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今大会はゴードン! U-21欧州選手権における過去5大会の最優秀選手を振り返る

2023.07.12

U21欧州選手権でゴールデンボール賞に輝いた選手たち [写真]=Getty Images

 今月8日にUEFA U-21欧州選手権2023の決勝が行われ、U-21イングランド代表がU-21スペイン代表を1-0で下して優勝を果たした。

 大会最優秀選手(MVP)には勝者となったU-21イングランド代表のアンソニー・ゴードンニューカッスル)が選出されたが、過去にゴールデンボール賞(MVP)を受賞した選手たちはどのような道を歩んでいったのか。ここでは10年前に行われた2013年大会までの受賞者を振り返っていく。

[写真]=Getty Images

アンソニー・ゴードン

今大会でイングランドの優勝に貢献したゴードン(左)


 

■2021年大会:ファビオ・ヴィエイラ

ファビオ・ヴィエイラ

この大会でインパクトを残したヴィエイラは、後にアーセナルへステップアップを果たす


 前回大会の受賞者は現在アーセナルに所属するファビオ・ヴィエイラだ。決勝でU-21ドイツ代表に敗れて優勝を逃したU-21ポルトガル代表だったが、同賞を選考したパネルの1人が「多くのチャンスを作るプレーメーカーであり、中盤と攻撃陣を繋ぐ素晴らしい存在だった」と語ったように、同チームの攻撃を司ったことが評価されての受賞だった。

 当時ポルトに所属していたF・ヴィエイラは大会直後の2021-22シーズンはそのまま同チームでプレーを続け、公式戦39試合に出場して7ゴール16アシストの大活躍。リーグとカップの2冠に貢献した。すると2022年の夏、3500万ユーロ(当時のレートで約50億円)の移籍金でアーセナルに引き抜かれた。

 加入初年度となった2022-23シーズンは主にヨーロッパリーグ(EL)やFAカップなどカップ戦での出場がメインとなり、公式戦33試合の出場で2ゴール6アシストを記録。しかし、プレミアリーグの出場はわずか499分にとどまった。チームが優勝争いを演じ、ミケル・アルテタ監督がレギュラーをある程度固定していたという事情はあったが、今後はレギュラー陣を脅かすパフォーマンスを見せたいと意気込んでいることだろう。

■2019年大会:ファビアン・ルイス

ファビアン・ルイス

2ゴール2アシストでスペインを優勝へ導いたファビアン・ルイス


 イタリアとサン・マリノで行われた2019年大会はU-21スペイン代表が制し、同チームを中盤で支えたファビアン・ルイスが最優秀選手に選出された。F・ルイスは中盤の選手ながら4試合で2ゴール2アシストと多くの得点に絡む活躍を見せ、パネルの1人から「守備陣を切り裂くスルーパス、ロングレンジのシュート力、スピードを兼ね備えたオールラウンダー」と絶賛された。

 当時はナポリでプレーしており、大会直前にはフル代表でもデビューを飾っていたF・ルイスは、大会後もイタリアのチームで主軸として活躍。2019-20シーズンにはコッパ・イタリア優勝に貢献した。そして昨年の夏にフランスのパリ・サンジェルマン(PSG)に5年契約で完全移籍を果たし、公式戦37試合出場3ゴール3アシストの成績で、チームのリーグ・アン2連覇を後押しした。

 なお、PSGは今夏に2年連続となる日本ツアー『Paris Saint-Germain JAPAN TOUR 2023』を開催する。アクシデントなどがなければ、F・ルイスも来日を果たし、その姿を見せてくれることだろう。

■2017年大会:ダニ・セバージョス

ダニ・セバージョス

スペインは準優勝ながらゴールデンボール賞に輝いたセバージョス(右)


 2019年大会は決勝でU-21ドイツ代表を破ったU-21スペイン代表だったが、2017年大会ではドイツに0-1で敗れ、優勝を逃した。しかし、最優秀選手に輝いたのは敗れたスペインのダニ・セバージョスだった。大会直前の2016-17シーズンにベティスでラ・リーガ30試合に出場し2ゴール2アシストを記録していたセバージョスは、既に多くのクラブから関心を集める存在だった。大会後には満を持してレアル・マドリードへ移籍を果たしている。

 しかし、カゼミーロ、トニ・クロース、ルカ・モドリッチらの壁は厚く、加入初年度は公式戦22試合でわずか896分間の出場に。2018-19シーズンはジネディーヌ・ジダン監督が退任し、フレン・ロペテギが監督に就任したことにより、ラ・リーガ開幕戦でスタメンを勝ち取るなど徐々に出場機会を増やした。その後、2018年10月に監督がサンティアゴ・ソラーリに代わっても出場機会が減ることはなかったが、2019年3月にジダンが再び監督に就任すると、かつてと同じくスタメンを外れることが増え、2019-20シーズンは出場機会を求めてアーセナルにレンタル移籍で加入した。

 アーセナルでは負傷で戦列を離れることもあったが、公式戦37試合の出場で2ゴール2アシストの活躍を見せると、翌2020-21シーズンも引き続きローンで残留。公式戦40試合のピッチに立って3アシストを記録した。これを受けてアーセナルは完全移籍での獲得を望んでいたものの、交渉の折り合いがつかず。また、2021年5月にジダン監督が辞任したこともあり、レアル・マドリードへ復帰することを決断。2021-22シーズンは怪我や新型コロナウイルス感染症の影響もあって公式戦18試合の出場にとどまったが、2022-23シーズンはキャリア最多となる公式戦46試合に出場して1ゴール9アシストを記録。今年6月には2027年夏までの契約延長が発表されるなど、現在のセバージョスはレアル・マドリードで充実の時を迎えている。

■2015年大会:ウィリアム・カルヴァーリョ

ウィリアム・カルヴァーリョ

守備的な選手ながらインパクト抜群だったW・カルヴァーリョ


 U-21スウェーデン代表が初優勝を果たしたこの大会だが、最優秀選手賞を受賞したのは皮肉にも決勝のPK戦でPKを失敗したU-21ポルトガル代表のウィリアム・カルヴァーリョだった。カルヴァーリョは守備的MFとして広範囲をカバーし、パネルの一人も「ベルナルド・シウヴァやイヴァン・カヴァレイロが前線で混乱を引き起こす助けとなった」と攻撃的なチームにおける影響の大きさを評した。

 スポルティングでプレーしていたW・カルヴァーリョは2013年11月にフル代表デビュー済みで、翌年のEURO2016でも5試合に出場。ポルトガルの優勝に大きく貢献していた。プレミアリーグへの移籍も何度も取り沙汰され、アーセナルの関心も囁かれる中、特に熱心だったのがウェストハム。当時のクラブ史上最高額となる2500万ポンド(当時のレートで約35億円)での獲得を狙ったものの、スポルティングは4000万ポンド(当時のレートで約56億円)を要求。結局その差が埋まることはなく、プレミアリーグ行きは破談となった。

 その後、W・カルヴァーリョは2018年の夏にベティスへ移籍。ケガによる離脱があった2019-20シーズンを除いて全てのシーズンでラ・リーガ戦27試合以上に出場するなどレギュラーとして活躍し、2021-22シーズンにはコパ・デル・レイ(スペイン国王杯)全試合に出場して優勝に貢献した。2022年9月には、2026年夏まで契約を延長している。

■2013年大会:チアゴ・アルカンタラ

チアゴ・アルカンタラ

決勝戦でハットトリックを決めたチアゴは文句なしのMVPだった


 大会2連覇を狙うU-21スペイン代表は決勝でU-21イタリア代表と対戦。自身も2大会連続の出場となり、決勝でハットトリックを達成したチアゴ・アルカンタラが文句なしの大会最優秀選手に選ばれた。

 大会前に出場機会を求めてバルセロナ退団を希望していたチアゴには、マンチェスター・Uやレアル・マドリードも興味を示していたが、最終的には“恩師”のペップ・グアルディオラが指揮を執っていたドイツのバイエルンに移籍。移籍金は2500万ユーロ(当時のレートで約32億円)だった。

 バイエルンではチームの中心として攻撃を操り、在籍した7シーズン全てでブンデスリーガ優勝を経験。その他にもDFBポカール4回、チャンピオンズリーグ(CL)、クラブワールドカップなどのタイトルを獲得した。

 2020年の夏には新しい挑戦を求めてリヴァプールに加入し、2021-22シーズンは国内カップ2冠(FAカップ、カラバオ・カップ)に貢献。2022-23シーズンはハムストリングや臀部の負傷により、プレミアリーグでの出場が18試合にとどまっていた。チームとしても個人としても厳しいシーズンとなってしまったため、新シーズンは巻き返しを期待したい。

(記事/Footmedia)

By Footmedia

「フットボール」と「メディア」ふたつの要素を併せ持つプロフェッショナル集団を目指し集まったグループ。

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