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前人未到のCL3連覇達成も…新生レアルが乗り越えるべき5つの課題

2018.09.17

昨季、レアルはチャンピオンズリーグ3連覇を達成した [写真]=Getty Images

 レアル・マドリードは、リーガ・エスパニョーラで開幕3連勝と最高のスタートを切った。この夏は、チャンピオンズリーグ3連覇をもたらしたジネディーヌ・ジダン監督と絶対的エースのクリスティアーノ・ロナウドが相次いで退団するという激震に見舞われたが、蓋を開けてみれば2人のカリスマの不在を感じさせない門出となった。

 だが、急転直下で新指揮官に就任したフレン・ロペテギ監督に率いられたチームが、不安を完全に払拭したと見るのは時期尚早だ。新生レアルが、ヨーロッパの強豪がひしめくCLで支配力を維持し続け、宿敵バルセロナの独走を許して近年最低の成績に終わったリーガでも頂点に立つためには、乗り越えなければならない課題がいくつかある。

文=北村敦 写真=ゲッティ イメージズ

1.C・ロナウドの穴

 夏の移籍市場では、C・ロナウドの穴をどのように埋めるかに注目が集まった。狙っていたビッグネームを補強することができず、前線ではリヨンからFWマリアーノを買い戻すのみにとどまった。

 不安を抱えたまま開幕したリーガでは、カリム・ベンゼマが得点ランキング首位タイの4ゴール、ガレス・ベイルがそれに次ぐ3ゴールを挙げるなど、懸念された得点力低下は今のところ見られない。しかし、在籍9年間で公式戦450ゴールを記録した大エースの不在を完全に拭い去ったとまでは言えず、両選手を信用し過ぎるのも危険だ。実際、ロペテギ監督が新エースとして期待を寄せているベイルは、入団以来5年間で14度も負傷を繰り返している。また、C・ロナウドのアシスト役から解放されてゴールを量産しているベンゼマも、これまで指摘されてきた決定力不足に再び陥る可能性は否定できない。

 両選手と“BBAトリオ”を形成するマルコ・アセンシオを含め、誰が出場しても点が取れる攻撃陣を再構築する必要がある。

“ゴールマシン”C・ロナウドがユヴェントスへと去り、今季のレアルは過渡期を迎えている [写真]=Getty Images

2.カゼミーロとマルセロのバックアッパー不在

 レアルの中盤は、ベストメンバーが揃えばヨーロッパ屈指の陣容を誇る。その一方で、先のワールドカップでMVPに輝いたルカ・モドリッチと、チームの頭脳であるトニ・クロースを陰で献身的に支えるカゼミーロが欠場した場合、攻守のバランスが大きく崩れることが指摘され続けてきた。しかし、守備的ミッドフィルダーの補強はこの夏の移籍市場でも行われず、問題は放置されたままとなっている。

 また、信頼できるバックアッパーが不足しているという点では、マルセロが不動のレギュラーに君臨する左サイドバックも同様だ。テオ・エルナンデスを放出したことにより、その役目はポリバレントな能力を誇るナチョ・フェルナンデスが引き受けることになるが、右利きだけにセンターバックや右サイドバックに比べてパフォーマンスが落ちることは否めない。また、最終ラインに複数の故障者が出た場合、高いレベルを維持できる陣容にないのも懸念材料だ。

黒子役に徹するカゼミーロの貢献度は計り知れない。彼にもしものことがあれば、チームは大いに苦しむことになる [写真]=Getty Images

3.控え選手の経験不足

 レアルのトップチーム所属選手の平均年齢は25.4歳と、リーガで2番目に若い。その一方で、モドリッチは33歳、セルヒオ・ラモスは32歳、マルセロとベンゼマはともに30歳と、主力にはベテランが多い。これは控えの年齢層が極めて低いことを意味しており、彼らの経験不足が不安視されている。

 C・ロナウドの退団の影に隠れがちだが、マテオ・コヴァチッチの放出が響く中盤では、イスコ以外に実績豊富なバックアッパーがいない。最終ラインに目を向けても、センターバックと左サイドバックのバックアップをナチョが一手に引き受けているのは、同等のクオリティを持った選手が他にいないからだ。

 ロペテギ監督は、ジダン監督の下では出場機会の少なかったダニ・セバージョスの起用を増やすなど、問題を解決すべく手を打ち始めてはいる。しかし、長丁場のシーズンや複数の大会を戦い抜くために必要な選手層は、一朝一夕には手に入らないだろう。

セバージョスら控え選手の戦力化は、今季のレアルの至上命題だろう [写真]=Getty Images

4.ゴールマウスに潜むリスク

 これまではジダン監督から全幅の信頼を寄せられたケイラー・ナバスが正守護神を務めてきたが、この夏はチェルシーからティボ・クルトゥワを獲得。ワールドカップ最優秀ゴールキーパーの加入により、ゴールマウスは世界屈指の陣容となった。最高クラスの守護神を2枚揃えることは、もちろん戦力的には大きなアドバンテージとなる。しかし、双方とも不安を抱かないように扱うのは極めて難しく、両者の間に軋轢が生じる可能性も十分にある。

 実際、ジョゼ・モウリーニョ監督時代には、確執によりレギュラーを剥奪された主将のイケル・カシージャスと、定位置を奪う形となったディエゴ・ロペスを巡っての起用法が、メディアやファンを巻き込んでの大論争に発展し、チーム内外に不穏な空気が流れたのは記憶に新しい。

 現在のスカッドには他チームなら十分にレギュラーを張れるキコ・カシージャもおり、供給過剰状態のゴールマウスにはリスクが潜んでいる。

ナバス(左)とクルトゥワ(右)を擁するゴールキーパーポジションは世界屈指のレベルにあるが…… [写真]=Getty Images

5.ロペテギ監督の手腕

 これら4つの課題を克服しなければならないのがロペテギ監督だが、その手腕が最大の課題とも言うことができる。これまでスペイン代表の各年代を率いてきた52歳の指揮官は、U-19代表およびU-21代表で欧州選手権を制した実績を持つ一方で、A代表では突然のレアル監督就任発表によりワールドカップ直前で解任されたため、世界最高峰の舞台で采配を揮った経験はない。クラブレベルに至っては、タイトルを獲得できずに解任されたポルトでの1シーズン半が主たる経験と、心許ないと言わざるを得ない。

 レアルというスターが集う世界屈指の名門クラブで、エゴの強い選手達をまとめられるかは未知数だ。ボールポゼッションを重視したスタイルを強調する新指揮官は、現時点ではチームを良い方向に導くことができている。だが、その真価が本当に問われるのは、昨季のリーガでは一つも勝てなかった上位陣との直接対決や、終盤戦の厳しい局面になるだろう。

ロペテギ監督が優秀な指揮官であるのは間違いないが、世界最高峰の舞台での采配経験がないのは不安材料だ [写真]=Getty Images

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