[写真]=Getty Images
「イ・ガンイン出場0分」の是非
FIFAワールドカップ・カタール2022本大会前の重要なテストマッチとなる、9月の国際親善試合2連戦が終了した。韓国代表は2試合いずれも国内で実施し、コスタリカ代表に2ー2、カメルーン代表に1ー0と1勝1分けの結果を収めた。
パウロ・ベント監督は2連戦を総括し、「よく戦った。それぞれの試合で異なる戦術を試し、選手たちも変化に適応できることを見せてくれた。今後はチームとして何を発展させられるかを分析し、その部分を向上させていく」と満足感を示していた。
ただ、現地メディアの報道を見ると、自国代表の戦いぶりや指揮官の采配をめぐって厳しい声が挙がっている。
まず、今も多くのメディアが報じるのはイ・ガンインを2試合で一度も起用しなかったベント監督の采配についてだろう。「“ベンチ”イ・ガンイン、ベントの固執」(一般紙『中央日報』)、「1分もプレーできなかったイ・ガンイン……“決断か固執か”」(テレビ局『MBC』)、「ベントはなぜ最後までイ・ガンインに背を向けたのか」(一般紙『韓国日報』)などがその例だ。
ラ・リーガで6試合1ゴール3アシストの活躍を披露し、約1年半ぶりに代表復帰した“韓国の至宝”には多くの国内ファンが出場を期待していた。それだけに、カメルーン戦で韓国代表が交代枠を使い切り、イ・ガンインの不出場が確定した直後には観客席から「イ・ガンイン!」と連呼する声が起きたほどだった。
ソン・フンミンは「代表はガンインのためのチームではない。(起用は)僕でもファンでもなく、監督だけが決められる問題だ。ガンインだけに(注目が)集中しすぎていると思う」と指揮官の選択に理解を示したが、スポーツ紙『スポーツソウル』は「ソン・フンミンの言葉は議論の本質ではない。本当の核心は、W杯で通じ得るカードをベント監督がまともなチェックもせずに放棄したことだ」と疑問を投げかけていた。
また、サッカー専門メディア『BestEleven』は指揮官の采配について深く掘り下げ、「W杯で起用するベストメンバーと交代カードが、韓国代表は予測可能な水準にある。韓国はW杯における多数の“かませ犬”の一つに過ぎない。相対的な観点で、予測しやすいラインナップを持つチームは強豪にとって都合のいい餌食にならざるを得ない」と、選手起用が固定化された傾向にあるベント監督に警鐘を鳴らした。
国内での試合開催に対する疑問の声
そもそも、国内での親善試合開催を決めた韓国サッカー協会(KFA)に対する厳しい指摘もある。ネットメディア『スポーツ韓国』は同じアジア勢との比較を持ち出し、「日本、イラン、サウジアラビアは欧州で試合を行った。だが韓国は唯一、ホームのファンの応援を受けられる自国で試合を実施した。W杯に向けた“模擬試験”の意味でも、環境自体が正しくなかった」と伝えていた。
なお、KFA関係者によると、韓国代表の次回招集は10月31日を予定している。そこでは海外組を除く国内組中心のメンバーが集まるほか、11月11日には国内で壮行セレモニーを兼ねた最後の強化試合も計画している。対戦相手については、欧州国とのマッチメイクを目標に交渉を進めているという。
最終メンバー26人の発表は12日または13日となる見込み。チームは14日に韓国を出国してカタール現地で海外組と合流し、グループステージ初戦までは試合を行わずトレーニングだけを進める予定だ。
本大会ではウルグアイ代表、ガーナ代表、ポルトガル代表と同じグループHを戦う。W杯開幕まで残り2カ月を切ったなか、ベント監督がどのような準備を進めていくかに注視していきたい。
文=姜 亨起(ピッチコミュニケーションズ)