2016.05.19

これを読めばすべてわかる! リーガ・エスパニョーラ 15-16シーズン「全クラブ通信簿」(1位~10位編)

バルセロナ
2015-16シーズンのリーガはバルセロナの2連覇で終わった [写真]=Getty Images
「フットボール」と「メディア」ふたつの要素を併せ持つプロフェッショナル集団を目指し集まったグループ。

 バルセロナの2連覇で幕を閉じた2015-16シーズンのリーガ・エスパニョーラ。上位3チームは過去数シーズンと変わらず、3位と4位の勝ち点差は「24」も存在する。それ故、「驚きの少ないシーズンだった」という印象を抱いても不思議ではない。



 しかし、今シーズンは“昇格組”の3チーム(ベティス、スポルティング・ヒホン、ラス・パルマス)が全て残留を達成する一方で、リーガ史上初めて、マドリード自治州に拠点を置く2チーム(ヘタフェ、ラージョ・バジェカーノ)が同時に降格するという珍事が発生した。過去6シーズンに渡ってリオネル・メッシとクリスティアーノ・ロナウドが独占してきた得点王に、ルイス・スアレスが輝いたことも新たな時代の到来を予感させる。確かに上位陣の顔ぶれはほとんど変わらず、来シーズンも「3強+残り17チーム」のリーグ構造は維持されることが濃厚だが、それでも地殻変動が起きつつあることを示す出来事が相次いだ。

なお来シーズンからは、放映権料の分配方法が変わる。バルセロナレアル・マドリードが受け取る額は変わらないが、それ以外のチームの放映権収入が大幅に増えるという。リーガの格差を助長していた元凶にメスが入った格好だが、果たしてこれがどう成績に反映されるのか。来シーズンはこれまで以上に目が離せない1年となりそうだ。

FC Barcelona v Real Madrid CF - La Liga

■1位:バルセロナ(90点)
 本来ならば、4月中にも2連覇を確定していたはずだった。しかし、“エル・クラシコ”での逆転負けによる精神的ダメージはことのほか大きく、優勝決定は最終節まで待たなければならなかった。苦しんだ末の戴冠――見出しをつけるなら、そうなる。しかし、終わってみれば、「王者に最もふさわしかったのはバルセロナ」という意見に異論はないはずだ。ここ8シーズンで6度目のリーグ優勝という“持続力”も評価を上げる理由の1つになる。
 連覇の原動力となったのは、最終節でのハットトリックにより、40ゴールの大台に乗せてシーズンを締めくくったルイス・スアレスだ。これで新たな得点王が誕生することとなったが、アシストランキングでも、スアレスはメッシと並ぶ1位タイ(16アシスト)。自ら得点を狙うだけでなく、メッシやメイマールのお膳立てもこなし、また前線でスペースを作る動きや相手DFへのプレッシングなど、数字に表れない部分での貢献度の高さも群を抜いていた。ズラタン・イブラヒモヴィッチやダビド・ビジャなど、これまで一流のストライカーたちがことごとく活躍できなかった“メッシのバルサ”で不動の地位を築いたことも、バルサが続けて成功を収められた理由だ。

Real Madrid CF v FC Barcelona - La Liga

■2位:レアル・マドリード(65点)
 今年4月に行われた“エル・クラシコ”での勝利を挟み、12連勝でシーズンを締めくくった。スター選手が本気になった時の圧倒的な強さは、「さすがはレアル・マドリード」と言える凄みを感じさせた。それでも、1年をトータルで振り返った時には、好不調の波が大きく、それが優勝を逃す原因となったのは明らかだ。最大の失策は、昨夏にカルロ・アンチェロッティを続投させなかったことだろう。もちろん、イタリア人指揮官が指揮を執り続けていたとしても、成功を収められたかどうかは分からない。しかし、少なくともジェットコースターのようなシーズンを送ることはなかったはずだ。迷走劇を演じることになった責任は、監督交代を強行したフロレンティーノ・ペレス会長にある。選手のほぼ全員が残留を望んでいた指揮官を躊躇なくクビするという、一般的には非常識な決断ができるのは、ビッグクラブではもはやR・マドリードくらいだ。
 バルセロナの優勝が決まった後には、「ペレス会長がリーグ優勝1回するのにかけたお金=約1700億円」というニュースが伝えられた。確かにバルセロナと比べれば、“費用対効果”は悪い。ところが、チャンピオンズリーグで通算11度目の優勝を果たせば、話は別。ビッグイヤーを掲げることになれば、アンチェロッティ政権だった2年前と同じように、「成功のシーズン」として、ファンの記憶に刻まれることになるのだから。

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■3位:アトレティコ・マドリード(85点)
 今シーズン開幕前に“ビッグ2”を上回る資金を投じて大型補強を敢行したが、最大の目玉だったジャクソン・マルティネスはわずか半年後にクラブを去るなど、昨シーズンからの上積みは期待されたほどではなかった。しかし、シーズン最後まで優勝争いに絡むことができた。その要因は2つある。
 1つ目は、さらに安定感を増した守備。今シーズンは、全38試合中24試合で無失点を達成。リーガ史上これを上回るのは、1992-93シーズンのデポルティーボ(26試合)だけになる。バルセロナ(112)やレアル・マドリード(110)と比べて約半分のゴール(63)しか奪えなくても、守備力で勝利を手繰り寄せられた。なおアウェー13勝は、バルセロナと並ぶリーグ最多。ホームでの強さが目立つが、敵地でも、前がかりになりがちな相手の裏をとる戦い方で勝ち点を積み上げていった。
 そして2つ目は、2トップの躍動だ。昨シーズンに続いて20点超えを達成したアントワーヌ・グリーズマンと、リーグ戦でのシーズン二桁得点はリヴァプール時代の2009-10シーズン以来というフェルナンド・トーレスのコンビは、夏の新戦力たちが軒並み期待外れに終わるなかで、文字通りチームを救った。“MSN”や“BBC”とは異なるキャラクターでリーガを盛り上げたことも好印象だった。

Real Sociedad de Futbol v Villarreal CF - La Liga

■4位:ビジャレアル(85点)
 バルセロナレアル・マドリードアトレティコ・マドリードの3強を除いた17チームで構成される“オトラ・リーガ(その他リーグ)”で、王者に輝いたビジャレアル。今シーズンはマルセリーノ・トラル監督の就任4年目に当たるが、1年目で1部昇格を達成して以降、右肩上がりの成長を遂げ、ついにチャンピオンズリーグ出場権を獲得するまでに至った。ヨーロッパリーグでは再びベスト4の壁を乗り越えることができず、何かと「4」という数字に縁のある1年となったが、クラブ史上、一二を争うほど充実したシーズンだったはずだ。
 そんなビジャレアル躍進の立役者となったのが、新戦力のセドリック・バカンブだ。自慢の瞬発力を駆使した鋭い飛び出しは、マルセリーノ監督が標榜するショートカウンターとの相性抜群で、欧州トップリーグ初挑戦にして12ゴールをマーク。ロベルト・ソルダードやアドリアンという、リーガをよく知る実力者たちを差し置いて、前線の核となった。また来シーズンからバルセロナ復帰が濃厚とされるデニス・スアレスも2列目で抜群のテクニックを披露して、チームの攻撃を牽引した。チームのベースはさらに磨きがかかった組織力にあるが、頼れるストライカーの登場と司令塔の成長が成功の要因だった。

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■5位:アスレティック・ビルバオ(75点)
 今シーズンは、ヨーロッパリーグ3次予選からのスタートとなったため、1部全20チーム中、最も長く公式戦を戦った。結果的には、ELとコパ・デル・レイはベスト8敗退。リーグ戦でも目標としていた4位に届かず、5位に終わった。しかし昨年8月には、バルセロナを倒してスーペルコパ・デ・エスパーニャを制覇。クラブにとって31年ぶりとなるタイトルを獲得した。ファンにとっては、忘れられない1年になったはずだ。
 そして、この男も記憶に残るシーズンを過ごした。今年2月に35歳となったアリツ・アドゥリスは、スペイン人選手でトップの20ゴールをマーク。カップ戦と合わせて36ゴールは、もちろんキャリアハイの数字になる。今年3月には、実に5年半ぶりの代表復帰も実現したが、このベテランFWの爆発なしにチームは長いシーズンを駆け抜けることはできなかった。
 もっとも、アドゥリス以外にも、チーム2位の得点を挙げたイニャキ・ウィリアムス(21歳)やリーガデビューを果たしたサビン・メリーノ(24歳)など、クラブの次世代を担う若手選手たちの活躍も光った。今年3月に2017年までの契約延長を結んだエルネスト・バルベルデ監督にとっても、収穫の多い1年だったに違いない。

Villarreal CF v Celta Vigo - La Liga

■6位:セルタ(80点)
 ピッチの横幅を広く使いながら、なおかつ縦にも鋭いサッカーは、娯楽性においてリーガ屈指だった。さらに結果も出ているのだから、文句の付けようがない。特に前半戦は、リーグを最も盛り上げたチームのひとつだった。第5節には、ホームにバルセロナを迎えて4-1と圧勝。高い位置でボールを奪っては、次々にショートカウンターを浴びせる波状攻撃で大金星を奪った。
 ただし、何より評価すべきは、シーズンを通してパフォーマンスが落ちなかったことだ。前線から絶えずプレスをかけ続ける消耗度の高いサッカーだけに、いつかは失速すると見られていた。さらに冬には、アンカーを務め、戦術面でも精神面でもチームに欠かせない存在だったアウグスト・フェルナンデスをアトレティコ・マドリードへ引き抜かれた。しかし、就任2年目のエドゥアルド・ベリッソ監督は、システム変更やメンバーのやり繰りでもってこのピンチを凌ぎきった。
 データを見てみると、今シーズンは1点差勝利が13試合あり、これはリーグ最多になる。ただただ見ていて楽しいサッカーをするだけでなく、彼らには勝負強さも備わっていたということだ。

Liverpool v Sevilla - UEFA Europa League Final

■7位:セビージャ(60点)
 ヨーロッパリーグ3連覇を成し遂げコパ・デル・レイ制覇へ王手をかけている。もしも2冠を達成すれば、今シーズンも知将ウナリ・エメリ率いるチームには各方面から賛辞が送られるのだろう。
 ただし、ことリーガに限れば、やや物足りなさが残った。最終順位は、ヨーロッパリーグ圏内にも届かない7位。4位ビジャレアルとは12ポイントの差がある一方、15位デポルティーボとは10ポイント差。つまり、成績的には「中位クラス」に位置づけられるのだ。クラブが持つポテンシャルを考えれば、やはり「もう少し頑張りましょう」というのが真っ当な評価かもしれない。とりわけ、今シーズンは極端な内弁慶だったことが上位進出を阻む原因になった。全20チーム中唯一、アウェー未勝利に終わり、敵地で奪った勝ち点(9)は最下位レバンテ(6)に次ぐワースト2位だったのだ。裏を返せば、それでもホームで好成績(ホーム成績は4位)を収めて、7位に食い込んだという見方もできるが、欧州、そしてコパ・デル・レイとの掛け持ちによる消耗が大きかったのか、リーガでは不安定な戦いぶりに終始した。

Sporting Gijon v Malaga CF - La Liga

■8位:マラガ(70点)
 昨夏、それまでパス主体の攻撃サッカーの主軸を担っていた、ファンミ、サム・カスティジェホ、サムエルのカンテラーノ3人衆をまとめて売却。一方で目立った補強はなく、今シーズンのチームが苦戦を強いられるのは必至だった。実際、開幕12試合で2勝、ゴールを奪ったのもその2試合だけで、この時点で最下位に落ちた。
 しかしここで、ハビ・グラシア監督は大きな決断を下す。“十八番”としてきたオフェンシブな戦い方を諦めて、堅固なブロックを構築してしぶとく勝利を狙うスタイルへと舵を切ったのだ。そして、結果的にはこれが正解だった。守護神カルロス・カメニと、両センターバックのウェリグトン、ラウール・アルベントサで形成される“守備の三角形”は鉄壁の守備を誇り、シーズン38失点はアトレティコ・マドリード(18)、バルセロナ(29)、レアル・マドリード(34)に次いで4番目に少ない数字だった。バルセロナからは勝ち点を拾うことができなかったものの、R・マドリードとは2戦2分け、またA・マドリードにはホームで勝利と、大きな成果を残した。またファンピ、パブロ・フォルナルスら新たなカンテラーノの台頭もあり、全体的には実り多き1年となった。

Real Sociedad v Rayo Vallecano - Friendly

■9位:レアル・ソシエダ(60点)
 どの世界でも同じように、「ボス次第でチームはいくらでも変わり得る」ということを教えてくれたクラブかもしれない。就任2年目で真価が問われたデイヴィッド・モイーズ監督だったが、やはり最後までスペインの水に馴染むことができなかった。英国メディアとのインタビューには快く応じた指揮官だったが、地元メディアに対してはほとんど口を開かず。また特定の選手を重用するという悪癖も目立った。これでは上手くいくはずもない。
 対照的に、モイーズの後任に指名された、スペイン人で元バルセロナB指揮官のエウゼビオ・サクリスタン氏は、実力主義を貫き、若手であっても実力次第でスタメンに抜擢した。一方で、チームのエースであるカルロス・ベラが練習を欠席してコンサート観戦に訪れたことが分かると、厳しい態度で接するなど、メリハリのある指導でチームを好転に導いた。もちろん、モイーズ監督にとっては今回が海外初挑戦であり、一方のエウゼビオ監督は始めからリーガを良く知る人物だった、という違いはあるにせよ、監督の資質がチームの成績に直結するということを示したケースだったと言える。

Athletic Club v Real Betis Balompie - La Liga

■10位:ベティス(60点)
 1部復帰初年度での10位は悪くない。しかし地元のファンは、2つの理由で心の底から今シーズンに満足することができないかもしれない。
1つ目の理由は、リーグワーストの得点力にある。38試合で34ゴールは、最下位レバンテをも下回った。攻撃的なサッカーを好むファンからすれば、不満以外の何物でもないだろう。さらにその内訳を見ても、クラブの歴代最多得点を更新し続けるルベン・カストロが1人で19ゴールを挙げた一方で、チームで2番目に得点を奪ったのは、DFのヘルマン・ペッツェッラで3ゴール。頼れるストライカーの存在は心強いが、彼に依存していたというのが実情だ。そのR・カストロはこの6月で35歳になる。30代に突入してからむしろ得点能力を開花させたタイプだが、年齢を考えれば、いつゴールラッシュが止まったとしてもおかしくない。
 2つ目の理由は、ホーム戦での成績の悪さだ。今シーズン、ホームでは6勝6分け7敗、勝ち点24はリーグ全体でワースト3位の成績になる。ちなみに、ホーム19試合で17ゴールは、リーグで最も少ない数字だった。2シーズンぶりに表舞台に帰ってきたが、ベティコたちの心が満たされたとは言い難い。

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