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好調エヴァートン、クーマン監督の野望とは ペップとの先輩後輩対決に注目

2016.10.02

現役時代に先輩後輩の関係だったエヴァートンのクーマン監督(左)とマンCのグアルディオラ監督(右) [写真]=Getty Images

 プレミアリーグ第7節を終えて、エヴァートンが4勝2分け1敗で暫定4位につけ、上位争いに食らいついている。

 昨シーズンまで日本代表DF吉田麻也が所属するサウサンプトンを指揮したロナルド・クーマン監督は契約を1年残してエヴァートンに移籍した理由として、「サウサンプトンよりも強いから」としていたが、開幕から全勝で首位を走るマンチェスター・Cを指揮し、現役時代のバルセロナでの後輩でもあるジョゼップ・グアルディオラ監督に秘めたる闘志を燃やしているとも。

 両氏の年齢は8歳離れているが、クーマン監督はバルセロナに在籍した26歳から約6年間、当時18歳だったグアルディオラ監督の面倒を見ていたと言われている。その当時、バルセロナで監督を務めていた今は亡きヨハン・クライフ氏はクーマン監督に対し、「ペップにいろいろと教えてやってくれ」と世話役を頼んでいたという。彼らは1990-91シーズンからリーガ・エスパニョーラ4連覇を達成したほか、92年にはヨーロピアンカップ(現チャンピオンズリーグ)を制した経緯を持つ。

 現在53歳のクーマン監督は、コーチに転向してからバルセロナ、バイエルンで数々の栄冠を手にしてきたグアルディオラ監督とは対照的に、欧州トップリーグの中堅チームの監督として無難なキャリアを積み重ねてきた。そんな同監督はエヴァートンの現状について「世界最高峰の選手を揃えられない分、理想の8割にしか達していない」と、あくまで現実的かつ客観的に自らのチームを分析する。しかし裏を返せば、中堅チームを8割まで仕上げられるというのが彼の才能だろう。

 現にクーマン監督は「100パーセントの状態にない選手はスター性があっても起用しない。名前ではなく、チーム戦術が最優先だ」と、自らの哲学を説く。例として、昨シーズン、サウサンプトンではチームの主力だったセネガル代表MFサディオ・マネがミーティングに遅刻したことを公に批判し、罰金と謹慎処分を科した。

 2シーズン前、クーマン監督がサウサンプトンに就任した当初、クラブは主力選手5人を放出したため、周囲はすぐさま成績不振や降格争いを予想した。だが、クーマン監督はクラブが選手放出で2000万ポンド(約26億円)もの移籍金を捻出しながらも、プレミアリーグで1シーズン目に7位、2シーズン目に6位と好成績を出して見せた。

 今シーズンは、チーム改革に必要とされるチームの“根幹”、GK、センターバック、センターハーフ、FWの補強にも成功しているが、これはグアルディオラ監督も達成させており、それぞれが獲得した個々の選手の差には、やはり開きがある。そんな状況でも、クーマン監督が上位争いに食らいついているということは、チームの完成度が高く戦術が機能しているということにほかならない。

 クーマン監督とグアルディオラ監督のプレミアリーグ初対決は10月15日にマンチェスター・Cのホーム、エティハド・スタジアムで実現するが、この先輩後輩対決では一風変わった面白い側面の戦いが見られるかもしれない。

文=藤井重隆

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