2014.03.22

マンU不振はプレミアに好都合? 他クラブサポは“明るい話題”で持ち切り

マンチェスター・U
リヴァプール戦で3失点を喫し、うな垂れるルーニー、V・ペルシー、キャリック(右から) [写真]=Man Utd via Getty Images
ロンドン在住のサッカーライター。

文=藤井重隆

 今シーズンからマンチェスター・Uの指揮を執るデイヴィッド・モイーズ監督は、早くも数々の最低記録を塗り替えている。ホームで敗北を喫したチームの中にはニューカッスル(1972年以来)、ウェスト・ブロムウィッチ(1978年以来)、スウォンジー(1931年以来)らが名を連ねた。約26年間ユナイテッドを指揮した前アレックス・ファーガソン監督でさえ、シーズン中のホーム6試合で4敗を喫したことはなかっただけに、モイーズ監督が9カ月でその不名誉な記録を作ったことは非常事態である。

 その元凶であるモイーズ監督に非難が集中するのは当たり前のことだが、責任問題は果たして監督だけにあるのかどうかが論点となっている。ユナイテッドファンでなければ、昨シーズンまでプレミアリーグを牛耳ってきた常勝チームの陥落は願ってもないありがたい事だ。来シーズンのチャンピオンズリーグ出場権獲得圏内である4位はおろか、ヨーロッパリーグにさえも出場できない可能性が出てきている。

 今シーズン第24節まで首位を快走していたアーセナルが、アウェーで行われた2つの大一番、第16節マンチェスター・C戦で3-6、第25節リヴァプール戦で1-5と、大敗を喫した後に調子を落としており、特に後者のダメージは大きかったようで3位まで転落している。このアーセナルの例からも分かる通り、プレミアリーグの結果は年々、予想しがたいものになっている。裏を返せば、ユナイテッドの不振が同リーグに新時代をもたらしたと言えるだろう。

 ユナイテッドの歴史には、1958年に23人の死者を出した「ミュンヘンの悲劇」から立ち直り、数々の「再建」に成功してきた過去がある。だが、16日にホームで行われた宿敵リヴァプール戦で0-3での歴史的大敗を喫し、今シーズンのリーグ9敗目(ホーム5敗目)という不名誉な結果を築いている現状、再建には5年から10年を有するとも言われている。

『BBC』のプレミアリーグ・ハイライト番組「マッチ・オブ・ザ・デイ」の解説者で元イングランド代表DFのダニー・ミルズ氏は、「ユナイテッドが再びリーグ優勝を手にするには少なくとも10年はかかるかもしれない。再建には少なくとも3、4年かかるし、その間にシティ、チェルシー、リヴァプールは間違いなくチームを強化するだろうし、トッテナムとアーセナルも強くなる可能性はある」と評した。

 さらに同氏はモイーズ監督についても言及し、「彼はリーグ優勝の経験もなければ、トロフィーを獲得したこともない。仮に彼が強いチームを引き継いでいたなら、4位入賞も可能だったろうが、優勝争いからは大幅に脱落している。ユナイテッドを引き継いで大きな成功を築かなければならなかったと言う意味で、モイーズは困難に立ちはだかっている」と分析した。

 一方、元アイルランド代表DFで、エヴァートン時代にモイーズ監督の下でプレーしたケビン・キルバーン氏も、「リヴァプール戦が意味したのは、ユナイテッドが4強、5強と離された差だった。モイーズが仕事に慣れるには時間がかかるし、彼は困難を抱えている。このチーム移行期は数年を要する」と批評している。

 今まで同リーグで他チームに最も嫌われる存在だったユナイテッドの低迷を目の当たりにし、イングランド中のアンチ・ユナイテッドのファンの間では王者不振の明るい話題で持ち切りとなっている。今シーズンのプレミアリーグは4強による激しいデッドヒートが繰り広げられており、1位から4位までの勝ち点差は6。4チームすべてに優勝の可能性が残されており、残り2ヵ月では直接対決もあるため、結果は何通りにも転びうる。ユナイテッドの不振が、少なからずイングランド・サッカー界に新たなスパイスを加えている事は間違いないだろう。

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