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トルコの貴公子や髭のシーマン、そして五輪メダリスト…氷上とピッチ上の“二刀流”を紹介

2022.02.15

ウィンタースポーツとサッカーをプレーした選手たちを特集 [写真]=Getty Images

 スポーツ界では“二刀流”が話題になっているが、ウィンタースポーツとサッカーという“二足の草鞋”を履きかけた選手もいる。

 北京五輪でメダルを獲得した女子スピードスケートの高木美帆選手は、中学時代まで本格的にサッカーに打ち込んでおり、北海道選抜にも選ばれたほどの実力者。しかし、その後はスピードスケート一本に専念し、オリンピックで見事2大会連続のメダルを手にした。

 サッカーと縁がある“オリンピアン”は他にもおり、今大会が初めてではないが、競技前にリフティングしてウォームアップするアイスホッケーの選手たちの姿が「巧すぎる」として密かに話題になっている。もちろん、サッカー界にも「氷上」と「ピッチ上」の二刀流を試みた選手はいる。そんな選手たちを紹介しよう。

■フィギュアスケート

 サッカー界からフィギュアスケートに挑戦した選手といえば、元トルコ代表FWイルハン・マンスズ(46歳)だ。甘いマスクで“貴公子”や“王子”と呼ばれたイルハンは、2002年の日韓ワールドカップに出場すると大会3ゴールで同国初の3位に貢献。ブラジル戦ではヒールリフトでロベルト・カルロスを抜いてスタジアムを沸かせた。

[写真]=Getty Images


 その後、2004年にヴィッセル神戸でもプレーしたイルハンは、2006年に現役を退くと、トルコのテレビ番組でフィギュアスケートに挑戦。そして同番組で1位に輝くと、フィギュアスケートのペアで2014年のソチ五輪出場を目指すことを決意。五輪予選となる大会に出場して本格的なフィギュアデビューを飾るも、オリンピックには手が届かなかった。

 そのためフィギュアスケートといえばイルハンなのだが、イルハンがフィギュアに転向したきっかけとなるトルコの番組は、実はイギリスが本家なのだ。著名人がフィギュアスケートに挑戦する『ダンシング・オン・アイス』というリアリティ番組である。

 当然、2006年の第1シリーズからサッカー選手が挑戦しており、記念すべき一人目はイルハン同様に2002年ワールドカップに出場した元イングランド代表GKデイヴィッド・シーマン(58歳)だった。だが、トレードマークの髭が有名なシーマンがフィギュアに挑戦するのは初めてのことではなかった。アーセナルの英雄は、2004年に英国で放送された『ストリクトリー・アイス・ダンシング』という番組でもアイスダンスに挑戦して優勝していたのだ。

[写真]=Getty Images


 2004年1月に引退し、その年の年末に見事なスケーティングを披露したシーマンは、昔からアイススケートに馴染みがあったという。子供の頃から氷の上で滑っており、本気でアイスホッケーの道を進もうと考えた時期もあったそうだ。そのシーマンは、2006年の『ダンシング・オン・アイス』では優勝を逃したものの、その番組をきっかけにアイスダンスのツアーを周るようになり、一緒に出演していた女優フランキー・ポールトニーと愛を育んで2015年に結婚している!

 この『ダンシング・オン・アイス』という番組には他にもサッカー選手が出演しており、元マンチェスター・ユナイテッドのリー・シャープ、元チェルシーのグレアム・ル・ソー、元エヴァートンのケヴィン・キルバーンなどもフィギュアに挑戦した。

■アイスホッケー

[写真]=Getty Images


 シーマンはアイスホッケー選手という夢を諦めたが、アーセナルの後輩GKは最後まで夢を諦めなかった。それがチェルシーやチェコ代表でも活躍したペトル・チェフ(39歳)である。彼の母国である東欧のチェコはアイスホッケーが盛んで、とりわけチェフが生まれ育ったプルゼニはサッカーよりもアイスホッケーの方が人気だとも言われる町だ。そのためチェフも子供の頃からアイスホッケーをしており、サッカー選手になることと同じくらいアイスホッケー選手を夢見たという。

 そんなチェフは2019年にアーセナルで現役生活に別れを告げてチェルシーのアドバイザーに就任すると、同年10月にイングランド・サリー州を拠点とする「ギルフォード・フェニックス」というセミプロのアイスホッケーチームに入団。そしてデビューを果たしたのだ。もちろんポジションはゴーリー(GK)だ。決して一度きりの遊びではなく、チェフは現在もイングランド4部のギルフォード・フェニックスでプレーしている。

 アイスホッケーを愛するアーセナルOBは彼らだけではない。ヴィッセル神戸でもプレーした元ドイツ代表のルーカス・ポドルスキも、子供の頃にアイスホッケーをプレーしており、財政難にあった地元ケルンのアイスホッケークラブ「ケルナー・ハイエ」を助けるために「チケットが売れたらケルナー・ハイエと契約する」と公言。チームの財政危機を救って見せた。

 だが、アイスホッケーとサッカーの二刀流で最も有名な選手と言えば、“トゥンバ”の愛称で親しまれたスウェーデンの英雄、スヴェン・ヨハンソンだろう。アイスホッケーのスウェーデン代表として1964年インスブルック五輪で銀メダルを獲得するなど4大会に出場。スウェーデン代表の歴代最多ゴール記録を持つほどの名選手だった。もちろんトゥンバは、氷上だけでなくピッチ上でも優秀なプレーヤーで、サッカーでは国内の強豪ユールゴーデンに所属してサッカーのスウェーデン代表にも選出されたことがあるという。

 だが、それだけでは終わらない。トゥンバはアイスホッケーとサッカーを引退後にゴルフ選手に転向すると、プロ選手になってスウェーデン代表としてゴルフのワールドカップにも出場したそうだ。

 スイスには、今後が楽しみな二刀流もいる。それがFCチューリヒの下部組織に所属する15歳のFWダニエレ・トリヴェリン君である。トリヴェリン君は将来が嘱望される若手選手だが、それはサッカーに限った話ではない。彼は地元アイスホッケークラブの「デューベンドルフ」にも所属しており二足の草鞋を履いている。アイスホッケーではDFとしてプレーしており、両方のスポーツでスイスU16代表に選ばれているそうだ。

 ちなみに、2006年のトリノ五輪のアイスホッケーで金メダルを獲ったスウェーデンのダニエルとヘンリクのセディン兄弟(双子)も子供の頃は熱心なサッカー少年だったそうで、過去にサッカーのチャリティマッチでその腕前を披露したことがある。

 このように、氷上とピッチ上の二刀流を目指した選手は少なくないようだ!

(記事/Footmedia)

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