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【プレミアリーグ10節総括】異例の大混戦…見えてきた5チームによる優勝争い

2016.11.01

プレミアリーグは10節を消化し、首位から5位までの勝ち点差が「3」と混戦状態になっている [写真]=Getty Images

 プレミアリーグは一つの節目となる10節を終え、マンチェスター・Cが首位、同じ勝ち点でアーセナルとリヴァプールが続き、チェルシーが1差、トッテナムが3差でそれぞれ4位と5位につけ、上位争いが混戦模様となっている。

 昨シーズンと2シーズン前の10節終了時、1位から5位の勝ち点差は前者が5、後者が9だっただけに、今シーズンの優勝争いがいかに拮抗しているかがうかがえる。一方、アレックス・ファーガソン元監督が退任した2013年以降、不振が続いているマンチェスター・Uはジョゼ・モウリーニョ新監督体制となった今シーズンも混迷が続いて8位に沈んでおり、首位との勝ち点差は8に開いている。昨シーズン覇者で日本代表FW岡崎慎司が所属するレスターも初出場のチャンピオンズリーグ(CL)ではグループステージ通過に王手をかけているものの、大方の予想通り、国内では11位と大きく出遅れている。

 二強体制だったリーガ・エスパニョーラ、一強のブンデスリーガでそれぞれバルセロナとバイエルンを指揮し、数々の栄冠を手にしてきたジョゼップ・グアルディオラ監督は、新天地マンチェスター・Cで開幕6連勝を達成。自身の理想とするシステムへ変化を遂げたかに見えた。だが、7節目でトッテナムに初黒星を喫すると、その後2試合で中堅のエヴァートンとサウサンプトンに引き分けて失速。CLと敗退したリーグカップを含めると9月末から実に6戦連続未勝利が続いた。10節目のウェスト・ブロムウィッチ戦で快勝して復調したが、CLバルセロナ戦では0-4と大敗を喫しただけに、今後の上位勢との直接対決が注目される。

 一方、開幕戦でリヴァプールに負けて以来、公式戦14戦無敗中の2位アーセナルを指揮するアーセン・ヴェンゲル監督は、今シーズンのチームが2004年に無敗優勝を遂げたチームに匹敵するとしたうえで、勢い付くチームについて次のように話している。

「今シーズン、我々は5、6年前よりも確実に優勝争いができるチームへと成長している。今シーズン優勝するチームの勝ち点は82から86で決着するだろう。我々は強い忠誠心、団結心、勝利への欲、それらすべてを有しており、優勝できる可能性を秘めている。リーグ優勝こそが我々の目標であり、シーズン終了まで好調を維持したい」

 3位リヴァプールも同様に公式戦11戦無敗と波に乗り、リーグ10節を終えて182本というシュート数は国内トップを誇る。無失点に抑えた試合はスコアレスドローを演じたマンチェスター・Uとのダービー戦のみとなっており、守備面での問題が懸念材料だが、それでも運動量と決定力の高い攻撃でカバーしている点が強みだろう。

 そんなリヴァプールを昨シーズンから指揮するユルゲン・クロップ監督について、前述のファーガソン氏はドイツ誌『kicker』の中で、「クロップはリヴァプールの情熱を再燃させた。過去20年間、リヴァプールはスタイルを確立できぬまま監督を変え続けてきたが、今シーズンの彼らは確実に優勝候補になっているといえるだろう」と評している。

 4位につけるチェルシーも10月のリーグ戦全4試合で完封勝利しており、調子は上向きだ。チェルシーは今シーズン、開幕3連勝を築いたものの、システムや戦術が定まらず、9月に1分け2敗と勢いが影を潜めた。だが、アントニオ・コンテ監督の3バックへのシステム変更が奏功すると、昨シーズン覇者レスターを3-0、マンチェスター・Uを4-0で粉砕するなど、再び勢いを付けている。

 5位のトッテナムは10節を終えて唯一リーグ戦無敗を維持しているものの、5勝5分けと勝ちきれない試合が目立つ。マンチェスター・Cに2-0で快勝し、初めて土を付けたことは特筆すべきだが、9月中旬から足首負傷で長期離脱したエースのイングランド代表FWハリー・ケインをはじめ、要所で主力選手に故障者を出したことが、マンチェスター・C戦後の公式戦5試合未勝利というペースダウンに影響した。

 プレミアリーグは10節を消化したばかりだが、上位4チームの得失点差が2桁台に達していることからも、優勝争いの候補チームが固まりつつある。同リーグは年明けまでに上半期の日程が終了することになるが、今後9試合で新たに目まぐるしい変動が上位争いに起こるかどうか、注目が集まる。

文=藤井重隆

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