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【3年ぶり】ノエル・ギャラガー単独インタビュー 愛するマンCやフットボールの今を語る!

2018.09.10

単独インタビューに応じてくれたノエル・ギャラガー [写真]=野口岳彦

 3年ぶりに“あの有名サポーター”にインタビューする機会を得た。

 イギリスのロックバンド・オアシスのメインソングライターで、現在はソロ・プロジェクト『ノエル・ギャラガーズ・ハイ・フライング・バーズ』で活躍しているノエル・ギャラガーである。

 彼の“ローカル・クラブ”は現在、世界で最も人気があるリーグを支配するマンチェスター・C。昨シーズンは勝ち点100を達成して優勝し、そのセレモニーにも姿を見せていた。

 時には愛情たっぷりに、時には毒舌ぶりを発揮してサッカーを語る姿もおなじみとなったノエルに、SUMMER SONIC出演で来日した際に話を聞き、ジョゼップ・グアルディオラ監督についてや、最近のシティ、W杯やイングランドのフットボールを取り巻く状況についても聞いた。

インタビュー=小松春生
翻訳=湊昂大
写真=野口岳彦、Getty Images

■ペップはポール・マッカートニーのような俺のヒーローたちと同じ

ノエル・ギャラガー

――3年前の2015年にインタビューをさせていただいた時は、マヌエル・ペジェグリーニが監督でした。その1年後にジョゼップ・グアルディオラがやってきて、チームはさらに進化しました。この数年での変化をどう捉えていますか?

ノエル・ギャラガー(以下、NG) クラブ自体の変化はよくわからないが、チームとしてはFuckin’豪華なタレントが揃っている。俺が生きているうちに、こんなチームを見られるとは思わなかったな。(ロベルト)マンチーニが監督の時にリーグで優勝して素晴らしいチームと思っていたが、ペジェグリーニはリーグ優勝と2度のリーグカップをもたらしたから、最高のチームだと思っていた。だが、グアルディオラが来て、これ以上のことはないだろ。天才だ。選手たちも素晴らしい。

――グアルディオラ監督とは番組で共演したり、セレモニーで話すなど、かなり交流があるようですが、一人の人間として、どういう人物ですか?

NG 偉大な人間だし、陽気なやつだと思うよ。ポール・マッカートニーやニール・ヤング、ジョン・ライドン…。俺が出会ってきたすべての偉大な人物、俺のヒーロー、その仲間に入れるぐらいだ。飾らない感じが好きだし、選手やファンを鼓舞する姿は素晴らしいね。

 電話番号はもちろん知っているし、エティハドに行くといつも、酒を飲んでから彼のオフィスに足を運んでいる。最近、彼が出店をサポートしたカタラン・レストラン(『TAST』、https://tastcatala.com/)がマンチェスターにオープンしたから、今度はそこに行くだろうな。

ノエル・ギャラガー

――昨シーズンはリーグ戦とリーグカップの二冠を達成しました。

NG 信じられないだろ! 今までで最高のシーズンだ。これ以上のシーズンはないね。もっとトロフィーを勝ち取れると思うし、サポーターとしては、今後3シーズン満足して過ごせるだろう。子供の頃はしょっちゅう試合を見に行ったが、勝つところさえ見たことがなかったんだぞ。だが、今は負け試合を見ることがない。今シーズンも面白くなるだろう。世界中のマン・シティファンも、1000%ハッピーだと話していてわかるよ。

――前回のインタビューでは、2011-12シーズンにセルヒオ・アグエロが得点して優勝した時が一番感動したと言っていましたが、それは今でも変わりませんか?

NG アグエロの場合は、(ゴールを決めた)“瞬間”だ。それが、俺が今まで見てきたフットボールで最高な“瞬間”だった。でも、昨シーズンは38試合のうち32勝して、負けたのはたった2試合、ドローは4試合だ。しかも最終節では、最後の最後のシュートで勝ち点100を達成したんだ(アディショナルタイム4分の決勝点で勝利)。シーズン中はどんどん、どんどん、どんどん、どんどん、どんどん、どんどん良くなって、6試合を残して優勝したんだ。そして、もっともっともっと良くなって、最後の最後はFuckin’ヤバかった。シーズンが終わって嬉しかったけど、俺は疲れて「もう十分だ」って感じだったな。

――昨シーズンはユナイテッドが2位でしたけど…。

NG 本当か?

――存在は気になりますか?

NG ノー。むしろリヴァプールだ。良くなってきているからな。俺がよく見に行っていた1980年代は、リヴァプールがビッグクラブだった。もし子供の頃の俺に、「この先、リヴァプールは30年間リーグ優勝しない」と言っても信じないだろうな。そして90年代と00年代はユナイテッドの時代だった。でも、それは起こりうることだ。シティの時代がこの先、10年や20年も続くとは思っていない。グアルディオラが去ったら、また新たなスタートになる。だからこそ、今後3~4シーズンはスペシャルなものになるはずだ。そう願っているよ。

――今シーズンのシティはいかがですか?

NG 開幕戦を見に行ったけど、いい試合だった。でもケヴィン・デ・ブライネが3~4カ月離脱となったことは残念だ(インタビュー前日にヒザを負傷したことが発表された)。

――大きな痛手になりそうですね。

NG 他のチームやサポーターにとっては面白い展開かもしれない。「シティも終わりだ」ってね。俺はシティが優勝すると断言はしないが、他のチームがシティを上回って優勝するとは思わないな。もしその面白い展開になれば、Fuckin’壮絶なシーズンになるだろうな! 確かにデ・ブライネの離脱は痛いが、良くなって戻ってくるさ。

――そういえば開幕戦後、SNSで何かと話題になるバンジャマン・メンディのInstagramで2ショット写真を見ました。

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Super 🎸 star ⭐️⭐️ @oasis @mancity 🥋

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NG あの時、俺はすげぇ酔っ払っていた。(笑) 素晴らしいし、大好きな選手だ。昨シーズンの大半をケガで棒に振り、誰もが災難だと思っただろうけど、監督がうまく対応していた。彼はインターネットのスーパースターだ。俺はソーシャルメディアをやらないからフォローしていないし、何をしていたかよくわからないけど、まぁ面白かったな。

――他のチームは気になりますか?

NG 誰がそんなこと気にするかよ!

――チャンピオンズリーグはまだ獲得できていませんが、どうしても欲しいタイトルですか?

NG ノー! 気にもしてないな! シーズンで獲得できるタイトルは4つ(リーグ、FA杯、リーグ杯、CL)だが、俺は毎シーズン、プレミアリーグを優勝してほしい。今シーズンはいいチャンスだと思うが、CLはいいチームが他にもいるし、大きな運が必要な大会だ。すべてはリーグなんだ。例えば今年、ウェンブリーで優勝できるのであれば、それは嬉しいよ(※今シーズンのCL決勝はマドリード)。おっと、だがウェンブリーなんかで優勝したくないな。ローマやバルセロナみたいな、ホットな場所で優勝したい。

 2000年代のアーセナルの黄金期を覚えているか? チームにはティエリ・アンリ、デニス・ベルカンプ、ロベール・ピレスらがいたが、CLは優勝していない。世界が認めたベストチームの1つでさえも、だ。重要なのはリーグでどんな終わり方をするか、それだけだな。

■リヴァプールのファンはどうしようもない。スパーズはクソだ!

――昨シーズンはCLベスト8でリヴァプールに負けたから、その悔しさはあると思いますが…。

NG リヴァプールのファンは…Fuckin’どうしようもないやつばかりだ。俺のバンドにも何人かいるが、Fuckin’信じられねぇ。やつらはシティを倒して興奮していたな。だが、「お前らは何を勝ち取ったんだ」と。何も勝ち取っていない。Fuckin’どうでもいい。リヴァプールに負けるぐらいなら、マン・ユナイテッドに負けるほうがマシだ。それもFuckin’耐えられないけどな。

――トッテナムはどうですか?

NG スパーズはどうでもいい! クソだ! 新しいスタジアムはすごいものになるだろうけどな。だが、もっと金を使わないとダメだ。金を使わないと、結果はでない。シンプルなことだ。マン・シティがやっているようにな。でも、金を出すだけではなく、ふさわしい選手を買わないといけない。

 シティは、レロイ・サネやガブリエル・ジェズスといった、若くて、世界的なスーパースターになる前の選手を獲得している。デ・ブライネやアグエロ、ダビド・シルバ、ヴァンサン・コンパニもそうだった。そして、マン・シティでどの選手もグローバルなスーパースターになった。それが違いだ。

サポーターに交じって観戦

――チームの人気もあり、エディハド・スタジアムに試合を見に来る観光客も増えました。一方で、古き良き応援の形が薄れているという部分もあると思います。複雑な気持ちはありますか?

NG プレミアリーグで優勝し、グローバルなスーパースターが揃えば、それは起こることだ。成功の結果だよ。スタジアムがマンキュニアン(マンチェスター育ちの人)で半分以上埋まるが、リーグ15位で終わるようなチームか、日本人やアラブ人で埋め尽くされるスタジアムで毎年優勝するようなチーム、どちらを見たいかと言われたら、間違いなく後者だ! 気になることはピッチで起こっていることだけだな。

――プレミアリーグは世界的な人気が高まり、今や巨額のお金が動く存在となりました。あまりの高騰ぶりに、そろそろバブルが弾ける懸念もありますが、心配ですか?

NG そうは思わないね。イングランドでは「いつかバブルが弾ける」と言われているが、イングランド人は世界全体を見ようとしない。プレミアリーグの人気は世界中で信じられないほどだ。俺はツアーや旅で世界を回っているが、むしろイングランドからこんなに離れた土地の方がプレミアリーグを見ているな。世界中どこでも、だ。イングランドでは週末に試合をどんなに見るとしても2、3試合だろうが、日本やシンガポール、香港にいれば、10試合も見られる。プレミアリーグのグローバルな人気が下がることはないと思うね。

■イニエスタだろ? Jリーグはぜひ観たいな!

ノエル・ギャラガー

――ロシア・ワールドカップは見ましたか?

NG アメイジングだった。ヤバかったね。俺が今まで見てきたW杯で最高の大会だった。ほぼ全チームの力が拮抗していたな。日本はよくやったと思うよ。ベルギー戦は、ほぼドローだったし、準々決勝に行ける力はあったはずだ。韓国もすごかったな。サウジアラビアはちょっとひどかったが、下位のチームレベルも上がっていて、どういう結果が出てもおかしくなかった。

――イングランドはいかがでしたか?

NG イングランドはよくやったが、もう少し運が必要だったな。イングランド国内では「次はもっといい成績を出して優勝しないと」、なんて話が多い。だが、待てと。今回は人生で一度のチャンスだったんだ。もし、アドナン・ヤヌザイが(イングランド戦で)あのゴールを決めていなかったら、(決勝トーナメントの)山がイングランドと逆になって、ベルギーが優勝していただろう。だから、運が必要なんだ。

 今回のイングランド代表で最も大きな要素だったのは、“好かれる”チームだったことだ。みんなウェイン・ルーニーがFuckin’嫌いだ。イングランド代表がリヴァプールとマン・ユナイテッドの選手ばかりの時は、誰もチームを好きになれない。誰もマン・ユナイテッドとリヴァプールが好きじゃないからな。だが、マン・シティやトッテナムの若い選手ばかりだと、みんな応援したくなるんだよ。将来は明るいさ!

ラヒーム・スターリング

W杯では無得点に終わったスターリング

――シティの選手で言えば、ラヒーム・スターリングはシュートを外す場面が目立ちましたね。

NG 面白いことに、彼がシティでプレーするときは驚異的だ。イングランドよりマン・シティの方が強いからな。(イングランド代表では)下手な奴らばかりに囲まれているだけだ。スターリングはW杯ではダメだったかも知れない。だが、エティハドのピッチではFuckin’ヤバかった。感嘆するぐらいだ。代表戦は全く別の試合だな。

――日本のサッカーの話をさせてもらえれば…

NG イニエスタだろ?

――そうです。彼のチームメートにはルーカス・ポドルスキがいて、フェルナンド・トーレスもJリーグでプレーしています。ぜひ次のバカンスで来日した時には試合を見に行きませんか?

ノエル・ギャラガー

NG (食い気味に)YEEEES!ぜひ見たいね! Jリーグだろ、観戦したいな。連れて行ってくれるか?

――もちろんです! ちなみに自分でプレーをしてみたいという気持ちを持ったことは?

NG ノーだ。タバコを吸って、酒を飲んで、フットボールを見たいんだ。プレーで言えば俺はあまり上手くないからな。裏庭で子供とやるぐらいだ。フットボールは好きだけど、走り回るのは好きじゃないんだ。

――では、最後に日本のシティファンにメッセージをお願いします。

NG 日本のシティファンへ。KDB(デ・ブライネ)の負傷離脱にあまり落ち込むなよ。彼は大丈夫だし、すぐ戻ってくる。最も重要な人物は監督だ。この監督がいる限り、素晴らしい日々を送れるだろう。いつかエティハドで会おう。

■INFORMATION

Noel Gallagher’s High Flying Birds | ノエル・ギャラガーズ・ハイ・フライング・バーズ
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歌詞・対訳・解説付

ノエル・ギャラガー公式HP
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