2015.05.17

ビッグクラブへの進化を目指すバレンシア…象徴的な期待の星ガヤとの契約延長

ガヤ
エルナンデス(左)とボールを奪い合うガヤ(右)[写真]=Real Madrid via Getty Images
フリーライター&フォトグラファー。スペインで活動中。

文=座間健司

 5月8日にホセ・ルイス・ガヤとの契約延長合意をバレンシアは発表した。1月から始まった交渉はやっと終わりを迎えた。このニュースはバレンシアの何よりも大きな意思表示となるだろう。「我々は欧州のビッククラブになる」という明確なメッセージと言える。

 U-21スペイン代表のガヤは今シーズン、19歳にして左サイドバックのポジションを確保した。クラブの生え抜きであり、同クラブ会長アマデオ・サルボがスペイン代表FWパコ・アルカセルと同様に「近い将来、チームのキャプテンを務める存在」と期待する逸材だ。今シーズンから指揮するヌーノ・エスピーリト・サント監督は絶大な信頼を寄せている。今シーズンこれまでに33試合に出場し、1得点を記録。積極的な攻撃参加、正確なクロスで決定機を演出するサイドバックにレアル・マドリードなどチャンピオンズリーグの常連クラブが関心を示していた。

 ビッククラブからの関心もあり、ガヤの契約延長交渉は難航した。焦点は違約金だった。ガヤのサイドは、いつでも大きなクラブに移籍できるように違約金を現状維持したまま契約延長をしたかった。

 しかし、クラブは安い移籍金でガヤに退団されては困るので、違約金を高く設定したい。ガヤのエージェントはパコ・アルカセルと同じ会社だ。フォワードの契約延長はすんなり決まったのに、なぜサイドバックは決まらないのか。ガヤはバレンシアから離れたがっているのか、とその忠誠心を疑う報道もあった。可愛いがゆえに、裏切られた反動で憎まずにはいられない。バレンシアニスタは、そんな心情だったのかもしれない。

 結局ガヤは2020年まで契約を延長し、違約金は4000万ユーロ(約53億円)から5000万ユーロ(約67億円)に落ち着いた。

 バレンシア寄りのスペイン紙『スーペル・デポルテ』はガヤの契約延長を「レアル・マドリードへのファーストゴール」と評した。第36節に対戦相手、レアル・マドリードへの当てつけで、ガヤ残留はゲームの先制点くらい重要なものだと伝えたかったのだろう。レアル・マドリードが欲しがっていた人材を留めることができた。クラブの歴史を築いたガイスカ・メンディエタ、ロベルト・アジャラ、そしてダビド・ビジャ同様に、レアル・マドリードへの人材流失を許さなかったと伝えている。

 バレンシアは2015年になり、シンガポール人資産家のピーター・リムがオーナーとなった。彼の指揮のもと、チャンピオンズリーグで常に優勝争いができるビッククラブへ変貌を遂げようとプロジェクトを進めている。スポーツ面だけではない。ユニフォームメーカーを始め、プレス担当、コミュニケーション担当を代えた。さらにはスタジアムのスタンドもオレンジ色に塗装し、クラブロゴのコウモリを描くなど中から外からビッククラブへの変貌を推し進めている。

 そんなバレンシアにとって、将来ライバルになるであろうビッククラブのオファーを生え抜きの将来有望なタレントが断り、契約延長に成功したという事実は大きな自信となったに違いない。

 センターバックのアルゼンチン代表ニコラス・オタメンディ、中盤のポルトガル代表アンドレ・ゴメスには移籍の噂が絶えない。事実マンチェスター・Uやバルセロナが触手を伸ばしている。だが、ガヤを残留させたバレンシアは自信を持って、彼らも引き留めるはずだ。

「ガヤを見てみろ。私たちは今欧州における正真正銘の強豪、ビッククラブになろうとしているんだ。たちのキャリアはバレンシアでも輝かしいものにすることができる」

 クラブはそんな風に自信を持って、選手たちを説得するだろう。

 ビッククラブへの土台づくりを急速に進めているバレンシアにとって、ガヤの契約延長はひとつの象徴的な出来事だった。

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