マンUの新指揮官就任が噂のテン・ハーグ監督…就任後に解決しなければならない複数の問題とは？

　8日、イギリスメディア『スカイスポーツ』は、アヤックスのエリック・テン・ハーグ監督が噂されているマンチェスター・Uの新指揮官に就任した場合、解決しなければならない問題を指摘した。

　本題に入る前に、『スカイスポーツ』は同監督を巡る状況について報道。アヤックスと同監督の情報筋から提供された情報から、両クラブ間ならびにテン・ハーグ監督が契約解除金・正式発表の取り扱いについて会談したと報じている。

　そして、本題となる部分では４つの解決しなければならない問題について報じている。

⒈クリスティアーノ・ロナウドに、『オールド・トラッフォード』での未来はあるのか？

　ポルトガル代表FWは現在37歳だが、マンチェスター・Uがトッテナムに3－2で勝利した試合（プレミアリーグ第29節。2022年3月12日開催）で素晴らしいハットトリックを記録したように、同選手は未だマンチェスター・Uで最も効果的な9番（ストライカー）だ。

　実際のところ、エディンソン・カバーニ（ウルグアイ代表FW）、マーカス・ラッシュフォード（イングランド代表FW）、メイソン・グリーンウッド（同代表FW）は今シーズン、様々な理由で活躍出来ておらず、ロナウドは唯一の選択肢になっていると言っても過言ではない。ここまで全コンペティションで32試合18ゴール3アシストという成績はチーム内トップであり、1ゴール当たりの出場時間も他のチームメイトを凌駕している。

　しかし、オランダ人サッカージャーナリストのマルセル・ファン・デル・クラーン氏は、『スカイスポーツ』に対し、「テン・ハーグがマンチェスター・Uの監督に就任するなら、『選手の管理の自由』を望んでいる。彼は自らのスタイルで再構築し、若くてハングリーな選手を求めている」と語っている。

　ロナウドは2021年8月に、2年＋1年の延長オプション付きの契約でクラブに復帰したが、テン・ハーグがマンチェスター・Cのようにチームをプレーさせたいと考えているなら『オールド・トラッフォード』での生活は終わりを告げる可能性がある。

⒉デクラン・ライスは中盤の解決策となるか？

　マンチェスター・Uの陣営は、満場一致で中盤のグレードアップを望んでいる。その候補とされるウェストハムのイングランド代表MFデクラン・ライスは、同チームを率いるデイビッド・モイーズ監督から「2021－22シーズン最高のイングランド人選手だ」と評されている。ウェストハムは少なくとも、1億5000万ポンド（約225億円）以上の入札しか受け入れないと報じている。

　マンチェスター・Uはチェルシーとの争奪戦に直面すると予想されている。チェルシーの財政的な窮状と不確実性はマンチェスター・Uに有利となるかもしれないが、明確では無いだろう。

　しかし、ライスは今後10年に渡ってマンチェスター・Uの中心に立てる選手。記録的な移籍でテン・ハーグをサポートするという、大きなシグナルにもなるだろう。

⒊サンチョがチームの中心に？　ラッシュフォードはどうなるのか

　2021年夏、マンチェスター・Uがジェイドン・サンチョと契約した時、ラッシュフォードとの両ウイングはまばゆい光景だった。世界中のサポーターは、今後10年『オールド・トラッフォード』のピッチを飾るに相応しい2人のウイングを見つけたと確信していた。

　しかし7か月後、どちらもイングランド代表から落選している。ラッシュフォードの落選は理解出来るが、サンチョに関しては多くの人にとって驚きだった。オーレ・グンナー・スールシャール前監督の下ではわずか4試合のスタメン出場に留まっていたが、ラルフ・ラングニック暫定監督が就任し、代表ウィーク前直近5週間で6試合に先発。2ゴール・3アシストを記録し、2日のレスター戦はフル出場を果たした（試合は1－1で引き分け）。

　テン・ハーグの若手育成の実績と、ヨーロッパで最も進歩的な監督であり、サンチョはクラブの長期計画において大部分を占めるのは間違いない。

　ラッシュフォードに関してテン・ハーグは、現金化という決断の可能性もある。レスター戦ではベンチスタートとなり、選手採点ではチーム内最低を記録した。『スカイスポーツ』の解説者ギャリー・ネビルは「本当の殺人者で、ラングニックは彼を気に入っていない」を語った。

　肩のケガで出遅れ、ここ数か月のパフォーマンスに苦しみ、10月末以降2ゴールに留まっている。1年の契約延長条項を含む現行契約は2023年夏に満了する。だが、クラブでの将来は引き続き広まっていると考えられる。彼には斬新なアイデアを持つ新しい監督が必要だ。長期的にクラブに留まり、2016年に大胆不敵な18歳として活躍した時の姿に戻ることは出来る。テン・ハーグはそれ以上を引き出せるかもしれない。

⒋テン・ハーグはロッカールームをどうコントロールする？

　テン・ハーグを巡り、同監督が『オールド・トラッフォード』で指揮するのに相応しい人物であるか意見が分かれているという噂があるようだ。

　最大の課題となるのは、ロッカールームでのエゴの管理だ。ピッチ内外で説明責任が果たせず、ジョゼ・モウリーニョ、オーレ・グンナー・スールシャール、現在のラルフ・ラングニックは選手たちを失望させている。長い間、選手たちはユナイテッドの監督よりも多くの力を持ってきた。それはテン・ハーグで変わる必要がある。

　スカイスポーツの解説者ロイ・キーン氏は2019年、「選手はモウリーニョをバスの下に投げ込んだのと同じだ。オーレにも全く同じことをするだろう」と語っていた。テン・ハーグに対してキーン氏は、「どのようにして同じ運命を避けるのか？」と質問している。

　また、テン・ハーグはスタッフに、ユナイテッドの「DNA」を持つアシスタントを招へいするという話があり、スティーブ・マクラーレン氏、ロビン・ファン・ペルシ氏などが話題だ。これについては、テン・ハーグがイングランドサッカーを把握し、ロッカールームでの関係を改善するのに役立つ可能性が高い。だが、リードする意欲の欠如が監督に対するネガティブな問題になるかもしれない。

　テン・ハーグがロッカールームを支配するために必要なのは、オーナーや首脳陣の全面的な支援だ。現時点でそれを提供出来るかは、別問題だ。それを証明するための第一歩は、移籍市場でのバックアップ。彼の望まない選手を売却し、望んでいる選手を補強する。マンチェスター・Cやリヴァプールと戦うために、リーダーシップ、メンタリティ、クオリティの面で真の改革を必要としている。