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【ACLグループI展望|川崎F】若手の台頭と“勝ち続ける過程”で身についた試合巧者ぶりが強み

2022.04.15

[写真]=Getty Images

因縁の相手との初戦が早くも山場に

■試合日程(日本時間)
4月15日(金) 18:00 対 蔚山現代
4月18日(月) 18:00 対 広州FC
4月21日(木) 23:00 対 ジョホール・ダルル・タクジム
4月24日(日) 23:00 対 ジョホール・ダルル・タクジム
4月27日(水) 18:00 対 蔚山現代
4月30日(土) 18:00 対 広州FC

 今シーズンの開幕前、鬼木達監督は選手たちに「ACLで優勝する力はまだない」と伝えて奮起を促したという。チームの現状を冷静に把握している指揮官ならではの言葉である。その背景には、三笘薫、田中碧、旗手怜央といった現在の日本代表でプレーしている主力の海外移籍の影響も当然あるだろう。ここ2シーズンと比較すると、攻守に圧倒するサッカーを展開できていないのは認めざるを得ないところではある。

 ただし「まだない」という言葉には、ここから成長し続けていくというメッセージが含まれている。シーズンが進むにつれて、チームは着々と選手層を底上げ。目立ったところでは、新加入のチャナティップがレギュラーを担い、豊富な運動量を見せる橘田健人やアタッカーの遠野大弥ら若手が成長を遂げて頼もしいパフォーマンスを披露している。新人の左サイドバック・佐々木旭も最終ラインで経験値を積んでいる最中だ。集中開催のACLでは総力戦となるだけに、他の若手の台頭も注目だろう。

 チームの土台を担っているメンバーも健在だ。元ブラジル代表のFWレアンドロ・ダミアン、家長昭博やチョン・ソンリョンの代表経験のあるベテラン、そして現役日本代表の谷口彰悟と山根視来がいることで、苦しくとも連敗しない戦いができている。

 ここ2年、勝ち続けてきたことで勝負強さと勝者のメンタリティが備わってきていることも特徴だ。圧倒せずとも、粘り強い守備と隙を見逃さずに仕留める試合巧者ぶりは強みだ。ACL前に行われたリーグ戦では1ー0で柏レイソルに勝利。暫定首位をキープして、日本を旅立った。

 グループ最大のライバルは、何と言っても韓国の蔚山現代だろう。一昨年の大会覇者であり、川崎にとっては昨年のラウンド16で対戦し、PK戦の末に敗れた因縁の相手である。まさかの大会初戦で対峙することになった。現在Kリーグで首位に立つ難敵であり、川崎のスタイルをよく知る元横浜F・マリノスの天野純が加入しており、セットプレーのキックも含めてその存在は要注意だ。

 川崎としてはベストメンバーで臨むはずである。

 チームとしては、ジョアン・シミッチと橘田のダブルボランチを採用し、ロングボール対策と中盤の球際を強化するなど4ー3ー3のスタイルに微調整を加えた。積極的な姿勢を打ち出しながらも、堅実な戦いと勝負強さを見せたいところ。直近の柏戦では、マルシーニョの突破からL・ダミアンが決勝弾を記録しており、復調し始めたエースの開幕弾に期待したい。

 鬼木監督になってから5度目のACL出場となるが、実は鬼木体制でのグループステージで蔚山と同組になるのはこれで3度目。2018年と2019年の4戦はいずれも未勝利だった。蔚山はかなりの難敵だが、来年2月の決勝の舞台に進むためにも、日本の王者の強さを見せたいところだ。

【KEY PLAYER】MF 8 橘田健人

[写真]=Getty Images


 プロ2年目ながら、鬼木監督が「このチームを引っ張っていくような存在にならないといけない」と期待を寄せるチームの心臓。予測を効かせた抜群のパスカットと、無尽蔵のスタミナを生かした広大なカバーリング力で、ピンチの芽を摘み続ける。攻撃の構成と得点力には課題を残すが、昨年の大会ではハットトリックを達成。中盤の浮沈を左右するリンクマンであり、何より勝敗のカギを握る存在だ。

文=いしかわごう

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