2016.05.27

【CL決勝プレビュー】勝てば欧州王者、負ければ無冠…栄光に輝くのはどちらの“マドリード”か

アトレティコ・マドリード レアル・マドリード
2年ぶりにCL決勝で対戦するアトレティコ・マドリード(左)とレアル・マドリード(右) [写真]=Getty Images
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 今シーズンのチャンピオンズリーグ(CL)決勝は、レアル・マドリードとアトレティコ・マドリードによる、スペインの首都を本拠地とする2チームの激突が再現されることとなった。

 2シーズン前の決勝では、36分にDFディエゴ・ゴディンのゴールで先制したアトレティコがそのまま逃げ切るかと思われた中、後半アディショナルタイムにDFセルヒオ・ラモスの起死回生の同点弾で試合を振り出しに戻したレアルが、延長後半の3ゴールにより4-1で逆転勝利を収め、クラブの悲願である“ラ・デシマ”(10度目のCL制覇)を達成した。

 一方、昨シーズンの公式戦4大会で実現した“マドリード・ダービー”では、アトレティコが4勝3分1敗とレアルを上回った。とはいえ、スーペルコパ・デ・エスパーニャ(スペイン・スーパーカップ)、リーガ・エスパニョーラ、コパ・デル・レイ5回戦と相次ぎアトレティコに辛酸を嘗めさせられたレアルも、CL準々決勝では雪辱を果たしている。

 今シーズンの両チームは、リーガ・エスパニョーラではレアルが終盤に怒涛の12連勝を達成したものの2位、アトレティコは20チームで唯一連敗を喫しなかったものの3位に終わり、バルセロナの連覇を許す結果となった。また、コパ・デル・レイでも、レアルが規約違反により初戦敗退を喫し、アトレティコも準々決勝で姿を消した。それゆえ今回のCL決勝は、勝者がヨーロッパ王者の称号を得る一方、敗者はシーズン無冠に終わるという、文字通り明暗が分かれる一戦となる。

 両チームのベストメンバーは2シーズン前から変化しており、レアルはGKイケル・カシージャス(現ポルト)、MFサミ・ケディラ(現ユヴェントス)、MFアンヘル・ディ・マリア(現パリ・サンジェルマン)が退団し、GKケイロル・ナバス、MFトニ・クロースらが入団した。対するアトレティコは、GKティボー・クルトワ(現チェルシー)、DFミランダ(現インテル)、MFラウール・ガルシア(現アスレティック・ビルバオ)、FWダビド・ビジャ(現ニューヨーク・シティ)、FWジエゴ・コスタ(現チェルシー)に代わり、GKヤン・オブラク、DFホセ・マリア・ヒメネス、MFサウール・ニゲス、FWアントワーヌ・グリエスマン、FWフェルナンド・トーレスが入ったうえ、故障でシーズンの大部分を棒に振ったMFティアゴ・メンデスの穴を冬の移籍市場で加入したMFアウグスト・フェルナンデスが埋める形となっている。

 とはいえ、前線にはFWクリスティアーノ・ロナウド、FWカリム・ベンゼマ、MFギャレス・ベイルの“BBCトリオ”が引き続き君臨し、ディフェンスラインもDFダニエル・カルバハル、DFセルヒオ・ラモス、DFペペ、DFマルセロの4名で変わらないレアルの方が、2シーズン前に陣容は近い。

 一方、両チームの指揮官に目を向けて見ると、アトレティコは、就任5シーズン目を迎えたディエゴ・シメオネ監督がベンチに腰を据えている。対するレアルは、2年前はカルロ・アンチェロッティ氏が座っていたベンチには、当時アシスタントコーチを務めていたジネディーヌ・ジダン監督が構えている。

 今年1月、わずか半年で解任されたラファエル・ベニテス監督の後任として、Bチームからトップチームの指揮官に昇格したジダン監督は、選手との対話を重視する姿勢や、チームの規律よりも選手の自主性を重んじる采配といった点で、アンチェロッティ監督の路線を踏襲している。その一方で、カゼミーロをアンカーに置くという守備面のバランスに配慮したシステムは、ベニテス監督が好んで採用しながらも、攻撃的な布陣を要求する周囲からのプレッシャーにより徹底できなかったものだ。それゆえ、ジダン監督が指揮するレアルは、前任者2人のハイブリット型のチームとも捉えられるだろう。

 お互いに手の内を知り尽くしている両雄は、ともにベストメンバーで臨む見込みの今回の一戦でも、攻撃のレアルに守備のアトレティコという構図に変わりはない。大部分の時間帯で、レアルが高いボールポゼッションで主導権を握りに掛かり、アトレティコがスペースを消して虎視眈々と隙を伺うという展開になるだろう。

 その一方で、リーガ38試合で18失点と史上最少タイ記録を打ち立てたアトレティコも、CLでここまで12試合で5失点と歴代最少記録での優勝に王手を掛けているレアルも、流れの中では互いに得点を許さないケースも十分に考えられる。

 その場合、前回の決勝で先制弾と同点弾が生まれたセットプレーが重要となるが、今回はC・ロナウドとベイルを擁するレアルの方が、前線の高さの差の分だけ若干有利となる。
逆に、両チームの最大の武器であるカウンターに関しては、グリエスマンとトーレスが加わったアトレティコの方が、前回の決勝との比較では鋭さを増している。

 また、試合が膠着状態となった際には、レアルはMFハメス・ロドリゲスやMFイスコ、MFルーカス・バスケスといったベンチに控える選手の働きも重要となる。対するアトレティコは、スタメンでもスーパーサブとしても違いを生み出せるMFヤニック・フェレイラ・カラスコの起用法が鍵を握りそうだ。

 いずれにしても、近年幾度となく激しい戦いを繰り広げている地元のライバル同士とあり、今回の頂上決戦でも白熱の攻防が見られることは間違いない。2シーズン前の決勝でレアルをあと一歩の所まで追い詰めながら涙を呑んだシメオネ監督と、就任後初黒星を本拠地サンティアゴ・ベルナベウでアトレティコに付けられているジダン監督のどちらがリベンジを果たすのか、今シーズンのヨーロッパのクラブシーンを締めくくる“マドリード・ダービー”からは一瞬たりとも目が離せない。

文=北村敦

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