ることなく黒星は積み重ねられ、最後は選手との間に消すことのできない溝ができてしまい、たった13試合であえなく解任となった。

 ツォルニガー監督に替わりU-23からトップチームへ内部昇格したユルゲン・クラムニー監督は選手との対話を重視する、いわゆるモチベーター。就任直後の第14節ドルトムント戦は敗れ、続く2試合も引き分けに終わったが、その後5連勝を飾り、自動降格圏から10位へ押し上げることに成功している。

 しかし、これだけ失点が多かったのにもかかわらず、ロビン・ドゥットSDは最終ラインの補強に消極的で、冬の移籍市場において獲得した守備的ポジションを任せられる選手は、MFケヴィン・グロスクロイツとDFフェデリコ・バルバだけ。前者は右サイドバックとしてチームに貢献したものの、後者はたった2試合の出場に終わるなど、まるで効果が出なかった。1974-75シーズン以来2度目の2部降格は、もはや必然と言えよう。

ハノーファー

[写真]=Getty Images

■18位:ハノーファー(20点)

 2014-15シーズン最終節でなんとか降格を免れたハノーファーだが、不穏な空気はプレシーズンから漂っていた。残留の立役者だったMFラース・シュティンドル、FWジミー・ブリアンの2選手に加え、MFレオナルド・ビッテンコート、FWホセルらが次々とチームを去って行き、彼らの代役として獲得された選手はいずれも小粒。さらにMF清武弘嗣は6月の日本代表合流中に骨折するなど、戦力が不十分なまま開幕を迎えることになった。

 その清武が第4節に復帰し、エースに引っ張られるようにクラブの調子もやや上向きかけた。しかしその後、中足骨の骨折を再発した10番がいない間に、同クラブは8連敗という記録的なペースで黒星を重ね、清武が2度目の復帰を果たしても、“負の勢い”は止められなかった。その結果、1965-66シーズンにタスマニア・ベルリンが残したシーズン23敗というブンデスリーガ史上最低記録に並び5度目の2部降格となっている。

 疑問が残るのは、移籍市場での動き方だ。先述のように開幕前で大きな補強をしなかったのはもとより、前半戦で得点力不足にあえいでいたにもかかわらず、冬のマーケットで獲得した攻撃的プレーヤーは、ブンデスリーガ18試合ノーゴールが続いていたホッフェンハイムのFWアダム・サライ、シャーフの元教え子FWウーゴ・アルメイダ、FWマリウス・ヴォルフ、攻撃的MFアイバー・フォッスム。彼ら4選手が後半戦に決めた総ゴール数は、たったの1しかないのだ。

 自動降格となったシュトゥットガルトは、会長やSDが責任を取りその椅子を離れることになったが、今のところハノーファーに同様の動きはない。降格の原因がどこにあったのか、クラブ首脳陣は今一度振り返るべきではないだろうか。

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