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ベトナムサッカー躍進のきっかけ 〜成長を支えるヤンマーの取り組み〜

東南アジアで唯一W杯最終予選に進出したベトナム代表

 FIFAワールドカップ カタール2022 アジア最終予選が3月29日にいよいよ最終戦を迎える。東南アジアで唯一最終予選に進出したベトナム代表は、ここまで1勝8敗でB組最下位に沈んでおり、厳しい現実を突きつけられている。日本やオーストラリア、サウジアラビアといった強豪相手に1点差のゲームを演じはしたものの、試合内容を見れば、W杯出場を狙うには力不足であることは否めない。

 それでも、旧正月元日の中国戦で3ー1の勝利を収め、ベトナム代表は「最終予選で白星を挙げた史上初の東南アジア代表チーム」となった。昨年末に開催されたAFFスズキカップ2020(東南アジアサッカー選手権 ※新型コロナウイルスの影響で開催が1年延期)で宿敵タイ代表に敗れ、ASEAN王者の座から引きずり降ろされた直後だっただけに、中国戦で得た勝ち点3はチームが自信を取り戻すうえで重要な意味を持った。

ベトナムサッカー急成長の背景にある日系企業の存在


 最終予選では苦戦が続いたものの、最終予選に進出したこと自体がベトナムにとっては快挙と言える。近年のベトナムサッカーの躍進は、10年以上前から国家を挙げてサッカーの底上げをしてきた成果が見え始めていることが最大の理由だが、代表チームの成長を縁の下で支えている日系企業の存在も見逃せない。ベトナム代表チームには、これまでに多くの日系企業が様々な形で協賛してきたが、とりわけユニークな取り組みを行っているのがヤンマーだ。

 早くからアジア最大の穀倉地帯であるメコンデルタを有するベトナムの可能性に着目したヤンマーは、農業・水産業の分野で製品やサービス・ソリューションを通じて、人々の暮らしを支え、ベトナムの成長に寄与している。2015年には、国内で大きな訴求力を持つサッカーベトナム代表のオフィシャルパートナーに就任した。以降、ブランド露出のみならず、サッカーのレベル強化にも寄与すべく、芝改善プロジェクトに着手。練習環境の改善は、当時ベトナム代表を率いていた三浦俊也監督(現FC岐阜監督)からの強い要望でもあった。それまでのベトナム代表の練習場は、長年の酷使から芝生が荒れ放題となっており、選手のケガにつながる恐れもあった。

 そこでヤンマーは、同社がサポートするセレッソ大阪の協力を得て、グラウンドキーパー歴50年以上の日本人専門家をアドバイザーとして派遣し、ベトナム人グラウンドキーパーを育成。芝生の整備にはヤンマー製のトラクターを使用し、練習環境の改善を支援した。この取り組みをベトナム全土に広めるべく、同年にはハノイ市で国際親善試合「ヤンマーカップ」を開催。当時のUー23ベトナム代表とセレッソ大阪Uー23が対戦したこの試合では、FWグエン・コン・フオン(元水戸ホーリーホック)ら、のちのA代表の主力になる選手も多数出場していた。


 こうした取り組みにより、2016年からベトナム代表の公式練習場は「YANMAR FIELD」と命名された。ベトナム代表とUー23代表、女子代表の練習拠点として使用されている「YANMAR FIELD」は、その後のチームのレベルアップに大きく貢献している。

 ベトナム代表は2018年のAFFスズキカップで優勝、2019年のAFCアジアカップでベスト16、そして今回のW杯最終予選初進出。Uー23代表は、2018年のAFC Uー23選手権で準優勝、2019年の東南アジア競技大会(SEA Games)で金メダルを獲得している。こうした成果に対し、競技レベル向上に一役買ったヤンマーの芝生改善プロジェクトが果たした役割は非常に大きい。最近ではクラブレベルでも練習環境への意識が向上しており、ベトナム全国で美しい芝生を持つグラウンドが整備され、そこから新たな才能が続々と育っている。ヤンマーはベトナムの人々の生活を支えるだけでなく、「YANMAR FILED」を通じてベトナムサッカーの成長に貢献し、人々の「喜び」や「感動」を提供し続けている。

“ベトナムの王様”グエン・クアン・ハイに各国のクラブが注目


 現ベトナム代表で最も替えが効かない特別な選手、それが中盤に君臨するMFグエン・クアン・ハイだ。ここ1カ月の間、連日現地スポーツ紙を賑わせている話題といえば、グエン・クアン・ハイの去就問題をおいてほかにない。現状、日本での知名度はそれほど高くないが、東南アジアではタイ代表MFチャナティップ(川崎フロンターレ)と双璧をなすスターと認識されている。

 小柄なレフティという共通点はあるものの、両者のプレースタイルは大きく異なる。チャナティップが小気味いいドリブルを武器に前線でチャンスに絡むアタッカーであるのに対し、グエン・クアン・ハイは高精度の左脚から繰り出すスルーパスとミドルシュートを武器とする司令塔。しかし、何といっても最大の魅力は、すでにアジア屈指の域に達しているFKだ。

 所属するハノイFCとの契約が4月で満了を迎えることから、その去就が注目されていた。残留交渉を続けてきたハノイFCが先日、正式に契約更新断念を発表したことで、国内外でグエン・クアン・ハイ争奪戦が一気に過熱。以前から海外志向が強く、過去にはJリーグ移籍の噂が幾度となく報じられた。グエン・クアン・ハイ自身はフリー選手として海外挑戦を表明しており、アジア進出を目指すJリーグクラブからも注視されているが、本人の強い希望もあり、今後はヨーロッパを中心に移籍先を探す可能性が高いと見られている。

 現在のJ1には、ベトナム人で初めてJ1に所属した選手としてGKダン・バン・ラム(セレッソ大阪)が唯一存在しているが、もしグエン・クアン・ハイがJリーグのクラブに移籍することがあれば、ダン・バン・ラムとともに一大ムーブメントを巻き起こす可能性がある。それだけのポテンシャルを秘めた選手であることは間違いない。

最終予選ラストマッチ、日本戦の展望

 ここまでの試合結果で、ベトナムはすでにW杯出場の可能性が絶たれている。アジア最終予選ラストマッチは、アウェイで強豪日本との対戦となるが、試合当日は多くの在日ベトナム人が応援に駆けつけるはずだ。ベトナムサッカー連盟が描く長期的な目標は、2024年のパリ五輪出場と2026年のW杯初出場である。残された時間は長いようで短い。

 ベトナム代表は平均年齢が若いとされているが、黄金世代と呼ばれる現メンバーの多くが2026年には30代手前を迎えるため、ここからは黄金世代を脅かす若手の台頭が待たれる。今年5月には自国開催のSEA Games、年末には早くもAFFスズキカップ2022が開催される予定となっている。ASEAN王座の奪還だけでなく、さらなる高みを目指すベトナムにとって消化試合は一つもない。

文=宇佐美 淳

ヤンマー×ベトナム代表



2015年にオフィシャルパートナーとなって以降、ヤンマーは様々な形でベトナム代表の強化につながるサポートを実施してきた。ヤンマーが抱くベトナムへの想い、そしてベトナムサッカー成長の礎である「YANMAR FIELD」設立の物語が特設ページにまとめられている。
ヤンマー×ベトナム代表の詳細はこちら

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