2016.04.19

“最強“バルサに何が起こったのか? 現地紙から読み解く急失速した3つの理由

バルセロナ
“クラシコ”での敗戦以来、凋落が続くバルセロナ。地元紙から読み解く失速の理由とは [写真]=Getty Images
「フットボール」と「メディア」ふたつの要素を併せ持つプロフェッショナル集団を目指し集まったグループ。

 バルセロナの凋落が止まらない。17日に行われたリーガ・エスパニョーラ第33節のバレンシア戦に敗れ、2003年2月以来となるリーグ3連敗。ここ4試合で1ポイントしか上積みできず、3位レアル・マドリードとの勝ち点差は、この1カ月で「12」から「1」まで縮まった。最近まで「バルセロナの連覇確実」と言われていたリーガだが、残り5試合を迎えたところで、バルセロナと同勝ち点で並ぶ2位アトレティコ・マドリード、そしてレアル・マドリードとの三つ巴の優勝争いに様変わりしている。

 振り返れば、バルセロナは3月までは無敗街道を歩んでいた。しかし、今月2日の“クラシコ”に敗れて公式戦40試合ぶりの敗戦を喫したのを皮切りに、4月はここまで5試合を戦って1勝4敗。わずか2週間強で、今シーズンの開幕から3月までに喫した敗戦数(3)を上回った。それにしても、なぜ彼らは突然失速したのか?

■試合数の多さによるコンディション低下

 まずバルセロナ寄りのスポーツ紙『スポルト』が指摘するのは、試合数の多さによるフィジカルコンディションの低下だ。17日のバレンシア戦は、バルセロナにとって今シーズンの公式戦56試合目だった。これはレアル・マドリードよりも11試合多い。運動量ではなく技術で勝負するバルセロナといえども、リーガ、チャンピオンズリーグ、コパ・デル・レイの主要3大会以外に、UEFAスーパーカップやスーペルコパ・デ・エスパーニャ、さらにはFIFAクラブワールドカップまで出場すれば、疲労が蓄積してプレーに支障をきたすのは当然だろう。

 ただし、“欧州一”と言える過密日程をこなさなければならないことはシーズン開幕前から分かっていたことであり、昨夏から「選手のローテーションが鍵を握る」と言われてきた。しかし、ここまで公式戦40試合以上に出場した選手が10名を数えるなど、メンバーは固定化。セルヒオ・ブスケツとイヴァン・ラキティッチに至っては、現時点で昨シーズンの出場数に並んでおり、中盤で攻守の要となる彼らの“過重労働”がこのタイミングでのチームのパフォーマンス低下に大きな影響を与えたと考えられる。

■MSN依存症

「バルセロナ=MSN」。その方程式に異論を挟む余地がないほど、今のバルセロナはリオネル・メッシ、ルイス・スアレス、ネイマールによる南米3トップに支えられている。実際、今シーズンの公式戦で彼らが挙げた得点は、チーム総得点(147)の75パーセントに相当する110ゴール。MSNの存在なしに、幸福な時間を過ごすことは不可能と言っても過言ではない。しかしバルセロナの一般紙『エル・ペリオディコ』の言葉を借りれば、MSNは“諸刃の剣”である。

 無敗記録がストップした“クラシコ”前後でのMSNの1試合平均ゴール数を比較してみると、“クラシコ”前までは1試合平均2.1ゴールを記録していたのに対し、“クラシコ”以降は同0.6ゴールと、得点力が急激に落ちている。彼らが突如としてスランプに陥った理由については、「先月行われたワールドカップ南米予選で3人全員が初めて代表戦に出場し(*スアレスはブラジル・ワールドカップの噛みつき事件以来となる代表復帰を果たした)、心身に疲労を抱えたままチームに戻ったから」という主張から、「ネイマールとメッシに付きまとう脱税疑惑がサッカーへの集中力を削いでいる」、あるいは「メッシは負傷を抱えてプレーしている」といった憶測まで、様々な意見が飛び交っている。いずれにせよ、この1年余りの間に“MSN依存”が想像以上に進んでいたことは否めない。それに対して、2カ月前にMSNを機能させる秘密について質問を受けた際、「『アブラカタブラ』と呪文を唱えれば、魔法が飛び出す」と答えていたルイス・エンリケ監督が、彼らに頼らない“プランB”をついに提示できなかったことは、結果として大きな代償を支払うことになった。

 もちろん、現在のサッカー界に彼らの代役をこなせる選手など存在しないに等しい。だからこそ指揮官は、「いかに3人を気持ちよくプレーさせるか」ということに注力してきた。ただし、少しばかりそのことに囚われすぎてはいなかったか。多くのメディアがそう指摘するのも無理はない。

■“バルサ・スピリット”の欠如

 一方、全国紙『エル・パイース』は、「バルセロナにおける最高の3トップは、プジョル、シャビ、イニエスタだった」と見出しを打った記事のなかで、個々のプレーぶりや戦術以上に“バルサ・スピリット”の欠如を失速の理由に挙げている。たとえば、メッシ、スアレス、ネイマールは多くの勝ち星をもたらしてきたが、彼らはプレーでチームを引っ張ることはできても、感情を表に出して味方を鼓舞するようなタイプではない。しかし現状、バルセロナは精神面でもMSNに依存する傾向にあるのかもしれない。「今の状況下においては、プジョルのようなキャプテンが必要だと思う」と語ったのは、元レアル・マドリード監督のファビオ・カペッロ氏だが、今のバルセロナにはイニエスタとジェラール・ピケ以外にそういう選手が見当たらないのだ。

 L・エンリケ監督は2年前に古巣復帰を果たすと、選手たちの出場時間を徹底的に管理することで、チームに失われていた競争力とスピリットを取り戻そうと試みた。しかし昨年1月に、退団騒動にまで発展したメッシとの衝突事件があって以降は、一転して“放任主義”を貫くようになった。それは結果として、クラブに史上2度目の3冠をもたらしたが、どんな人間でも一旦自由を与えられれば、次第に気の緩みが生まれるもの。だからこそ、監督は常に“アメとムチ”を使い分ける必要があるのだが、最近のL・エンリケ監督からは、現役時代に“闘将”と呼ばれた面影を感じることはほとんどなかった。対照的に、物静かなことで有名だったジネディーヌ・ジダンがレアル・マドリードの監督に就任してからというもの、“鬼軍曹”と化してチームを復活に導きつつあるのは示唆に富む。もちろん、それまで絶好調だったバルセロナと絶不調だったレアル・マドリードでは、選手との接し方に違いが出るのは当然のことだが、L・エンリケ監督は再びチームに喝を入れられるのか、それは注目に値するだろう。

 残る2つのタイトル獲得に向けて、バルセロナは再び立ち上がることができるのか。「最強クラブ」は今、その名に相応しいチームであるのか、その真価を問われている。

(記事/Footmedia)

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