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【コラム】王者レアルに挑む乾貴士と柴崎岳…リーガで戦う日本人の現状と現地評

ヘタフェの柴崎(右)は今週末の第27節、エイバルの乾(左)は第28節に王者レアルと対戦する [写真]=Getty Images(提供:WOWOW)

■リーガで最高のシーズンを送る乾

 ヨーロッパの各国リーグが中盤戦から終盤戦へと差し掛かる3月、リーガ・エスパニョーラではMF乾貴士が所属するエイバルにMF柴崎岳が所属するヘタフェと、日本人選手を擁する2チームが相次いで王者レアル・マドリードに挑戦する。

 両チームは第26節を終えた時点で、エイバルが11勝5分10敗の7位、ヘタフェが9勝9分8敗の10位と、いずれも最大目標の1部残留に向けて着実に歩を進めている。さらに、6位ビジャレアルとの差も、エイバルが3ポイント、ヘタフェが5ポイントと、ヨーロッパリーグ出場圏内も視界に入っている。だがその一方で、乾と柴崎のチーム内での立ち位置は大きく異なっている。

 乾はここまでリーグ戦26試合中25試合に出場。24試合に先発出場し、フル出場も18試合と、レギュラーの座を失いかけながらポジションを確保した過去2シーズンとは異なり、今シーズンは不動の左サイドハーフに君臨している。立場を揺るがしかねない時期はあったものの、何事もなかったかのように毎試合にピッチに立ち続けている。

[写真]=Getty Images(提供:WOWOW)

 まず、序盤戦から不振に見舞われたチームが4バックから5バックへと変更を行った際は、サイドハーフを置かないシステムにおいてトップ下も任された。また、冬の移籍市場で2列目の全てのポジションでプレーできるチリ代表MFファビアン・オレジャーナが加入しても、スタメンの座を明け渡すことは全くなかった。逆に自身と同ポジションのMFベベがローンにより放出されたことからも、チームの乾への揺るぎない信頼が伺える。

 当然ながら、現地での乾への評価もうなぎ上りとなっており、国内最大のスポーツ紙である『マルカ』は、高い技術をしっかり生かせる実用的な選手に成長したとの見解を示している。

「イヌイは、スペインのフットボール界に足を踏み入れて以来、最高のシーズンを送っている。華麗なプレーを繰り出すものの、効果的なプレーが欠けていたこの日本人選手は、相手ゴール前の数メートルでもっと能力を発揮するよう、ホセ・ルイス・メンディリバル監督から要求されていた。その課題は着実に克服されており、現在はフィニッシュに絡む決定的な仕事が大きく増えている」

■負傷離脱中に柴崎を取り巻く状況が一変

 一方、開幕4試合目で左足の中足骨を骨折する不運に見舞われた柴崎は、それにより欠場した10試合を除くと、ここまで15試合中14試合に出場。しかし、先発出場は9試合にとどまっており、フル出場は1試合もない。さらに、第22節のレガネス戦では88分からの出場、第24節のセルタ戦では出場機会なし、第25節のビジャレアル戦では前半一杯で交代と、ここに来てポジション争いで劣勢を強いられている。

 2部のテネリフェで定位置を掴むのに時間が掛かった昨シーズンから一転し、1部のヘタフェであっさりトップ下のレギュラーに収まった今シーズンの柴崎だが、負傷離脱中に自身を取り巻く状況が変わってしまった。ワントップからツートップへと前線を変更したチームは、現在はFWホルヘ・モリーナとFWアンヘル・ロドリゲスのコンビがファーストチョイスとなっており、柴崎の序列は3番手に下がっている。また、前線へのロングボールを多用するスタイルが一段と重視されたことにより、足元でボールを受けられない柴崎は持ち味が発揮できずにいる。

[写真]=Getty Images(提供:WOWOW)

 現在の柴崎について、『マルカ』と並ぶ大手スポーツ紙の『アス』は、トップ下ではなくツートップの一角としてプレーすることによる弊害を指摘している。

「シバサキは、故障するまではヘタフェで最高の選手だった。トップ下として並外れたパフォーマンスを発揮していた。しかし、バルセロナ相手にゴラッソを決めた試合で左足を負傷したことで、状況は一変した。シバサキが抜けた穴を埋める必要が生じたホセ・ボルダラス監督は、試行錯誤の末にシステムを4‐2‐3‐1から4‐4‐2へと変更。これが上手く機能したため、シバサキが復帰した現在もシステムは元に戻されていない。そして、最適なポジションでプレーできていないシバサキも、本来のリズムを取り戻せていない」

 明暗が分かれている両選手の状況は、『アス』による試合採点(最良で3点、良好で2点、普通で1点、低調で0点)にも顕著に表れており、乾が平均1.8点を記録しているのに対し、柴崎は平均1.2点に止まっている。さらに、乾は昨年の平均1.6点から今年は平均2.1点と評価を上げている一方、柴崎は故障前の平均1.5点から復帰後は平均1.0点と評価を落としている。

■柴崎と乾はレアル相手に真価を発揮できるか

 まず、3日に行われる第27節でレアル・マドリードと対戦するヘタフェだが、アウェイでの試合ということもあり、守備を固めてカウンターを狙う戦いが一層顕著になりそうだ。柴崎にとっては不向きの展開となるため、ベンチスタートの可能性も十分に考えられる。だが柴崎には、鹿島アントラーズ時代に出場した2016年のクラブ・ワールドカップ決勝で、レアル・マドリードから2ゴールを奪っている強みがある。従って、この実績が重視された際は、スタメンに名を連ねることになるだろう。実際、ボルダラス監督は第23節のバルセロナ戦では、ベンチスタートを予想する声が多かった柴崎を、第4節の対戦でスーパーゴールを決めた相性を踏まえて先発起用している。

[写真]=Getty Images(提供:WOWOW)

 前半戦の対戦は負傷により欠場したため、スペインでは初めてレアル・マドリードと対戦する柴崎だが、どのポジションでプレーするかによってマッチアップする選手が変わって来る。引き続きツートップの一角に入った場合、センターバックのDFセルヒオ・ラモスおよびDFラファエル・ヴァランと主に対面することになる。一方、トップ下に入った場合、中盤の底のMFカゼミーロと対峙する機会が多くなる。いずれにしても、柴崎に痛い目に遭わされているレアル・マドリードが、厳しいマークを敷いて来ることは想像に難くない。だが、そんな中で好パフォーマンスを見せられれば最高のアピールとなるだけに、ゴールやアシストという目に見える結果を残し、レギュラー再奪取の足掛かりにしたい。

 一方、エイバルは10日に行われる第28節でレアル・マドリードと対戦するが、乾はトラブルでも起きない限りスタメンが確実視されている。前半戦の対戦ではトップ下ないしセカンドストライカーとしてプレーしたため、中盤の底のMFカゼミーロと対峙する機会が多かった乾だが、左サイドハーフで出場することが確実な今回は、右サイドバックのDFダニエル・カルバハルと主に対面することが予想される。また、中央へとカットインした際には、右センターバックのヴァランと勝負することになる。

[写真]=Getty Images(提供:WOWOW)

 現在、左サイドバックのDFマルセロが負傷離脱中のレアル・マドリードにとって、逆サイドのカルバハルの重要度は大きく増している。一方、ホームで王者相手に真っ向勝負を挑むと予想されるエイバルにとって、持ち味であるサイド攻撃は当然ながら生命線となる。従って、乾がこのマッチアップを制圧できれば、エイバルは試合を優位に進められることになり、得意のドリブル突破はもちろんのこと、改善しているフィニッシュに絡む仕事も期待される。昨シーズンはバルセロナ相手に2ゴールを叩き込んだ乾が、今シーズンはレアル・マドリード相手にもゴールを決め、柴崎と同じく2強から得点を記録した選手になれるか注目したい。

 なお、この夏ロシアで開催されるワールドカップに日本代表として出場を目指す両選手だが、乾はメンバーの常連になっている一方、柴崎は負傷を機に招集から離れている。それゆえ、乾はレギュラー奪取のためにも、柴崎は代表復帰のためにも、注目度の高いレアル・マドリードとの一戦でヴァヒド・ハリルホジッチ監督を唸らせる圧巻のパフォーマンスを見せたいところだ。

(写真提供:WOWOW)

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