2015.08.14

さらなる若返りへ…ひと夏を経て、新オーナー色が強くなるバレンシア

8月2日にプレシーズンマッチを戦ったバレンシア [写真]=VI Images via Getty Images
フリーライター&フォトグラファー。スペインで活動中。

文=座間健司

 外から見れば、昨シーズンが終わった時点ではバレンシアの誰もが幸せそうに見えた。最終節アルメリア戦、FWパコ・アルカセルが土壇場で同点ゴールを決めて、4位以内を確定させ、チャンピオンズリーグ出場権を獲得。不運ながらも負傷をしたブラジル代表GKジエゴ・アウヴェスを除けば、少なくともシーズン最大の目的達成に誰もが満足した。初めてアウェーゲームに帯同したオーナーのピーター・リム氏も何度も顔を手で覆うなどナーバスになりながら、最後は笑顔で選手たちを迎えていた。

 数年以内で、チャンピオンズリーグ優勝を常に争う強豪になる。その目的に向かって、チーム一丸となっているように思えたがそうでもない。

 アマデオ・サルボ会長とディレクターのフランシスコ・ルフェテ氏がクラブから去った。彼らは昨シーズン半ばから指揮官のヌーノ・エスピリト・サント氏と意見の相違があったようだ。地元紙『スーペル・デポルテ』はそう伝えている。現場とディレクター陣の間の亀裂が表面化したのは、ブラジル人アタッカーの獲得オペレーションだった。

 ヌーノ・エスピリト・サント監督と彼の代理人であるホルヘ・メンデス氏はサンパウロのFWロドリゴ・カイオ獲得を希望。獲得するにはサンパウロに1500万ユーロ(約20億円)の移籍金を支払う必要があった。一方、ルフェテ氏はマルセイユに在籍するFWジャネリ・インビュラをリストアップし、5シーズンの契約合意をとりつけていた。しかし、ピーター・リム氏はそのオペレーションをストップさせた。そしてロドリゴ・カイオの交渉を進めた。結局、ロドリゴ・カイオの獲得は3人のドクターから負傷の可能性があるという診断を受けて、破談に終わっている。

 ピーター・リム氏にとって、ホルヘ・メンデス氏は個人的な付き合いがあり、バレンシア買収時にアマデオ・サルボ会長との接点をつくったのもポルトガルの敏腕代理人だった。そしてヌーノ・エスピリト・サント監督はホルヘ・メンデス氏のクライアントだ。一方ピーター・リム氏にとって、アマデオ・サルボ会長とルフェテ氏は仕事上の付き合いでしかない。会長はピーター・リム氏に「ヌーノか、私、どちらを選ぶのか?」と迫ったというが、シンガポール人資産家が関係性の深いホルヘ・メンデス氏を選択するのは必然だった。

 バレンシアは新オーナーの色に染まりつつある。

 昨シーズンは元スペイン代表FWアルバロ・ネグレド、ドイツ代表DFシュコドラン・ムスタフィ、アルゼンチン代表MFエンソ・ペレスなど実力者を獲得したが、クラブは今夏、将来有望な若手選手を獲得している。セルタから19歳のFWサンティ・ミナを1000万ユーロ(約13億円)、23歳のオーストラリア代表GKマシュー・ライアンを700万ユーロ(約9億円)で獲得した。また19歳のブラジル人MFダニーロ・バルボサをスポルティング・リスボンからレンタルで獲得し、同じく19歳のベルギー人FWザカリア・バカリをフリーで獲得。昨シーズン、欧州でもメンバーが若いとされたチームはさらに若返りを図っている。選手の獲得には、1シーズンで契約延長とオーナーからの信頼を勝ち取ったヌーノ・エスピリト・サント監督の意向も大いに反映されているのだろう。

 新オーナーの色が強まり、さらに大胆な若返りを図っているバレンシアは新シーズンどんなパフォーマンスを示すのか。まず今シーズン最初のチャレンジは8月19日にホームで行われるチャンピオンズリーグ・プレーオフのファーストレグ、モナコ戦となる。

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