2016.05.23

これを読めばすべてわかる! リーガ・エスパニョーラ 15-16シーズン「全クラブ通信簿」(11位~20位編)

「フットボール」と「メディア」ふたつの要素を併せ持つプロフェッショナル集団を目指し集まったグループ。

 バルセロナの2連覇で幕を閉じた2015-16シーズンのリーガ・エスパニョーラ。上位3チームは過去数シーズンと変わらず、3位と4位の勝ち点差は「24」も存在する。それ故、「驚きの少ないシーズンだった」という印象を抱いても不思議ではない。



 しかし、今シーズンは“昇格組”の3チーム(ベティス、スポルティング・ヒホンラス・パルマス)が全て残留を達成する一方で、リーガ史上初めて、マドリード自治州に拠点を置く2チーム(ヘタフェラージョ・バジェカーノ)が同時に降格するという珍事が発生した。過去6シーズンに渡ってリオネル・メッシとクリスティアーノ・ロナウドが独占してきた得点王に、ルイス・スアレスが輝いたことも新たな時代の到来を予感させる。確かに上位陣の顔ぶれはほとんど変わらず、来シーズンも「3強+残り17チーム」のリーグ構造は維持されることが濃厚だが、それでも地殻変動が起きつつあることを示す出来事が相次いだ。

なお来シーズンからは、放映権料の分配方法が変わる。バルセロナとレアル・マドリードが受け取る額は変わらないが、それ以外のチームの放映権収入が大幅に増えるという。リーガの格差を助長していた元凶にメスが入った格好だが、果たしてこれがどう成績に反映されるのか。来シーズンはこれまで以上に目が離せない1年となりそうだ。

11_las parmas

■11位:ラス・パルマス(90点)
 トップ4でシーズンを終えた、アトレティコ・マドリードやビジャレアルほど注目を集めたわけではない。だが、昇格プレーオフを経て14シーズンぶりに1部に帰ってきたラス・パルマスの残留は、称賛に値する。実際、開幕当初は前途多難だった。最初の8試合でわずか1勝。昨年10月に、今季リーガで初めて監督交代に踏み切ったのが彼らだった。しかし、結果的には早い段階で手を打ったことが功を奏する。これがリーガ1部での初指揮となったキケ・セティエン新監督に率いられたチームはその後も苦しい戦いを強いられたが、第26節エイバル戦(1-0)でアウェー初勝利を挙げたのを皮切りに、7試合で6勝をマーク。最大の懸念材料だった守備が安定すると同時に、ウィリアン・ジョゼら攻撃陣も爆発力を見せて、残留争いを一気に脱出した。そして、来シーズンも1部で戦える権利を手に入れた。
「故郷のクラブと共に1部で戦う」というキャリア最後の夢を叶えたフアン・カルロス・バレロンは、今季限りでの現役引退を発表。ファンにとっては寂しい出来事となったが、彼が残した魂は来シーズンも1部で戦うチームに生き続けるはずだ。

Valencia CF v Real Sociedad - La Liga

■12位:バレンシア(20点)
 レアル・ソシエダとの最終節が、今シーズンの彼らを物語っていた。終始主導権を握りながら、94分の失点により0-1で敗戦。スタンドのファンは抗議を意味する白いハンカチを振っていたが、そもそも本拠地メスタージャは空席だらけだった。
 迷走の予兆は開幕前にあった。昨年7月、就任1年目にしてチャンピオンズリーグ復帰を成し遂げたヌーノ監督が、クラブ再建に尽力してきたアマデオ・サルボCEOとフランシスコ・ルフェテSDをクラブから追放。これを境に、指揮官と経営陣に対するファンの見方が変わった。この時から歯車は狂い始めていた。
 12月にそのヌーノ監督が辞任して以降のドタバタ劇は、多くのファンが知るところだろう。大株主ピーター・リム氏の友人として、“縁故採用”で新監督に抜擢された元イングランド代表DFのギャリー・ネヴィルは、在籍4カ月間で何も残せなかった。そして、今季3人目の指揮官となったパコ・アジェスタランは、チームに落ち着きをもたらしたものの、勝利までは取り戻せず。終わってみれば、勝ち点44は、リーガで「1勝=3ポイント」制が始まった1995-96シーズン以降でのクラブワースト記録だった。
 昨シーズンは4位で名門復活の兆しを見せていただけに、期待を大きく裏切る1年となってしまった。

Espanyol team during La Liga match between Levante UD and

■13位:エスパニョール(50点)
 今シーズンは途中にクラブを売却し、大きな転換期を迎えた。昨年11月、中国の企業ラスターグループに経営権を譲渡した。それから約1カ月後には、セルヒオ・ゴンサレス監督を解任し、同じくクラブOBであるコンスタンティン・ガルカを新監督に招へい。とはいっても、それがピッチ上に劇的な変化をもたらしたわけではなく、トップ10に入ることはできなかった。ただし、昨夏の時点で、金銭的に余裕がないために主力を大量放出して大幅に戦力がダウンしていたこと、そしてクラブとして新たなスタートを切ったことを考えれば、来シーズンも1部で戦える権利を手にできたことで御の字とすべきだろう。
 クラブ幹部が「サッカークラブからサッカー企業にならなければならない」と話すように、この夏はチームが大きく変わる可能性がある。ただエスパニョールと言えば、スペインでも屈指の育成組織を持つクラブとして知られるだけに、ファンは不安も感じているという。
 今シーズンは「スペイン代表の将来を担う」とされるマルコ・アセンシオが、1部デビューシーズンで10アシストの好成績を記録。来シーズンは保有権を持つレアル・マドリードへ復帰することになるが、若手育成の場としても機能していたエスパニョールの存在価値が維持されることを願うばかりである。

Villarreal CF v SD Eibar - La Liga

■14位:エイバル(85点)
 財政問題によるエルチェの強制降格により、繰り上げでの残留が決定――。そんな形で始まった1部2シーズン目だが、結果的にはクラブ史上最高の1年となった。絶好調だった前半戦とは対照的に、後半戦はやや息切れしたが、最終節を待たずして残留を決定。初めて自力での1部残留を勝ち取った。消化1試合ながら、開幕戦の勝利でクラブ史上初めて1部の首位に立ったことも、クラブの歴史に残るだろう。
 リーガ最貧クラブの1つであるエイバルが再び奇跡を起こせたのは、昨シーズンの苦い経験があったから。今シーズンも1部で戦えることが決まると、経営陣はプリメーラ定着を実現すべく、本気のチーム作りを行った。その象徴が、昨夏の移籍市場で15名以上の選手入れ替えを実施したことであり、1部で確かな成績を残してきたホセ・ルイス・メンディリバル監督を新指揮官に招へいしたことだった。さらに新たな練習場をオープンするなど、改革はピッチ外にも及んだ。それが間違っていなかったことは、成績が証明している。そんな中で、リーガ初挑戦となった乾貴士は、27試合(先発18試合)に出場して3ゴール、3アシストの記録を残した。クラブ史上最高額で加入した“助っ人”であることを考えれば、やや物足りなさは残るが、手ごたえは掴んだはずだ。来シーズンはさらなる飛躍に期待したい。

Rayo Vallecano v RC Deportivo La Coruna - La Liga

■15位:デポルティーボ(50点)
 ちょうど1年前は、カンプ・ノウで奇跡の残留を達成した。それを思えば、今シーズンは最終節を待たずして残留を確定したことで、十分評価に値するかもしれない。しかし実際のところは、前半戦での貯金を食いつぶして何とか手繰り寄せた残留だった。
 昨年9月後半から年末までは、わずか1敗。コンパクトかつアグレッシブな守備からカウンターを狙い、エースのルーカス・ペレスがそれをゴールに結びつけるという形がはまって、一時はチャンピオンズリーグ出場が狙える位置にいた。決してスター選手がいるわけではないが、“スーペル・デポル”の頃の強さが戻りつつあるという大きな期待感も生まれた。しかし年明け以降に急降下。12試合連続で勝ち星に見放され、2016年の初勝利は3月まで待たなければならなかった。結局、今年になってから稼いだ勝ち点は、リーグワーストの「15」だった。
 急失速した理由はチームの内紛にある。今年4月、指導法に不満を抱く一部の選手たちが、ビクトール・サンチェス監督の退団を望んでいることが明らかになった。それでも何とか最後まで戦い抜いたが、今もなお、指揮官が出て行くのか、選手が出て行くのか、という状況は変わらない。来シーズンに向けて不安を残す締めくくりとなった。

Athletic Club v Granada CF - La Liga

■16位:グラナダ(40点)
 2011-12シーズンの1部昇格以降、これで5シーズン連続して残留を達成した。しかし、この5年間の順位は、17→15→15→17→16。勝ちきれない試合が続き長らく降格ライン付近をさまよった末に、ラスト数試合で火事場の力を発揮して1部に生き残る――まるで金太郎飴のように毎シーズン同じ軌跡を描いている。今シーズンがいつもと違ったのは、ラストマッチが優勝決定戦になったことだろうか。
 選手個々を見れば、台風の目となれるポテンシャルはあるように思える。特に今シーズンは、アダルベルト・ペニャランダという“発見”もあった。18歳のベネズエラ代表FWは、昨年11月にリーガデビューを果たすと、グラナダの最年少得点記録、さらにメッシが保持していた外国人選手のリーガ最年少複数得点記録も塗り替えた。しかし、そのワンダーボーイは来シーズンからワトフォードへ移籍することが決まっている。
 グラナダと言えば、ワトフォードとセリエAのウディネーゼと同じく、オーナーのポッツォ家が所有するクラブであることは良く知られているかもしれない。そしてこの夏もまた、3クラブ間で大量に選手取引が行われるのだろう。しかし、そこそこ名のある選手を揃えても、チームとしての継続的な強化ができないのであれば、やはり来シーズンも同じエンディングとなる可能性が高い。

Sporting Gijon v Malaga CF - La Liga

■17位:スポルティング・ヒホン(80点)
 財政問題で補強禁止のペナルティを科せられており、新戦力はカンテラからの昇格組かレンタル組のみ。さらに既存メンバーの大半もこれが1部初挑戦。そうしたクラブ事情を考えれば、残留したことを最大限評価すべきだろう。再び2部に落ちれば、クラブ消滅の危機に瀕する――。そんな状況下で、選手たちは最終節での逆転残留を達成したのだ。
 奇跡を起こす原動力となったのは、やはり本拠地エル・モリノンに集うサポーターの応援が挙げられる。第30節のアトレティコ・マドリード戦と第34節のセビージャ戦では、格上相手に先制点を許す厳しい展開ながら、逆転勝利。そして第35節エイバル戦とシーズンラストゲームのビジャレアル戦では、2-0の完封勝利。4月に入るまでホームで4勝しか挙げられなかったチームが、本拠地でのラスト3試合で連勝を飾れたのは、最後まで諦めることなく応援を続けてきたサポーターの後押しがあったからだ。ちなみに、ビジャレアルのマルセリーノ・トラル監督は、スポルティング・ヒホンのあるアストゥリアス州出身で、ヒホンの元選手。もちろん、勝負事に私情は挟んではならないが、敵将もまたヒホンの残留を望んでいたはずだ。

Rayo Vallecano de Madrid v Real Sporting de Gijon - La Liga

■18位:ラージョ・バジェカーノ(30点)
 毎年夏が来るたびに半数以上の選手が入れ替わり、ゼロから、というよりは、マイナスからのスタートを強いられながら、超攻撃的サッカーで残留を達成してきたが、とうとう降格の憂き目にあうことに。レアル・マドリードに敵地で10-2という記録的な敗戦を喫することもあったが、ビッグクラブを相手にしてもリスクを恐れずに戦う姿勢は今シーズンも高く評価されていた。
 では、残留を続けてきた過去4シーズンと比べて何が足りなかったのかと言えば、勝負強さだった。極端すぎるほど攻撃志向が強いため、これまでは「勝つか負けるか」がはっきりしたチームだったが、今シーズンは引き分け数が過去4シーズン平均の倍以上となる11試合を数えた。敗戦数、得点数、失点数(18敗、52得点、73失点)は過去4シーズン平均(19.5敗、49得点、72失点)と比べても大差ないだけに、あと数試合でも引き分けを勝ちにつなげられていれば、この悲劇を招くことはなかったかもしれない。
 もっとも、「怯えながら1部に残留するより、堂々と2部に落ちることを選ぶ」と話すパコ・ヘメス監督にしてみれば、結果を優先するあまり、退屈なサッカーを展開する方が“プロ失格”となる。その哲学は、勝利至上主義がまかり通る現代サッカーに一石を投じるものだったのは間違いない。

Sporting Gijon v Getafe CF - La Liga

■19位:ヘタフェ(20点)
 最終節で自力残留を決められる立場にありながら、それを達成できなかった。2004-05シーズンに1部初参戦を果たして以来、これが初めての2部降格となる。
 守備組織の構築に定評のあるフラン・エスクリバを新監督に招へいして臨んだ今シーズン。DFラインを深めに設定して、前線のスピードを生かしたカウンター攻撃に活路を見出すという方向性は決して間違っていなかった。しかし、肝心のゴールが決まらなければ元も子もない。チーム内に二桁得点者は1人もおらず、最も多くのゴールを奪ったのもMFのパブロ・サラビアで7ゴールだった。得点源として期待されたA・バスケスは5ゴール、ステファン・シュチェポヴィッチも6ゴールでは厳しい。
 さらに冬になって、攻守の要を担っていたアンヘル・ラフィタとアレクシス・ルアーノが揃って移籍。戦力低下は否めず、実際、1月下旬からは13試合勝利に見放され、その間、9試合で無得点だった。
クラブは4月に入ってからエスクリバ監督を解任。早急な立て直しを図ったものの、このショック療法もチームを救うことはなかった。

Levante UD v Club Atletico de Madrid - La Liga

■20位:レバンテ(20点)
 数年前に“ミラクル・レバンテ”と呼ばれる快進撃を見せたときから、このチームの最大の武器は、一撃必殺のカウンターである。見た目は美しくなく、ファンにとっても退屈なサッカーだが、それを磨きあげることでトップリーグを生き抜いてきた。しかし今シーズンの彼らはそんな基本を忘れてしまったことで、道を踏み外すこととなった。
 最下位に転落した10月にルーカス・アルカラス監督を解任。すると上層部が後任に指名したのは、1部初采配で、しかもパスサッカーを志向するルビ監督だった。180度異なるスタイルに選手たちは当然のように戸惑いを見せ、浮上のきっかけすら掴めず。冬の補強で、ジョアン・ベルドゥやジュゼッペ・ロッシといったリーガではお馴染みの実力者を獲得し、以降は徐々に目指すサッカーが表現できるようになってきたものの、時すでに遅し、だった。
 2010-11シーズンに1部復帰を果たして以降、昨シーズンまでに5季連続での残留を達成。それは1部での連続残留記録だった。それ故、もしかしたらクラブは次のステップへと踏み出そうとしたのかもしれない。だが結局は、ボタンの掛け違いだったと言える。

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