2015.06.19

Jリーグよりも複雑? プレミアリーグ版「日程くん」は、どのように対戦を組んでいるのか

プレミアリーグ
プレミアリーグの複雑怪奇な日程どのように作られるのか? [写真]=Getty Images

 17日、プレミアリーグは8月8日からスタートする2015-16シーズンの試合日程を発表した。リヴァプールが14-15シーズン最終節で1-6の大敗を喫したストークとの再戦を戦い、マンチェスター・ユナイテッドが強豪トッテナムを本拠に迎え撃つなど、新シーズンも開幕からいきなり好カードが目白押し。期待は膨らむばかりだが、そんなプレミアリーグの日程がどのように決められているのかはあまり知られていない。


 Jリーグが「日程くん」と呼ばれるマッチスケジューラー専用のコンピューターソフトを用いていることは有名だ。実はプレミアリーグにも「日程くん」と似たようなソフトウェアが存在する。92-93シーズンのプレミア創設からずっとソフトを提供しているのが、欧州に拠点を置く『アトス』社というITサービス企業。同社のシステムに様々な“条件”を入力することで、公平かつランダムな試合日程がはじき出されるのだ。そして、入力する条件には、たとえばこんなものがある。

1:ホームゲーム、またはアウェーゲームが連続になっていいのは2試合まで
2:直近5試合は全クラブが「ホーム3試合+アウェー2試合」もしくは「ホーム2試合+アウェー3試合」にならなければいけない
3:ボクシングデイ(12月26日)にホームで戦ったチームは、元日(1月1日)の試合は必ずアウェー。その逆も然り
4:開幕2試合、シーズン最後の2試合は必ずホーム&アウェーでなければいけない
5:FAカップの前後は必ずホーム&アウェーでなければいけない
6:原則としてホームタウンが同じ、またはスタジアムが近いクラブは、同じ日にホームで試合を開催できない

「3」は“お祭り期間”ともいえる特別な両日のうち、いずれかを必ずホームで戦えるようにするためのルール。ボクシングデイと元日の間にも1試合行われる年末年始は日程が非常にタイトで、しかも交通機関も制限されるため、各クラブのファンがなるべく長距離移動を強いられないような工夫も凝らされている。また、「5」についてはFAカップがホーム&アウェーどちらになるかわからないため、「ホーム3連戦」や「アウェー3連戦」を避けるための配慮だ。「6」に当てはまるのは、エヴァートンとリヴァプール、マンチェスター・ユナイテッドとシティーなど同じ街のクラブ。チームが密集するロンドンだけは例外だが、それでも同じ北部のアーセナルとトッテナムでホーム開催をずらしたり、同じ鉄道路線で複数クラブのファンがバッティングしないようにしたりと、細心の注意が払われている。

 プレミアリーグとフットボールリーグ(2部~4部)は、FAやアトス社と連携し、新シーズン開幕のおよそ1年前からプロセスを開始している。まずはFIFA管轄の代表戦やUEFA主催の欧州カップ戦のスケジュールが出そろったところで、リーグのマッチデーを確定する。そして年が明け、3月頃には1部~4部のプロ全92クラブにアンケート調査を行う。主な内容は、「ホームゲームを開催できない日付があるかどうか」。つまり、スタジアムを音楽ライブイベントなどで使用するケースや、ホームタウンでマラソン大会など大型イベントを行うケースなどの確認だ。他にも、たとえばリヴァプールは『ヒルズボロの悲劇』があった4月15日はアンフィールドで追悼セレモニーを行うのが恒例で、その日は試合を開催できない。さらに今年でいえば、秋にラグビーのワールドカップがイングランドで開催されるため、その会場に選ばれているエティハド・スタジアムやヴィラ・パーク、セント・ジェイムズ・パークなどはプレミアリーグが“開催NG”の日が出てくる。各クラブは自治体や地元警察ともコンセンサスを取りつつ、要望書をリーグに提出するのだ。

 そして5月。次シーズンの昇格・降格がすべて決定した時点で、アトス社のプレミア版“日程くん”が対戦リストの草案を作る。それをプレミアリーグとフットボールリーグ、FA、アトス社で2日間かけてチェックし、リーグの規約に沿っているか、各クラブの要望に応えられているかを見直すのだ。この時点ではまだ調整が可能だが、条件が極めて複雑であるため、1チームの位置を変えるだけで、1部~4部のプロリーグ全体で40カ所近い入れ替えが発生することもあるのだという。

 こうして完成したのが、先日リリースされた新シーズンの対戦日程だ。もちろん、それを見て全クラブのファンが幸せだったかといえば、そうではないだろう。しかし、膨大な数の条件を満たした上でスーパーコンピューターがはじき出した理詰めのリストは、しっかりとバランスや中立性を重視して作られた代物なのだ。

 プレミアリーグの“日程くん”は、果たして新シーズンにどんなドラマを演出してくれるのだろうか。楽しみに夏を待ちたい。

(記事/Footmedia)

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