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事件翌日に試合…ドルトGKがUEFAの決定を痛烈批判「彼らは人間じゃなくお金が大切」

2017.04.18

爆発で負傷したバルトラのユニフォームを着たビュルキ [写真]=Bongarts/Getty Images

 ドルトムントは12日、ホームでモナコとのチャンピオンズリーグ準々決勝ファーストレグを戦った。この日程について、ドルトムントのスイス代表GKロマン・ビュルキがUEFA(欧州サッカー連盟)に対する批判を展開している。

 本来、同試合は11日に開催される予定だった。しかしスタジアムへと向かっていた同チームのチームバスが、3つの爆発物により襲撃されバスが損傷。スペイン代表DFマルク・バルトラが負傷し手術を受けたが、まだ心の傷は決して癒えていないことをビュルキが明かし、さらにUEFAの決定を強く批判した。

 スイス紙『ゾンターク・ツァイトゥング』の取材に対し、同選手は「僕はまだ、睡眠に問題を抱えているんだよ」とコメント。

「無意識のなかで身をすくませ、急に飛び上がったりすることもあるし、最悪なのは夜に寝続けることができない日々が続いていることだ。目が覚めると、家のベッドに横たわっていることに安堵し、そして家族のそばにいることで少しほっとするんだよ」と言葉を続けている。

 さらにビュルキは、爆発事件発生時についても振り返った。

「普段通り、チームがホテルを出発する時に僕たちは座席に座っていた。そして大きな爆発があったんだ。爆発で圧迫されて、頭が逆の方向へと押され、そして静かになったかと思った時に叫び声が聞こえたんだよ。それはマルク(バルトラ)からだった」。

「みんな床に伏せて、僕はフィジオセラピスト(理学療法士)を呼んだ。マルクを見てもらえるようにね。ただ彼もまた、床に伏せて身を守っていたよ」。

 ドルトムントは、衝撃的な事件から24時間も経たないうちにモナコ戦のキックオフを迎えたが、この件については「これは良くないことだと思う」と断言。「僕自身は全く集中できなかったし、ピッチでは常に気づくのに少し遅れてしまっていた。なにかモヤがかかったような感じに見えたんだ。試合後には感情があふれてきて、どの選手たちも涙を浮かべていたよ」と述べている。

 ビュルキ自身は、実は開始前にすでに涙が流れていたとのことで「すぐに試合が終わって欲しいと思った。大観衆の前でしっかりとパフォーマンスを発揮しなくてはならなかったんだよ。もしも自分たちで選べるのであれば、プレーしない方を選んだことだろう」と心情を吐露した。

 翌日の試合開催となった背景には、UEFAの決定だけでなく、ドルトムント側の同意もあったとされているが、チームを率いるトーマス・トゥヘル監督もUEFAを痛烈に批判。ビュルキも「彼らはお金が大切で、僕たち人間が大切なんじゃない。UEFAかFIFA(国際サッカー連盟)の人が、死者が出ていたら中止していただろうと発言したというのを聞いて……とても腹立たしさを感じる。死者が出るほど大変なことが起こらないといけないのか? プレーすることがテロへのシグナルという多くの意見も目にしたけど、あんなのはシグナルなんかじゃない。現実から目を背けただけだ」と厳しく非難した。

 ドルトムントは同試合に2-3で敗れている。セカンドレグは19日にアウェイで行われる。

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