2015.05.28

10年で4度のEL制覇…「ハードワーク」なセビージャ強化部の仕事ぶり

セビージャ
ヨーロッパリーグ連覇を果たしたセビージャ [写真]=Getty Images
フリーライター&フォトグラファー。スペインで活動中。

文=座間健司

 セビージャがヨーロッパリーグ連覇を達成した。27日にポーランドのワルシャワで行われた決勝でウクライナのドニプロ・ドニプロペトロウシクと対戦し、コロンビア代表FWカルロス・バッカの2得点など3-2で勝利した。

 セビージャは大会前身のUEFAカップから合わせると4度目のヨーロッパリーグ制覇となり、同大会の最多優勝クラブとなった。セビージャは2006、2007、2014年に同大会を制覇していた。リーガ・エスパニョーラでは5位で終わり、チャンピオンズリーグ出場権を惜しくも手にできなかった。しかし、それから4日後、ヨーロッパリーグ優勝チームとして来シーズン、チャンピオンズリーグの出場権を得た。

 アンダルシア州の名門クラブは2007年、2010年にコパ・デル・レイ、そしてヨーロッパリーグ優勝4回など近年大きな成功を手にしている。セビージャの成功を語る上で欠かせないのが、今やスペインで最も有名なスポーツディレクターとなったモンチだ。トップチームのゴールキーパーとして1990年にセビージャに入団し、2000年に現役を引退した。引退同時にスポーツディレクターとなり、そして近年のセビージャの躍進が始まっている。

 モンチは将来性のある選手を見つけて、クラブで進化させ、高い値で大きなクラブに売却してきた。驚異的なのは15年という歳月でコンスタントに選手を売却し、そのサイクルを維持し、かつチームの競争力を保っていることだ。

 2003年にダニエウ・アウヴェスをブラジルのバイーアから150万ユーロで買い、2008年に買値の26倍の約4000万ユーロでバルセロナに売却。同年にはアーセナルからジュリオ・バチスタを250万ユーロで買い、2年後にレアル・マドリードに10倍の2500万ユーロで売りに出した。昨シーズンも下部組織出身のアルベルト・モレーノをリヴァプールに1800万ユーロ(約24億円)で、キャプテンだったイヴァン・ラキティッチを1800万ユーロ(約24億円)でバルセロナで売り、クラブに2375万ユーロ(約32億円)の利益をもたらしている。移籍市場で儲けを出した上にヨーロッパリーグを制覇し、チャンピオンズリーグ出場権を手に入れたのだから、その仕事には文句のつけようがない。またチャンピオンズリーグは本戦に出場するだけで、分配金として約1200万ユーロ(約16億円)の収益がクラブに入る。

 モンチは過去のインタビューで成功の秘訣を「ハードワーク」と話した。具体的には「移籍の時期に1日に35回以上、電話で話すこともある」であり、8年前にロシア人選手のアレクサンドル・ケルジャコフと交渉した時は「週に6000ユーロ(約80万円)以上かかった」と評している。

 24日付のスペイン紙『エル・パイス』のインタビューでは、選手獲得のプロセスをこう語っていた。

「私たち(強化部)は16人いて、全員が毎日最低でも5人の代理人と連絡をとっている。強化部の人間は各自が継続的に決まったリーグ戦をチェックしている。その情報をベースに毎月、イタリア、フランス、オーストリア、ポーランド、ドイツといった各リーグ戦のベストイレブンを選出していく。そして、そこで選出された11名のうち、何人かに絞り込み、さらに個別に追跡調査していく。強化部の最低でも7人がその選手を追跡するというノルマがある」

「その後に各ポジションの獲得候補選手をそれぞれ8~10名に絞り込む。そしてAからEまでのカテゴリーに選手を分けていく。Aは即契約する選手。Bはとても興味がある選手。Cは追跡を続ける選手。Dは契約をしない選手。そしてEは僕の言葉にすれば、学業に専念しなければいけない選手だ。普通はここまで区別されてから、部下から私に選手の情報が提供される。最も多く情報が上がってくるのは(今シーズン入団し、活躍したポーランド人MF)グジェゴシ・クリホヴィアクのようなAにカテゴライズされた選手だ」

 モンチは同インタビューで「レアル・マドリード、チェルシー、そしてバルセロナのようにもっとお金があるクラブのディレクターになれば、仕事は楽ではないか」と問われるとこう返答した。

「もっとお金があればそうだろう。しかし、そういう契約をした選手は早急な結果が求められる。例えば、レアル・マドリードはバイーアに所属していたダニエウ・アウヴェスと契約はしないだろうし、セビージャで起きたように彼の才能が爆発するのを待てない。お金のあるクラブでの仕事もそんなに簡単ではない」

 レアル・マドリード、バルセロナのスポーツディレクター候補として、モンチの名前は度々メディアに挙がる。お金があるクラブでの仕事ぶりもぜひ見てみたいが、「セビージャが僕を求める間は続ける」と語る彼にそんなモチベーションはないのだろう。 

 来るべき夏、チャンピオンズリーグを控えたチームに敏腕ディレクターはどんな補強を施すのだろうか。

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