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“王者の風格”を見せたマンCと、成長途中の“新入生”アーセナル…プレミア首位決戦を深掘り

2023.02.16

ついに首位の座が動く! [写真]=Getty Images

 15日(日本時間16日早朝)に行われたプレミアリーグの首位攻防戦は、世界最高峰のプレーヤーと指揮官による白熱の名勝負となった。
 
 首位アーセナルが2位マンチェスター・Cをホームに迎えた注目の天王山は、ノルウェー代表FWアーリング・ハーランドのゴールなどでマンチェスター・Cが敵地で3-1の勝利。この結果、両チームは勝ち点51で並び、得失点差で上回るシティが第2節以来の首位に返り咲いた。
 
 試合は前半24分、日本代表DF冨安健洋のバックパスを狙っていたMFケヴィン・デ・ブライネが華麗なループシュートを決めてマンチェスター・Cが先制。アーセナルも前半のうちにブカヨ・サカのPKで追いつくが、後半に入ると個のクオリティで優るマンチェスター・Cが力の差を見せつける。イングランド代表MFジャック・グリーリッシュの得点で勝ち越すと、最後はエースのハーランドがダメ押しの3点目を決めて勝利を手にした。
 
 それでは、見どころ満載だった天王山を詳しく振り返ろう。

[写真]=Getty Images
 

■首位交代


 
 第3節から首位をひた走ってきたアーセナルが、とうとう首位の座を明け渡すことになった。データ会社『Opta』によると、シーズン後半戦に入ってから2位チームが1位との直接対決に勝利して首位が入れ替わるのは、プレミアリーグの歴史においてわずかに3度目だという。2010年にはチェルシーがマンチェスター・Uとの、2012年にはマンチェスター・Cがマンチェスター・Uとの天王山を制して首位に立ち、そのまま王者に輝いている。
 
 とはいえ、過去の事例は参考にならないかもしれない。前述の2回は、どちらもシーズン終盤の4月の首位攻防戦。それに対して今回は2月中旬のゲームだ。さらに、首位が入れ替わったとはいえ、今回はまだ勝ち点で並んでいるし、何よりアーセナルは1試合消化が少ないのだ。
 
 だから「まだアーセナルの方が優位…」という意見もあるが、それは完全に少数派。ブックメーカー『William Hill』の優勝オッズを見ると、アーセナルの「2.87倍」に対してマンチェスター・Cは大本命の「1.57倍」。マンチェスター・Cがリーグ3連覇に向けて一歩リードしたことは言うまでもない。
 
 現地メディアもマンチェスター・Cの“王者の風格”を称えている。英紙『The Telegraph』は「大人vs少年」と経験値の差を指摘した。『The Times』紙もシティを大絶賛。「これこそシティがチャンピオンである由縁。アーセナルが19年もリーグ優勝から遠ざかっているのに対し、シティは9カ月しか遠ざかっていない。彼らには経験とハングリーさという“勝利の配合”があり、それが結果に現れた」と綴った。
 
 チームとして完成されつつあると表現したのは『The Guardian』紙だ。今季の課題だったハーランドの融合に成功したことで「ハーランド時代の到来。こん棒と弓矢を兼ね備えた“ペップ・ボール”となった。これこそ完成形に近いように感じる」と評価した。
 

■戦術勝負


 
 アーセナルの「4-3-3」に対して、マンチェスター・Cはポルトガル代表MFベルナルド・シウヴァがボランチ&左SBの一人二役を務める「3-2-4-1」と「4-1-4-1」の可変式で対抗。マンチェスター・Cの守備面での狙いは明確だった。偽サイドバックとして中盤に入るアーセナルの左SBオレクサンドル・ジンチェンコを無効化するために、両ウィングのリヤド・マフレズとグリーリッシュが中央に絞ってジンチェンコとMFジョルジーニョをマークしたのだ。
 
 これでボランチ経由のゲームメイクを封じられてしまったアーセナルは、普段のような鋭い縦パスを入れることができずに最終ライン経由で迂回しながらボールを回すしかなく、サイドで行き詰る状況となった。それでも前半24分に先制ゴールを許すと、すぐに微調整を試みる。恐らくミケル・アルテタ監督から指示が出たのであろう。左SBジンチェンコが中盤に入るのを止めて左サイドに開いたのだ。
 
 これでアーセナルはサイド攻撃が充実しただけでなく、マフレズを外につり出すことで中盤にもスペースが生まれて普段の軽快なパスワークが蘇った。そして完全にペースを握るようになり、前半のうちに同点に追い付いて見せたのだ。
 
 無論、マンチェスター・Cの指揮官も黙っていなかった。61分にCBマヌエル・アカンジを投入して「4-1-4-1」に固定して勝負に出た。そして無尽蔵のスタミナを誇るMFベルナルド・シウヴァが右サイドハーフに陣取り、この日3つ目の役割となる“ボールチェイサー”を務めた。左SBジンチェンコに執拗にプレスをかけてボールロストを誘い、決勝点の起点となったのだ。
 

アーセナルの疲労


 
 試合後にアルテタ監督は「試合前よりも自信を深めることができた」と英国放送局『BBC』に語り、こう続けた。「今日の内容を考えると、我々は勝てると感じていた。2失点目を喫するまではね。我々は3つもゴールを献上してしまった。このレベルでは許されないミスをしたからだ。とはいえ、チームは非常に高いレベルのパフォーマンスを発揮したと思う」
 
 監督の言葉を要約すると「途中まで勝てるはずだったのにミスで負けた」となる。ここに今のアーセナルの問題点が隠れているように感じる。ミスの原因はいくつかあるにしろ、そのうちの1つが“疲労”であることは明白だ。
 
 後半途中からアーセナルは簡単にボールを失うようになったのだ。マンチェスター・Cがシステムを変更してプレス強度を高めたせいもあるが、それを回避できなかったのは疲労の蓄積によるところが大きいだろう。というのも、今季のアーセナルの選手起用は“異様”なのだ。
 
 例えばFWエディ・エンケティアである。何本かチャンスを決めることができなかったエンケティアは、後半に入って明らかに動きが鈍くなった。エンケティアは、エースのFWガブリエウ・ジェズスが怪我で離脱中ということもあり、ワールドカップ後からカップ戦を含めて全試合に先発出場しており、1試合を除き全てフル出場しているのだ。途中交代した1試合だって93分まで出場しており、実質的には全てにフル出場していることになる。プレミアリーグに所属している選手で、ワールドカップ以降の全試合にフル出場している“フィールドプレーヤー”は5名いるが、前線の選手はエンケティアだけなのだ。
 
 エンケティアだけの話ではない。今季プレミアリーグの出場時間を見ると、アーセナルは1試合消化が少ないにもかかわらず、「1700分以上」も出場している選手がリーグ最多の8名もいるのだ(ラムズデール、ガブリエウ、サリバ、ホワイト、ジャカ、ウーデゴール、サカ、マルティネッリ)。ここまで22試合で全1980分のため、彼らは「86パーセント」もピッチに立ち続けている計算になる。間違いなく、他のチームよりも疲労が蓄積しているのだ。ちなみにマンチェスター・Cは1700分以上の選手が4名しかいない。
 
 さらにアーセナルは、マンチェスター・C戦の前までリーグ戦では6試合連続でスタメンを固定していた。その結果、特定の選手が疲労を溜め込み、残りの選手は先発出場の機会を貰えずに試合勘が鈍っても仕方ない。これがワールドカップ以降でわずか3度目の先発出場となったDF冨安健洋が珍しく致命的なミスを犯したことにも必ず理由があるはずだ…。
 
 19年ぶりのリーグ制覇を目指すアーセナルは、優勝争いにおいてはまだまだ“新入生”だ。こういった敗戦を教訓にしながら成長を遂げていくはずだ。その成長スピードで王者マンチェスター・Cに競り勝つことができるのか? それはシーズン終了時に答え合わせするしかない。

(記事/Footmedia)

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By Footmedia

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