2018.10.27

【クラシコ展望】メッシ不在でもバルサらしく戦い、バルサらしく勝利を収めることができるか

バルサは日本時間の29日にレアル・マドリードとの「エル・クラシコ」に臨む [写真]=Getty Images
「フットボール」と「メディア」ふたつの要素を併せ持つプロフェッショナル集団を目指し集まったグループ。

 20日に行われたリーガ・エスパニョーラ第9節で、バルセロナはセビージャに4-2で勝利。レアル・マドリードとの“エル・クラシコ”を前にして、リーガ・エスパニョーラの首位の座を奪還した。宿敵との勝ち点差は「4」に広がり、優位を保ったままホームでの大一番に臨むことができる。

 しかし、勝利の代償はあまりに大きかった。リオネル・メッシが右ひじを骨折し、3週間の離脱が決定。絶対的エースの不在をどう乗り越えるのか。エルネスト・バルベルデ監督の手腕、そしてチームの底力が試されることになる。

 メッシの欠場で空いた1枠をめぐっては様々な意見が出ているが、最も有力なのはアタッカーを起用する案だ。候補としては、セビージャ戦でメッシに代わって登場したウスマン・デンベレのほか、ムニル・エル・アダディやマルコムの名前が挙げられる。中でもマルコム待望論は根強く、スペイン紙『マルカ』のアンケートでは、ブラジル代表レフティーの起用を望む声が半数近くに達した。スピードに乗ったドリブル突破が最大の武器で、右から中央へとカットインしてからのミドルシュートを得意とする。タイプとしては、メッシに最も近い選手だ。

メッシは20日のセビージャ戦で右ひじを骨折。バルサは絶対的エースを欠いてレアルとの大一番を迎える [写真]=Getty Images

 ただし、大きなネックがある。指揮官の信頼を得られていないのだ。今季ここまで、リーグ戦2試合に出場したのみ。いずれも途中出場で、プレー時間は30分にも満たない。攻撃よりも守備のデメリットの方が大きく、周囲との連携や戦術理解という点でも他の選手に見劣りするのだろう。メッシ級の活躍が保証されているのであれば起用に迷いはないはずだが、マルコムはあくまでマルコムで、メッシではない。守備が得意ではなく、バルサ独特のメカニズムを習得していないとなれば、相手にとっては“狙い目”となる。対面には百戦錬磨のマルセロが控えているため、慎重派で知られるバルベルデ監督が博打とも言える手を打つとは考えにくい。

 そもそも、今季のバルサはチーム全体で守備に問題を抱えている。開幕2試合連続で無失点を達成したものの、第3節以降はリーグ戦7試合連続で失点中。第9節終了時点で11失点は、昨季同時期(3失点)の3倍以上になる。それでも、リーグ最多得点を誇る自慢の攻撃力によって首位の座を取り戻したが、今回のクラシコはメッシが不在で、なおかつ相手はレアルである。極度の得点力不足に喘ぐライバルチームだが、撃ち合いの展開になれば勝負はどう転ぶか分からない。仮に本拠地で打ち負けるようなことがあれば、今後に与える影響は大きく、それは絶対に避けなければならないシナリオだ。

 そこで持ち上がっているのが、4-4-2の再採用である。バルベルデ監督が昨季導入したバランス重視のこの布陣によって、バルサは国内2冠を達成。選手たちからの評判も良かった。前線の枚数が減ることで攻撃力の低下は否めないが、引き分けでも十分という今回のクラシコにおいては、検討に値するオプションである。メッシ不在というハンデを逆手にとって、指揮官が最も好む戦い方を選択したとしても不思議ではない。

 その場合、メッシに代わって先発メンバーに名を連ねるのは、アルトゥーロ・ビダルやラフィーニャといった中盤の選手になるだろう。また、ケガ明けのセルジ・ロベルトを得意の2列目で起用する可能性もある。中盤に純粋なMF4枚を並べ、前線はリヴァプール時代からの同僚であるフィリペ・コウチーニョとルイス・スアレスで2トップを形成。前者が“メッシ役”を担うというプランも浮上している。

24日に行われたCLインテル戦ではメッシの代役として先発起用されたラフィーニャが期待に応えた [写真]=Getty Images

 ただし、4-4-2を採用するにしても、大きな問題を抱えている。“負けないこと”を優先させたようなサッカーがバルサファンに受け入れられるのか、ということだ。実際、システム変更の案は『マルカ』のアンケートで2割程度の支持しか得られていない。バルサの伝統はあくまで4-3-3であり、メディアとファンはずっとこの布陣に慣れ親しんできた。今季になって原点回帰を果たしたにも関わらず、ホームゲーム、しかも有利な状況で迎えるクラシコであえて4-4-2を使ったとなれば、指揮官に対するイメージは低下するだろう。もちろん「勝てば官軍」がプロの世界だが、万が一負けるようなことがあれば、撃ち合いの末に敗れたとき以上に深い傷を負うことになるはずだ。

 いずれにせよ、今回のクラシコはこれまで以上にバルベルデ監督の采配が勝敗を左右することになるだろう。24日に行われたチャンピオンズリーグのインテル戦では、ラフィーニャを先発に抜擢。メッシと同じ3トップの右に入ったブラジル人MFは先制点をマークし、2-0の勝利に貢献してみせた。 “代役”を完璧にこなした彼が、クラシコでも継続起用されるのか。あるいは、この試合で出場機会のなかったデンベレやマルコムが先発の座を勝ち取るのか。90分の“テストマッチ”を経て指揮官が下す最終決断には、大きな注目が集まる。

 なおセビージャ戦では、メッシの負傷交代後に2ゴールを追加して勝ち切った。今季唯一、ベンチスタートとなった第7節のアスレティック・ビルバオ戦では、先制を許す苦しい展開のなか、途中出場したエースの活躍で辛くもドロー。“メッシ依存”が改めてクローズアップされていただけに、この2連勝がチームに与える自信は大きい。メンタル面の不安はいくらか払拭されたはずだ。

 順位表のうえでは首位に立つが、メッシ離脱という大きなハンデを背負って今季最初のクラシコを迎えるバルサ。背番号10の代わりを務めるのは誰になるのか。また、システム変更はあるのか。試合当日のメンバー発表まで、議論は尽きないだろう。そして何より、バルサらしく戦い、バルサらしく勝利を収めることができるのか。結果はもちろんのこと、美学もまた問われる。それがクラシコだ。

(記事/Footmedia)

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