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今夏の移籍市場をにぎわす「GK大移動」…1枠の座を巡る“玉突き人事”の結末は?

今夏は例年になく多くのGKが新天地を求めている [写真]=Getty Images

 戦術にトレンドがあるように、移籍市場にもその時々で大きな潮流がある。

 今夏のここまでを振り返ってみると、リヴァプールの元イングランド代表MFスティーヴン・ジェラードやバルセロナの元スペイン代表MFシャビ、ユヴェントスのイタリア代表MFアンドレア・ピルロなど、“レジェンド”と呼ばれる選手たちの退団は、その1つだった。

そして、この次に主流となりそうなのが、「GK大移動」かもしれない。

 直近で最も大きなニュースとなったのは、下部組織時代から通算25年を過ごしたレアル・マドリードを退団し、ポルトへの加入が発表されたスペイン代表GKイケル・カシージャスの移籍だろう。彼のケースは、冒頭の“レジェンド退団”枠に組み入れることもできるが、今夏は例年になく多くのGKが新天地を求めており、その流れの一環だと考えることが可能だ。

 実際、プレミアリーグでは、チェコ代表GKペトル・チェフがチェルシーからアーセナルへ移籍。すると、空いた枠には、ストークからはボスニア・ヘルツェゴビナ代表GKアスミル・ベゴヴィッチがやってきた。一方、チェフが加入したアーセナルでは、ポーランド代表GKヴォイチェフ・シュチェスニーとコロンビア代表GKダビド・オスピナの処遇を巡って、様々な噂が飛び交っており、“玉突き人事”が発生する可能性は限りなく高い。

 では、なぜこれほどまでにGKが移籍市場を騒がせているのだろうか。

 その理由の1つは、GKというポジションが持つ特性にあるだろう。言うまでもなく、試合のピッチに立てるGKは、たった1人。“1枠”の座を巡る争いは、他のどのポジションとも異なる激しさがあり、その戦いに敗れた者には“ベンチでの試合観戦”という苦行が待っている。近年はどのクラブでもローテーション制が浸透し、リーグ戦とカップ戦でGKを使い分けるチームもあるが、それでも“正GK”に選ばれた者とそうでない者とでは、出場数だけでも雲泥の差がある。

 だからこそ昨シーズン、ベルギー代表GKティボー・クルトワにポジションを奪われたチェフは、同じくノースロンドンを本拠地とするライバルチームへの移籍であっても、その決断をためらうことがなかった。

 バイエルンをわずか1年で退団したスペイン人GKペペ・レイナも、似たようなケースと言えるだろう。昨夏、「控えでもタイトルが欲しい」とバイエルン入りの理由を語っていたレイナだったが、“マヌエル・ノイアー”という高い壁を乗り越えられなかったことで、考えを一変。“主役”に返り咲くべく、ナポリへ復帰した。

 そのバイエルンは、シュトゥットガルトで正GKを務めていたドイツ人GKスヴェン・ウルライヒをレイナの代役として確保。一方、引き抜かれた側のシュトゥットガルトは、ドルトムントのオーストラリア代表GKミチェル・ランゲラクを獲得した。ただランゲラクは、それまでドルトムントで正GKを務めていたローマン・ヴァイデンフェラーが退団濃厚とされるなかでの移籍となっただけに、現地ではちょっとしたサプライズとして受け止められた。ただしこれもまた、“1枠”への強いこだわりが生んだ決断と考えることもできる。

 そして今夏、GKの移籍が盛んなもう1つの理由が、このポジションで世代交代が進んでいるという現実だ。カシージャスにしても、チェフにしても、今なお第一線で活躍できる実力を備えている。だがそれ以上に、若くしてビッグクラブのレギュラーを張れるだけの能力を持つGKが次々に登場しているのだ。

 先のクルトワとノイアーを筆頭に、カシージャスの後釜としてレアル入りが有力視されるマンチェスター・ユナイテッドのスペイン代表GKダビド・デ・ヘアもその1人だ。なお、デ・ヘアが退団した場合に備えて、マンUがリストアップしているのは、アトレティコ・マドリードのスロベニア代表GKヤン・オブラクだとされている。彼の年齢は22歳。「GKは経験値が最も重要」と言われた時代は、すでに過去のものとなっているのだ。

 そして、この「GK大移動」はまだまだ終わりそうにない。次の目玉は、デ・ヘアで間違いないだろう。カシージャス放出に伴い、レアルは彼を迎える手はずを整えた。“狙った獲物は逃さない”フロレンティーノ・ペレス会長は、どんな手を使ってでも新守護神をクラブに加えるはずだ。

 となれば、マンUの次の“正GK”は誰になるのか。オブラクと並ぶ後釜候補だったトッテナムのフランス代表GKウーゴ・ロリスは、オフの間に手首を骨折していたことが明らかになり、移籍の可能性が狭まった。一方、第2GKからの昇格が期待されていた元スペイン代表GKビクトル・バルデスは、アメリカ遠征のメンバーから外され、退団の噂が真実味を帯びてきた。では、果たして誰が“赤い悪魔”のゴールマウスを守るのか。その予想は困難だが、1つ確かなのは現在の陣容のまま開幕を迎える可能性は限りなく低いということだ。

 狭き門、そして世代交代という2つの要因が重なり合って起こっている、今夏のGK大移動。移籍市場のクローズまではまだ1カ月以上残っており、今後も彼らがマーケットをにぎわす存在となるはずだ。稀に見るこの大移動から、今後も目が離せない。

(記事/Footmedia)

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