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ネイマール移籍騒動に辟易のバルササポーター、8割以上が退団に満足感を表す

PSG移籍を決断したネイマール [写真]=NurPhoto via Getty Images

 毎年のようにサプライズが起きる夏の移籍市場でも空前の狂騒曲となったブラジル代表FWネイマールの移籍騒動が、2日のバルセロナによる退団発表、3日のパリ・サンジェルマンによる獲得発表をもって漸く決着を見た。

 だが、大黒柱のアルゼンチン代表FWリオネル・メッシの後継者として信じて疑っていなかったネイマールをPSGに奪われる形となったバルセロナのサポーターは、そう簡単に心の整理を付けられるはずもなく、複雑な感情に苛まれながら現実に目を向けようとしているようだ。

 ネイマールがPSG行きを決めた要因には、これまでの倍額と報じられている3000万ユーロ(約39億円)もの年俸を受け取れることに加え、バルセロナでは自らが世界最高と認めているメッシの存在により手に出来ないエースの座に就けることがある。ただし、この移籍を作り出したのは選手本人ではなく代理人グループであり、その中核であるネイマールの父親が息子を後押ししたと伝えられている。

ネイマールの父は同選手の代理人を務める [写真]=Getty Images

 この代理人グループは、バルセロナからは2013年夏のサントスからの加入に関して4000万ユーロ(約52億円)を、昨年10月の契約延長に関して2600万ユーロ(約33億8000万円)をそれぞれボーナスとして受け取り、PSGからも今回の移籍に関して3600万ユーロ(約46億8000万円)のボーナスを手にすると報じられている。さらに、移籍成立の発表のタイミングを8月まで遅らせたのは、払込期日が7月末となっていた上記契約延長にかかるボーナスをバルセロナに支払わせるのを待ったからだと見られている。

 バルセロナのサポーターは、クラブから大金をむしり取る代理人グループの行為に腸が煮えくり返っており、それを黙認するネイマールに対しても失望よりも憤慨の感情が強いという。実際、クラブのお抱えメディアである『SPORT』紙が、この一連の騒動に関して連日のようにアンケートを行ったところ、「ネイマールは自身の口から去就を発表するべきか?」との質問には83%、「ネイマールはバルサへの敬意を欠いているか?」との質問には87%の人々がそれぞれ「イエス」と回答している。

 その一方で、「ネイマールの退団はバルサにとって良いニュースか?」との質問にも82%の人々が「イエス」と回答しており、契約解除に必要な違約金である2億2200万ユーロ(約288億6000万円)もの大金をクラブにもたらしたのだから良いディールだったと、自らを納得させるかのように満足感を表している姿も垣間見られる。

 また、同じくバルセロナ寄りの『Mundo Deportivo』紙が、「ネイマールはPSGに移籍したことを後悔することになるか?」とのアンケートを行ったところ、85%の人々が「イエス」と回答。ネイマールに対する可愛さ余って憎さ百倍の感情や、バルセロナに対する誇り高さに覆われているサポーターの心理が伺える。

 しかし、今シーズンもリーガ・エスパニョーラやチャンピオンズリーグでレアル・マドリードの後塵を拝し、ネイマールを失った大きさに気付かされることになれば、後悔先に立たずの思いをするのは自分達の方だろう。そして、怒りの矛先はスター流出を防げなかったクラブ経営陣に向かうことは想像に難くない。それゆえ、今回の移籍によって得た巨額資金を利用して、強力なチームを作って宿敵からタイトル奪回できるか否かが、本当の意味でのネイマール騒動の決着地点と言えそうだ。

文=北村敦

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