2015.06.29

“泥臭さ”で成功を勝ち取った岡崎慎司が新天地レスターに適応できる理由

岡崎慎司
新シーズンからプレミアリーグのレスターでプレーする岡崎 [写真]=Getty Images

 2014-15シーズン、昇格組だったレスターは、プレミアリーグの歴史においてある偉業を成し遂げた。「クリスマスに最下位だったチームは降格する」。そんな魔のジンクスを打ち破った歴代3チーム目となったのだ。

 最下位にいた日数はリーグ最長の140日間。長らく順位表の底が定位置で、2月にはタイ人オーナーがナイジェル・ピアソン監督を解任し、息子である副会長の説得で数時間後に撤回するというゴタゴタもあった。だが、ショック療法が奏功し、そこからレスターは生まれ変わる。4月以降だけの成績を見ると7勝1分け1敗で、なんとリーグトップ。華麗なる“大脱走”は、選手全員によるガムシャラなプレッシングと圧倒的なハードワークの賜物だった。

 6月26日にレスター移籍が発表された岡崎慎司は、こうしたプレースタイルにぴったり合致するプレーヤー。昨シーズン、ピアソン監督は何度か記者会見で岡崎に興味を持っていることを認めていたが、その言葉を裏付けるように、加入発表直後にはアシスタントマネージャーのスティーヴ・ウォルシュも「我々は2年間、彼を見続けてきた。昨年の夏、今年1月にサインしようとしていた」と明かしている。

 さらに、コーチのウォルシュはこう続ける。

「ファンはきっと彼を好きになる。大きなエネルギーを持っているし、抜け目なく、DFのいかなるミスも逃さずボールをネットに突き刺せる。オフ・ザ・ボールでもどう動くべきかわかっているし、ポジショニングのセンスもいい。運動量も驚異的だ」

 決して多くないチャンスをモノにする決定力と、ハードワークや献身性。クラブが岡崎がレスターで活躍できると確信している。オーナーがタイ人ということで、かねてからアジア人プレーヤーの獲得に興味を持っていたのも事実だが、それでもマインツに支払ったと報じられる移籍金は推定700万ポンド前後と高額だ。クラブレコードがアンドレイ・クラマリッチの1050万ポンド、2位がレオナルド・ウジョアの800万ポンドであることを考えれば、純粋な即戦力としての期待値も相当に高い。

 では、ピアソン監督は岡崎をどう起用するのか。昨シーズンのラスト2カ月で快進撃を見せたレスターは、システムを4-2-3-1から5-3-2に変えた。そのシステム変更のキーマンだったのが1月にストークからレンタル加入したDFロベルト・フートだったが、岡崎獲得の数日前にフートの完全移籍も発表されているため、新シーズンも5-3-2で挑む可能性が高い。

 その場合、2トップのレギュラー格はジェイミー・ヴァーディーとウジョアだ。アマチュアから這い上がってイングランド代表デビューを果たしたヴァーディーは、しつこいプレッシングと裏に抜けるスピードが持ち味で、ゴールよりアシストに長けた選手だ。ウジョアは泥臭くゴールを狙う正統派のストライカー。岡崎はこの両名とポジションを争うことになるが、献身性や相手の裏を取る動きならヴァーディーに、得点感覚ならウジョアにひけを取らないはずで、どちらともコンビを組めそうだ。ただし、今年1月に加入したクロアチア代表FWクラマリッチも2年目でプレミアへの適応が予想されるため、彼の存在が案外カギになるかもしれない。

 一方で、ピアソン監督は相手によって前線を3トップに変えることも多い。その場合、岡崎が1トップでもサイドでもプレーできることは有利に働くだろう。快足を飛ばしてサイドを駆け上がったヴァーディーやジェフリー・シュラップのクロスに、逆サイドから中央に入ってきた岡崎がピンポイントで合わせるシーンは実に想像しやすい。ブンデスリーガ以上に相手DFが“力任せ”に潰しにかかってくるプレミアでは、まずはサイドでチームメートやファンの信頼をつかみ取る方が得策かもしれない。

 いずれにせよ、岡崎をチームに馴染むのにそう時間はかからないはずだ。ピアソン監督はウェストブロムウィッチでブライアン・ロブソン監督のアシスタントを務めた際に稲本潤一を、レスターでも阿部勇樹を指導した経験があり、日本人選手の扱いに不慣れではない。さらに、MFエステバン・カンビアッソの存在も心強い。昨シーズン、プレミア初挑戦にしてクラブ年間最優秀選手に輝いた34歳は移籍も噂されているが、インテルで長友佑都と良い関係を築いていた彼が残留すれば岡崎の助けになることは間違いない。そして何より、“戦う姿勢”を全面に押し出すタイプの選手を好むイングランドのサポーターが、岡崎のプレーに好感を抱くことも間違いない。

 あとはゴールという結果を出すだけだ。プレミアのピッチに立つ7人目の日本人プレーヤーにして、初の“2ケタ”スコアラー誕生も大いに期待できる。

(記事/Footmedia)

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