2016.06.25

【データで見るユーロ2016】イングランドとウェールズ両者の明暗を分けた“攻撃の効率性”とは?

直接対決では勝利を収めたイングランドだが、最終的にはウェールズが逆転で1位通過した [写真]=Getty Images
「フットボール」と「メディア」ふたつの要素を併せ持つプロフェッショナル集団を目指し集まったグループ。

 ユーロ2016のグループリーグで屈指の好カードとされたのが、16日に行われたイングランドとウェールズによる“英国対決”だった。主要国際大会での顔合わせは、これが初めてのこと。それだけに、両国にとっては、いつも以上に負けられない戦いだった。

 果たして結果は、イングランドが2‐1で逆転勝利。これにより、イングランドはウェールズを上回って、グループBの首位に浮上。初戦でユーロ本大会初勝利を挙げたウェールズと、ロシア相手にドロー発進となったイングランドの形勢は一転したかのように思えた。

 ところが、最終的にグループ首位で決勝トーナメント進出を決めたのは、ウェールズだった。イングランドは20日のスロヴァキア戦でスコアレスドローに終わり、グループ2位。ウェールズの後塵を拝する格好となり、ドイツやスペインら強豪国が集まる“死の山”に組み込まれることとなった。

 前評判が高かったものの躓いたイングランドと、初出場ながら躍進を見せるウェールズ。果たして、両者の明暗を分けたものは何だったのか――。

 ユーロ2016全51試合を生中継しているWOWOWで公開されている「WOWOW UEFA EURO 2016™ データセンター」では、チームごとのスタッツを比較できる。イングランドとウェールズのスタッツを比べてみると、両者の差として顕著に表れたのが、“攻撃の効率性”だった。

 今大会のイングランドは、完全にポゼッション型のチームである。グループリーグ終了時点でのボール支配率は、ドイツ(71.9%)、スペイン(67.2%)、ポルトガル(64.9%)に次ぐ60.9%を記録。またパス総数は1536、パス成功率は86%と、こちらもトップ5に入っている。

 ところが、ボールを保持してゴールに近づくものの、肝心の得点が奪えない。グループリーグで放ったシュート数は計64本。これはポルトガルの70本に次ぐ数字だが、3ゴールしか奪えず、決定率はわずか7%だった。この効率の悪さが命取りになったと言える。

 代表の歴代トップスコアラーであるウェイン・ルーニー、プレミアリーグの得点ランキングで1位、2位を独占したハリー・ケインとジェイミー・ヴァーディ、さらにダニエル・スタリッジに、18歳の新星マーカス・ラッシュフォードと、今大会のイングランドは豊富なタレントに恵まれている。だが、その多士済々のアタッカー陣がここまで“不発”というのは皮肉なものだ。

 対照的に、ウェールズはボールを持つ時間こそ少ないものの、抜群の決定力を発揮して、最高の成果を挙げることに成功した。ボール支配率(41.2%)は参加24カ国中、下から数えて3番目に低かったが、シュート決定率はイングランドを大きく上回る17.6%を記録。これは、アイスランド(23.5%)、ハンガリー(20.7%)に次いで、3番目に高い。彼らはハンガリーと並んでグループリーグ最多タイの6得点を挙げたが、好機を高い確率でモノにしていたのだ。

 その原動力となったのは、やはりギャレス・ベイルである。スペインのアルバロ・モラタと共に、得点ランクトップタイに立っているエースは、グループリーグ3試合で計15本のシュートを放ったが、その枠内率は80%を記録。20%という高い決定率を誇った。ちなみに、ベイルは1人で枠内シュート12本を放っており、イングランドがチーム全体で放った枠内シュート数(15本)にわずか3本足りないだけだった。

 ウェールズは、イングランドのように豊富な戦力を持ち合わせていない。だが、“ベイル”という絶対的な攻撃の軸がある。それ故、戦術のバリエーションは決して多くないが、やることはシンプルかつ明快。そしてこれがユーロ本大会デビューであるために最初から失うものなど何もなく、それが迷いのないプレーを生んでいた。短期決戦で行われる国際大会において、それは大きな強みとなる。決勝トーナメント1回戦では、奇しくも、同じ初出場組の北アイルランドと対戦することになったが、快進撃がどこまで続くのか、要注目だろう。

 一方のイングランドは、開幕前に懸念材料として挙げられていた、攻撃陣の“最適解”をいまだ見出せずにいる。ロイ・ホジソン監督は、グループリーグ3試合を通じて、メンバーを入れ替えたり、組み合わせを変えたりと、様々な策を講じているが、裏を返せば、今も実験を続けていて“本番仕様”のチームを作れずにいる、とも言える。ウェールズ戦では、ハーフタイムでの2枚替えが見事に的中し、国内メディアからその采配を称えられたが、次のスロヴァキア戦では、スタメンを6名も変更したことに一転して疑問の声が相次いだ。

 決勝トーナメント1回戦ではアイスランドと対戦するが、彼らもウェールズによく似たチームである。ボール支配率(29%)は低いものの、参加24カ国中トップのシュート決定率(23.5%)でもって、大混戦のグループFを突破してきた。相手は典型的な堅守速攻型のチームであり、だからこそイングランドとしては、ここまでの課題をクリアできたのか、あるいは未解決のまま終わるのか、それが試される重要な一戦となるだろう。

 いかにしてゴールを奪うのか――。「近年最高」と評される“スリーライオンズ”が、真価を発揮できるかどうかは、すべてそこに懸かっている。


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