2018.11.06

【ラ・リーガツアー/回想記】“情熱の国”スペインに魅せられて

ラ・リーガツアーでは、スペインのサッカーと文化を存分に堪能できた。
サッカーキング編集部

 夏祭りや花火大会、学園祭の終わり際に、何とも言えない虚脱感に襲われたことはないだろうか。僕は今、まさにそういった心境の中でこの原稿を書いている。

 ラ・リーガ主催のメディアツアーに参加するため、バルセロナ入りしたのが先月の24日。そこから約一週間、“情熱の国”スペインのサッカーと文化にどっぷり浸かる日々を過ごさせてもらった。

普段は立ち入ることのできない場所に数多く案内してもらった。ラ・リーガの計らいには本当に感謝したい。

 日本に戻ってきて、あらためて感じたことがある。スペインでは人々の生活の中にサッカーがしっかりと組み込まれている。それも、ごく自然に。日本のスポーツ番組では、今でも野球のニュースのほうが大々的に取り上げられるし、大相撲やバスケットボール、テニスにバレーボールと、人々の興味は実に多種多様な競技に分散していく。

 スペインは違った。ホテルに戻ってテレビをつければ、往年の名選手が試合を解説するサッカー番組が何時間も放映されているし、売店に並ぶ新聞も一面はほとんどがサッカーの話題。ホテルの受付の人ですら、週末のリーガの試合について意見を求めてくるくらいだ。

 サッカーに捧げる熱量が、スペインは圧倒的に高い。人々はおらが街のクラブを応援し、選手たちはスペクタクルなプレーでファンを魅了する。子どもたちはスターに憧れ、毎日街のそこかしこでボールを追いかける。やがて、彼らのなかで本当に優秀な者だけが選別され、国を代表する選手へと成長していく。スペインには“強者のサイクル”が流れているのだろう。

 もちろん、スペインが誇るのはサッカー文化だけではない。ひとたび外に出れば、まるで映画のセットのような街並みが広がる。

 アントニ・ガウディが手がけた『グエル公園』を訪れるのは、今回が二度目だった。6年前、大学の卒業旅行でバルセロナに立ち寄った時、初めてこの世界遺産に足を踏み入れたのだ。

 今回はあいにくの空模様だったが、カラフルなタイル調のモザイク装飾、洗練されたデザインの塔、ごつごつした石造りの回廊は、見る者を圧倒させる存在感を放っていた。元々『グエル公園』は、高所得者向けの分譲住宅地として設計されたという。もし、自分がこの空間に居を構えたとしたら……と考えてみた。あのハイセンスな住環境に慣れることは、きっと一生ないだろう。

ガウディが追い求めた理想郷を見るために、多くの観光客が『グエル公園』を訪れていた。

 食文化も豊かだった。ツアー1日目の記事でも紹介したカタルーニャ地方の料理であるパンコントマテは、完熟トマトとガーリックの香りが食欲を刺激する。地中海で獲れた魚介類は、どれも肉厚で味が濃厚。食事中のボキャブラリーが貧相な僕は「うわっ、おいし」をただただ繰り返していた。

 今回のツアーで一番印象に残った料理は? と聞かれたら、僕は真っ先に『El Moli』でいただいた料理を挙げるだろう。シェフのジョルディ・ジャカスは、今回のエル・クラシコの直前にも、両クラブのVIPに最高級の食事をふるまったそうだ。皆さんもスペインに渡航することがあれば、是非『El Moli』で素晴らしい料理に舌鼓を打つことをお勧めする。

海老と貝のリゾット。目の前でまわしかけてくれるソースが絶品だ。

締めのデザートはチョコレートアイス。カプチーノとの相性が抜群だった。

 ラ・リーガツアーの大トリであるエル・クラシコは、バルサが5-1でレアルを下す衝撃の結果で幕を閉じた。ジダンが去った今季のレアルは不振を極めているが、バルサも決して万全の状態だったわけではない。

 不安定だったピケの復活、セルジ・ロベルトのポジションチェンジ、ラフィーニャのハードワーク、左ウイングの位置で輝いたコウチーニョ、“キラー”スアレスの決定力……。バルサ快勝の要因は多々あるのだろうが、僕は「スタジアムの力」を感じざるを得なかった。

 レアルのロペテギ監督の立場が風前の灯火だったこともあり、バルササポーターは「ここが叩きどころ」だと理解していたように思う。試合開始前から彼らのボルテージは非常に高かったし、試合が始まれば全力でレアルの選手たちにプレッシャーをかけていた。エル・クラシコでは当たり前の光景なのだろうが、今回、サポーターがバルサの圧勝を演出した部分は大きかったと思う。

流れが悪いと見るや、自然発生的に声援が沸き起こる。スタジアムに詰めかけた彼らは真の“サポーター”だった。

 ラ・リーガツアーという”お祭り”は終わったが、ヨーロッパサッカーのシーズンはまだまだ続いていく。やっぱり、最初に書いたことは取り消そう。移り変わりの激しいサッカー業界の人間として、いつまでも虚脱感に襲われ、立ち止まっている場合ではない。スペインの思い出は大切に胸にしまっておきつつ、新たな原稿の執筆に取りかかるとする。

文=松本武水

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