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冨安という絆創膏、イングランドの新時代…アーセナル対マンUを徹底レビュー

2023.01.23

アーセナル対マンチェスター・Uの一戦を振り返る [写真]=Getty Images

 プレミアリーグでは19年ぶりのリーグ制覇を目指すアーセナルの勢いが止まらない。宿敵トッテナムに続いてマンチェスター・Uまで退けて首位の座を堅持している。

 22日に行われたプレミアリーグ第21節の注目カードは、期待通りの好ゲームとなった。4位マンチェスター・Uを本拠地に迎えた首位アーセナルは、先制ゴールを奪われながらも慌てることなく前半のうちに追いつくと、後半に入って逆転に成功。その後、セットプレーから同点ゴールを許すも、終了間際の劇的なゴールで見事に勝ち切った。これで2位マンチェスター・Cとの差を5ポイントとしてシーズンの折り返し地点を迎えた。

 それでは手に汗握るシーソーゲームとなった「アーセナル対ユナイテッド」のビッグゲームを振り返ろう。

[写真]=Getty Images

■ライバル関係の復活?

アーセナル、マンチェスター・U

 アーセナルとユナイテッドは1990年代後半から2000年代にかけて“二強時代”を築いた。クラブの英雄であるパトリック・ヴィエラとロイ・キーンが試合前から一触即発の緊張感を醸し出せば、試合後にピザが飛び交ったこともある。そんな熾烈なライバル関係にあった両雄だが、近年はシティやチェルシー、リヴァプールに後れを取って脇役に甘んじてきた。しかし、今シーズンは違う。

 ミケル・アルテタの元で着実に成長を遂げたアーセナルが首位を走れば、エリック・テン・ハフを監督に迎えたユナイテッドも変革に成功してトップ4をキープ。アーセナルが首位でユナイテッドをホームに迎えるのは実に16年ぶりのこと。久しぶりに覇権争いの張り詰めた空気の中で両チームが激突したのだ。スタンドに目を向ければ、特別な一戦だということは一目瞭然。VIP席にはユナイテッドの黄金期を築いたサー・アレックス・ファーガソン元監督や元イングランド代表MFデイヴィッド・ベッカムが陣取り、スタジアムに設置された現地放送局『スカイスポーツ』の特設スタジオではアーセナルで一時代を築いたセスク・ファブレガス、元ユナイテッドの闘将ロイ・キーン、そしてギャリー・ネヴィルなどが意見をぶつけ合った。

「(プレミアリーグで)111アシストを記録したセスクに聞きたい。オールドトラッフォードで見せた特別な“ピザのパス”について…」と、2004年の対戦後にファーガソン監督に向けてピザを投げたセスクが恥ずかしい過去をほじくり返される一幕も。キーンが「あのとき俺は欠場していた。俺がいなくて良かったな」と冗談を飛ばすと、ファブレガスも負けじと「君の方が幸運さ。ピザを当てられなく済んだのだからね」とやり返した。

 そんな懐かしいエピソードも飛び出したが、2023年の両チームにはピザなんて不要だった。ピッチ外の盛り上がりを凌駕する好ゲームを披露して世界中のフットボールファンを魅了した。

■一番の勝者はサウスゲイト!?

ギャレス・サウスゲイト監督

 勝ち点3を積み重ねたのはアーセナルだが、彼ら以上の勝者がいるとしたら、スタンドで熱戦を見守ったギャレス・サウスゲイトだろう。イングランド代表の指揮官の前で、両チームの“国産タレント”が当たり前のように躍動したのである。前半17分には、ユナイテッドが高い位置でボールを奪ってショートカウンターを仕掛けると、イングランド代表FWマーカス・ラッシュフォードがミドルレンジから右足一閃。ワールドカップの中断明け以降、9試合で9ゴール目をマークした。

 一方、序盤からゲームを支配したアーセナルは、コーナーキックの流れからショートパスを繋いで最後はMFグラニト・ジャカのクロスを元イングランドU-21代表FWエディ・エンケティアが頭で合わせて同点。後半に入ってもペースを握り続けたアーセナルは、53分にイングランド代表FWブカヨ・サカが右サイドから仕掛けて左足を振り抜き、完璧なミドルシュートをゴール隅に叩き込んで逆転に成功。その6分後にコーナーキックから同点に追い付かれるも、終始攻め続けたアーセナルは終了間際に左サイドを崩して最後はエンケティアが右足で合わせて劇的な決勝ゴールをもぎ取り、シーソーゲームに終止符を打った。

 この両チームの対戦でイングランド人が3名もゴールネットを揺らすのは、ユナイテッドが8-2でアーセナルを粉砕した2011年8月の対戦以来のこと。サウスゲイト代表監督にとっては大満足の試合となったのだ。とりわけ、昨年のワールドカップでも結果を残しているサカとラッシュフォードは、イングランドの新時代の旗振り役だ。英紙『インディペンデント』も「何もないところから素晴らしいゴールを生み出し、常にアーセナルにとって好機への最善ルートだった」として、サカにこの試合最高の採点(9点)を付けた。ラッシュフォードについても「ユナイテッドの一番の攻撃オプション。アタッキングサードで最も効果的なプレスをかけた」とチーム最高の「8点」を与えた。

 何より感心すべきは両選手のメンタリティだ。大一番にも全く気負う様子がなく、あまりにも簡単そうにネットを揺らしたのである。“先発出場”したプレミアリーグのアウェイゲームでは26試合もゴールから遠ざかっていたラッシュフォードは先制点を決めると、今季から始めたお決まりのポーズ。「(今は)クラブと練習場を取り巻くエネルギーが全く違う。おかげで僕も良い精神状態にある。以前は精神面の影響で苦しんだけど、そこが昨シーズンとは違うんだ」と好調の理由を明かしたことがあるストライカーは、人差し指をこめかみに当てた。

 サカも「間違いなく僕にとって過去最高のゴール」と自ら認め完璧なミドルシュートを叩き込むと、代表のチームメイトを真似てこめかみを指さした。そして試合後に「僕は自信を持って笑顔で自由にプレーできている。周りのチームメイトもみんな良いプレーをしているからね。このチームでプレーできるのは喜びさ。毎試合、楽しめているんだ」とカメラの前で語った。

 これでサカはプレミアリーグのユナイテッド戦では3試合連続のゴール。アーセナルの選手としてはフレディ・ユングベリ、ティエリ・アンリに次いで3人目の快挙となった。レポーターにその事実を伝えられると「フレディ、ティエリにハローだね!」と笑って見せた。

■新しい日常

アーセナル、マンチェスター・U

 シュート数「25対6」で圧倒されたユナイテッドに勝機があったとするなら、それは前半だろう。前半19分にイエローカードを貰ったアーセナルの右SBベン・ホワイトが明らかに窮屈そうにプレーしていたのだ。ユナイテッドは、彼に対してもっともっと仕掛けるべきだった。セットプレーの流れから右ウィングのブラジル代表FWアントニーが左サイドに移行して仕掛けたシーンがあったが、それを繰り返しても良かった。アーセナルが一瞬だけ“傷口”を見せたのだから。

 もちろん、すぐに傷口は塞がれることに。ワールドカップで日本代表の森保一監督が示してくれたように、「交代枠5枚」の時代に突入してサッカーは変わったのだ。新しい日常に順応した監督は躊躇なくハーフタイムにカードを切れるのだ。アルテタ監督もそんな一人で、後半から日本代表DF冨安健洋という頼もしい絆創膏を貼って見事に傷口を塞いでしまった。後半、ラッシュフォードが抜け出しかけたシーンで、冨安健洋は追いかけながら味方GKが飛び出してくるのを見て軽くラッシュフォードに体をぶつけてファウルを与えずにピンチを切り抜けた。そのプレーについては「トミヤスの戻り方は練習できることではない。純粋に経験と自信、そしてチームへのコミットメントが生み出したプレーだ」とアルテタ監督も手放しで日本代表DFを称えた。

■勝ち点50

アーセナル

 勝利したアーセナルは、シーズン半分の19試合を終えて勝ち点50。このままのペースで行けば、2017-18シーズンにシティが打ち立てた38試合制のイングランドトップリーグにおける最多勝ち点記録の100ポイントだって夢ではない。無論、そんなに単純な話ではない。記録を打ち立てた当時のシティは19試合で55ポイントを稼いでいた。さらに、シーズン後半戦は過密日程や疲労、死に物狂いで向かってくる残留圏のチームなど、勝ち切ることが難しい試合が増えていく。何より、アーセナルは2位シティと対戦を2試合とも残しており、直接対決で簡単に差を埋められてしまうかもしれないのだ。

 それでも、今のアーセナルは簡単には揺らがないように思える…。

(記事/Footmedia)

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