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【ラ・リーガツアー/最終日】エル・クラシコと旅の終わり

2018.10.29

ツアー最終日の目玉は“世紀の一戦”エル・クラシコの生観戦だ。

 2004-05シーズンの第12節、『カンプ・ノウ』で行われたエル・クラシコを僕は今も鮮明に覚えている。ただ、覚えていると言っても、それは試合の結果だとか試合中のエピソードを記憶しているという意味ではない。僕の脳内にはっきりと残っているのは、試合前のスタンドの光景である。

 メインスタンドなどの一部の観客が色とりどりのシートを持ち、モザイクを作って入場してくる選手たちを迎えるのは、カンプ・ノウクラシコの風物詩だ。ただ、2004-05シーズンのクラシコは様子が違った。歴史上初めて、360度スタンドがモザイクで埋まったのだ。

 テレビを介して見ていたにも関わらず、その光景は直接この目で見たかのように鮮烈で、圧倒的だった。この空間に居合わせた人は幸せだな、と当時の僕は強く思った。

 そして、14年後の2018年10月28日16時、何たる偶然のめぐり合わせか、僕はモザイクで埋め尽くされるであろうスタンドの一部となる。そう、ラ・リーガツアー最終日のトリを飾るのは、『カンプ・ノウ』でのエル・クラシコ生観戦だ。

今回のクラシコも、きっとスタンド一面がバルサカラーに染め上げられることだろう。

 市内で昼食をとった僕たちジャーナリスト一行は、その後バスでスタジアムの近くまで移動した。バスを降りると、そこかしこから鳴り物の音が聞こえてくる。まわりには、青とえんじのユニフォームに袖を通した人、人、人。自然と、頭の回路がクラシコモードへと切り替わっていく。

 正面ゲートをくぐると、3日前に訪れたばかりの『カンプ・ノウ』が視界に入ってきた。しかし、その趣は3日前のそれとはまったく異なって見える。人々の熱気がスタジアム自体に乗り移り、威厳を増しているように感じた。

熱気を帯びた人々が次々に中へと吸い込まれていく。『カンプ・ノウ』が巨大なモンスターにも見えてきた。

金額のところにご注目。よっ、ラ・リーガの太っ腹。

 席に着くと、明らかに自分の感情が高ぶっていることに気づく。小さい頃にテレビで観ていた舞台が、今目の前に広がっているのだから、無理もないことだと思う。僕の隣にはインドから来たジャーナリストが座った。彼はマドリディスタなので首元にレアルカラーのマフラーを巻いていたのだが、スタジアム内の係の人にたしなめられてしぶしぶ外していた。僕たちの席がバルササポーターのど真ん中にあることを考えると、彼は係の人に感謝をしなければならないかもしれない。

 選手入場を告げるイムノが鳴り出すと、サポーターたちは一斉に大声で歌い始めた。そして、座席に置いてあるシートを手に持って掲げる。スタジアムが360度、青とえんじとカタルーニャ州旗の黄色と赤に彩られていく。かつてテレビで見て圧倒された光景が、そっくりそのまま目の前にあった。

スタンドがびっしりとモザイクで埋め尽くされていく。

 試合は早い段階で動く。11分、ジョルディ・アルバの折り返しをコウチーニョがきっちり仕留め、バルサが先制に成功。30分にはクラシコ史上初のVAR判定で得たPKをスアレスが沈めた。ボルテージが最高潮に達したサポーターたちは、高らかに「セルヒオ・ラモス、イ〇デプータ!」と叫び、相手キャプテンをこき下ろしていた。

 ウルグアイのゴールキラーが83分に絶妙なチップキックでハットトリックを決めた頃、僕は今回のラ・リーガツアーのことを思い返していた。各国のジャーナリストとのニュー〇ライズン英会話、バルサやエスパニョールの下部組織見学、急遽決まったジローナとラージョの試合観戦。何もかもが刺激的で、驚きに満ちていた。エル・クラシコの終了を告げる笛は、すなわちツアー終了の合図でもある。もうどうにも止まらないサポーターたちの大音量の声援を聞きながら、夏祭り終盤の花火を眺めているような、何ともセンチメンタルな気分に浸ってしまった。

 最終的に、バルサは5-1の大差でレアルを破った。家路を急ぐ人々に紛れて、僕たちもホテルに戻る。信号待ちをしている時に、トルコ人ジャーナリストに声をかけられた。

「昨日のキニエラ(スペインのサッカーくじ)、君は当てることができたかい?」

 そうだった。ジローナの試合後に立ち寄ったレストラン『El Moli』で翌日のエル・クラシコの話になり、せっかくだからみんなで少しだけお金を出し合って自家製のキニエラでスコア予想をしようということになったのだ。エル・クラシコの世界観にすっかり飲み込まれていた僕は、賭け事のことをすっかり忘れていた。

 僕は何対何に賭けてたっけ? と聞くと、彼は肩をすくめて言った。

「たしか2-1でバルサ勝利だよ。まぁ、5-1なんて誰も当てられないけどね」

 むむむ。2ユーロをどぶに捨ててしまった。でも、不思議と清々しい気持ちになっている自分がいる。スコアをみんなであれこれ予想し合っていた時間も、ツアーのかけがえのないシーンのひとつだったと思うから。

文=松本武水

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