2015.05.06

敵としての帰還…グアルディオラのバイエルンを見て、カンプ・ノウは何を思う

グアルディオラ
バイエルンを率いるグアルディオラ監督 [写真]=Getty Images for FC Bayern
フリーライター&フォトグラファー。スペインで活動中。

文=座間健司

 チャンピオンズリーグ準決勝で古巣との対戦が決まった時、ジョゼップ・グアルディオラは記者会見で、笑顔でこう語った。

「バルセロナの対戦は可能性がある3つのうちのひとつだった。私にとってとても特別な試合になる。チアゴ(アルカンタラ)やスタッフにとってもだ。バルセロナは私のホーム。他に言うことはない。古巣であり、一緒に仕事をした選手たちについて悪いことは言えない。彼らとは多くを勝ち取った」

 カタルーニャの人たちが、慄きながらも待ち望んでいたカードだ。バルセロナの選手たちだけでなく、グアルディオラと同じようにクレ、バルセロニスタだけでなく、カタルーニャの人たちにとっても“特別な試合”となるだろう。

 そんな“特別な試合”で勝負を分けるポイントについて、バイエルンの指揮官はこう話している。

「(バルセロナは)偉大なチームであり、私たちと同じだ。毎試合行っているように、私たちは分析し、テストするだろう。メッシのプレーをこれまではとても楽しんでいたけど、今は彼のプレーに苦しむことになる。メッシをコントロールするための最高のディフェンスシステムを構築したい」

 グアルディオラはメッシなどよく知る選手たちがいるバルセロナに対して、どんな戦略を立て、いかにプレーするのか。

 クレは今のバルセロナのパフォーマンスに満足し、興奮している。まだシーズン6試合の公式戦を残しているにもかかわらず、すでに合計で100得点以上を決めているトリデンテのスペクタクルなプレーに歓喜している。

 今のバルセロナのパフォーマンスはかつてグアルディオラが率いていたチームとは全く異質だ。前線のアタックは南米が誇る3人の偉才のタレント任せ。チームの重心はトリデンテにある。彼らが(もしくは彼らのうち誰かひとりでも)機能すれば、チームは勝利する。個人能力に依存したサッカーで、そのコンセプトを真似しようとしても、メッシやネイマールでなければできないプレーなので、模倣は難しい。中盤でシャビ、アンドレス・イニエスタ、そして中央に下がってくるメッシがゲームを作っていたグアルディオラが率いるチームとは違う。グアルディオラが率いるチームのコンセプトはフットボールの世界に垂れた滴のように、世界全てを動かした。

 バルセロナはヘタフェやエスパニョールなど格下が相手だと、かつてのようなパスを回して崩すところを見ることができる。しかし、レアル・マドリード、バレンシア、パリ・サンジェルマンなど強豪に対しては速攻、カウンターで決定機を作っている。どんな相手に対しても、バイタルエリアでディフェンスを釘付けにするパスを回していたグアルディオラのバルセロナではない。

 バルセロニスタは執ようにパスを回して、決定機をつくっていたペップのスタイルをこよなく愛していたし、誇りを持っていた。結果を残すが、今のチームには、その面影が少し見えるくらいだ。今はバルセロナがカウンターを仕掛けた時に、スリートップの誰かがボールを持ち、その前に広大なスペースがあるとカンプ・ノウのスタンドは興奮する。その次の瞬間にスペクタルなシーンが訪れることが分かっているからだ。サッカーのコンセプト、クオリティは明らかに違う。勝利さえすれば、スタイル、ポリシー、哲学はどうでもよかったのか。

 もしグアルディオラのバイエルンがカンプ・ノウでバルサのお株を奪うようなパス回しをし、バルセロナがトリデンテを中心にした、かつてジョゼ・モウリーニョが率いたレアル・マドリードのような鋭いカウンターで対抗したとすれば、バルセロニスタは何を思うのだろうか。「シャビとイニエスタという2人の天才がいなければ、できなかったサッカーだ」、「もう時代が違う。サッカーは日々、進化しているんだ」といつものようなコメントを聞くのだろうか。

 バルセロナでひとつはっきりしているのは、トップチームのスタイルは重要ではなく、勝てば称えられ、負ければ叩かれるということだ。

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