ビッグイヤーはどちらの手に? [写真]=ムツ カワモリ
文=河治良幸
ヨーロッパの2016-17シーズンを締めくくるUEFAチャンピオンズリーグ決勝が6月3日にウェールズのカーディフで行われる。
前回王者で今シーズンのリーガ エスパニョーラを制したレアルマドリードとセリエA、コッパイタリアに悲願のCLを加えて“三冠”を狙うユベントス。まさしくヨーロッパ最強を決めるに相応しいカードとなった。
準決勝では合計スコア4-2でアトレティコマドリードに勝利し、同都市に本拠地を置くライバルへ再び引導を渡す形でファイナルに進出したレアルマドリード。リーガではバルセロナとのデッドヒートに競り勝った。ジダン監督が率いるスター軍団はエースのクリスティアーノ ロナウドを擁する高い攻撃力をベースにしながらも、カウンターとポゼッション、プレスとリトリートを柔軟に使い分ける大人の戦いぶりを見せてきた。
一方のユベントスはセリエAで終盤やや苦しみながらもローマ、ナポリの追撃を振り切り未踏の6連覇を達成。コッパイタリアも3連覇を果たした。その2つの国内タイトルに増して圧巻だったのがCLで見せた堅守であり、守護神ブッフォンを後ろ盾として、ここまで12試合で3失点。決勝トーナメントに入ってからの10得点1失点という数字は特筆に値する。特に準々決勝でバルセロナを相手にホームのファーストレグで3-0の勝利、セカンドレグで0-0に終えた2戦は圧巻だった。
まさしく今季の欧州王者を決めるに相応しいカードだ。高い個人能力と組織のしたたかさを兼ね備える両者の激突はいかなる結末を迎えるにしても、スタートから高度な駆け引きが繰り広げられるはず。豪華な攻撃陣に注目が集まるが、鍵を握るのは中盤の攻防だ。ユベントスは[3-4-2-1]と[4-2-3-1]を使い分けるが、固定的に[4-3-3]を採用するレアルマドリードに対しては4バックで迎え撃つ可能性が高い。その場合、中盤は逆三角形と正三角形で噛み合う形になる。好守の切り替わりや左右の展開から生じる中盤のスペースをどちらが有効に活用して、前線のアタッカー陣に良い位置でボールを受けさせるか。
By 河治良幸