2015.02.13

イニエスタの華麗なプレーは減った? 求められる黒子の役目を完遂

イニエスタ
キャプテンマークを巻いてプレーする機会が増えたイニエスタ [写真]=Getty Images
フリーライター&フォトグラファー。スペインで活動中。

文=座間健司

「エレンガントなプレーにおいて、ジダンとイニエスタは同じ血を持っている」

 そう評したのはディエゴ・マラドーナと共にアルゼンチン代表を世界制覇に導き、レアル・マドリードで選手、監督、ディレクターを務めたホルヘ・バルダーノだ。このスペインサッカーのご意見番に同意する人は多い。

 アンドレス・イニエスタは難しいことをシンプルにやってのける。その洗練されたプレーでディフェンスシステムを個人で打開し、チームに決定機をもたらす。ゴール数は多くないが、ジダンと同じように印象的なゴールは多い。2010年ワールドカップの決勝点、2009年チャンピオンズリーグ準決勝チェルシー戦での土壇場でのミドルシュート。そのタイトルの記憶は彼のゴールと共に人々の頭に焼きついている。

 今シーズンになってから、人々はそんなイニエスタに疑問を持つようになった。

「イニエスタの素晴らしいプレーを最近見たか?」
「パフォーマンスレベルは下がったのではないか?」

 知り合いのクレ(バルセロナサポーター)と話をするとイニエスタのパフォーマンスの話題になる。なぜならイニエスタが以前のイニエスタではなく、低調なパフォーマンスをしているように思えるからだ。カタルーニャ州の独立を求めるクレは皮肉を込めて「2010年でスペインを世界一にしたゴールを決めてからパフォーマンスは下がっている」と言っていた。

 確かに今シーズン、イニエスタが人々を惹きつけるプレーをした印象はない。カルレス・プジョルが現役を引退し、シャビがベンチを温めるようになったゆえに、イニエスタはキャプテンマークを巻いて、チームの先頭でピッチに入場するようになった。そんな彼の観衆を総立ちにさせるシンプルだけど難易度が高い魔法のようなプレーを、目にする機会は少なくなった。

 しかし、実際にはイニエスタのパフォーマンスが低下したわけでも、スキルが劣化したわけでもない。ボールポゼッションを高めて得点を奪うスタイルから、南米の偉才が並ぶトリデンテ(スリートップ)を最大限活かすカウンタースタイルへと変貌したチーム同様に、イニエスタもピッチ内における役割が変わったのだ。

 相手ディフェンスのバランスを崩すために1対1などを仕掛けていたが、今は彼の前にはネイマールやリオネル・メッシという1対1を得意とする選手がおり、イニエスタが仕掛ける必要はない。それよりも中盤でゲームをオーガナイズし、空いたスペースを埋めることにイニエスタは気を使うようになった。想像力でチャンスを作っていたが、今は機械のように走り回り、チームのバランスを整えることに努めている。実際にリーガ・エスパニョーラ第19節のアトレティコ・マドリード戦(3-1で勝利)でピッチ内を1番走っていたのはイニエスタで走行距離が11.5キロと地元紙は報道していた。

 そんなイニエスタについて、ルイス・エンリケ監督はこう評価している。

「イニエスタにとって最もいいポジションはインサイドハーフだ。重要なことはプレーすること。ボールを持った時に、彼はディフェンス網を崩すため、優位な状況をつくるために、これ以上ないプレークオリティーの高さ、スキルを私たちにもたらしてくる。またディフェンスにとても高い頻度で参加し、チームを助けてくれる。それは大事なことだ。私たちの守り方は全ての選手に守備が必要とされる。インサイドハーフ、ピボーテ、そしてディフェンスライン、またスリートップにもディフェンスが必要なことははっきりしている。私たちはそれを達成できた」

 外から見ているファンの印象や意見とは違い、テクニカルスタッフや同僚はイニエスタを高く評価している。メッシはイニエスタについて地元紙にコメントを残している。

「以前も今もイニエスタがいないとバルセロナがバルセロナではなくなるだろう」

 またイニエスタ自身も常々こう話している。

「自分が輝こうなんて1度も考えたことはない。いつもチームの役に立つように心がけてきた」

 その言葉をバルセロナの8番は、これまでとは違う形で実証している。ただ、そのパフォーマンスに価値をつけることにスタンドで、テレビで観戦する僕らは慣れていない。

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