アトレティコを撃破したセビージャ、モンテッラ監督が充実感を表す

　セビージャで苦しい船出を強いられたヴィンチェンツォ・モンテッラ監督に、ようやく笑顔が戻って来た。

　昨年12月28日、解任されたエドゥアルド・ベリッソ監督の後任として、セビージャの指揮官に就任したモンテッラ監督。ところが、コパ・デル・レイ（スペイン国王杯）5回戦では2部のカディスを何とか退けたものの、リーガ・エスパニョーラでは第18節のセビージャとのホームでのダービー（3−5）に第19節のアラベスとのアウェイ戦（1−0）と連敗スタートを喫し、早くも手腕に疑問符が投げかけられた。

　しかし、コパ・デル・レイ準々決勝ファーストレグのアトレティコ・マドリード戦（1−2）に、リーガ・エスパニョーラ第20節のエスパニョール戦（0−3）と、今度は一転してアウェイで連勝。23日にホームに戻って行われたアトレティコとのセカンドレグにも勝利（3−1）し、準決勝に駒を進めた。

　モンテッラ監督は、アトレティコを撃破した直後の会見で、「とても疲れている。声が枯れてしまった」と苦笑しながらも、チームの顕著な向上に充実感を表した。

「我々はヨーロッパ最強の守備力を有するチームから5ゴールを奪った。努力、自信、団結といったものが実る形となった。アラベス戦の黒星で最も落ち込んだ時、私は選手達に『サンチェス・ピスフアンで拍手を貰えるよう戻って来よう』と言ったが、本当にそのような特別な時間を過ごすことができた。今日はセビージャと契約した時に夢見たような夜になった」

　アトレティコとのセカンドレグでは、本来は右サイドハーフのスペイン代表MFヘスス・ナバスを右サイドバックで起用するなど、独自色も出し始めているモンテッラ監督。期待に応えてくれたナバスを「素晴らしい試合をしてくれた」と労いながら、チーム全体にも信頼を寄せた。

「今日は準決勝進出を祝い、明日からは再びハードワークに戻る。チームは着実に成長しているところを、しっかりと披露してくれている」

　モンテッラ監督が自信を見せているように、ここに来て公式戦3連勝と復調気配十分のセビージャ。2シーズン振りにベスト4入りしたコパ・デル・レイだけでなく、6位に沈んでいるリーガ・エスパニョーラや、決勝トーナメント1回戦ではマンチェスター・Uと対戦するチャンピオンズリーグでも、見応えある戦いに期待が持てそうだ。

文＝北村敦