エクアドル戦で交代策が的中したヒッツフェルト監督 [写真]=Getty Images
全チームが2試合ずつを戦い終えたブラジル・ワールドカップ。大会の半分にあたる32試合を消化し、その中で生まれたゴール数は「94」で、1試合平均「2.94」ゴール。これは64試合制が採用された1998年大会以降で最多ペースだ。過去4大会の総得点数は以下。これを見ると、今大会がいかにゴールラッシュに沸いているかがわかる。
2010年南アフリカ大会(67ゴール/32試合 → 145ゴール/64試合、1試合平均2.27)
2006年ドイツ大会(75ゴール/32試合 → 147ゴール/64試合、1試合平均2.30)
2002年日韓大会(81ゴール/32試合 → 161ゴール/64試合、1試合平均2.52)
1998年フランス大会(80ゴール/32試合 → 171ゴール/64試合、1試合平均2.67)
さらに、ブラジルの地で際立っているのが「交代選手の貢献度の高さ」である。ここまで32試合、全94ゴールのうち、得点かアシストで途中投入の選手が絡んだ数は実に「23」。英国のサッカー雑誌『Four Four Two』のWebサイトによれば、前回大会の総数は全145ゴール中「23」。今大会は、折り返しに達した現時点で、すでに並んでいることがわかる。パーセンテージで見ても、前回大会は16%だったが、今大会は「24.5%」と、“サブ”の力によって生まれたゴールは急増している。
交代出場の選手が決めたゴール数はここまで「16」。その中には、印象的だったものも数多い。初戦で2-1とエクアドルを下したスイスは、途中出場のアドミール・メーメディとハリス・セフェロヴィッチのゴールで逆転に成功した。コロンビア2-1コートジボワール、アメリカ2-1ガーナでも、決勝点はそれぞれ途中出場のフアン・キンテーロ、ジョン・ブルックスのゴールだった。1-1で引き分けたロシア対韓国では、アレクサンドル・ケルジャコフ、イ・グノと両国ともに交代選手が試合を動かしている。
他にも、日本戦でディディエ・ドログバを途中投入したコートジボワールや、ボスニア・ヘルツェゴヴィナ戦でゴンサロ・イグアインを入れて3バックから4-3-3に途中変更したアルゼンチンなど、数字に表れない効果的な変更も多数見られた。
『Four Four Two』では、「移動や気候条件の厳しさ」や、「スカウティングやパフォーマンス分析が進歩して各国が様々な戦術オプションを持った」こと、さらに「参加選手全体のクオリティーアップ」などを“サブ活躍”の要因として挙げている。
さらに、ここまで2試合3ゴールをすべて交代出場の選手が挙げ、2連勝を飾ったベルギー代表のマルク・ヴィルモッツ監督が開幕直前に発したコメントを引用し、ワールドカップが全23選手による“総力戦”であることを強調している。
「私は試合に出ていない選手にも同じくらい集中している。サブの選手にも、スターターと同等レベルの意欲を示してほしい」
過去の大会以上に、今回は監督たちが“ジョーカー”を切るタイミングが重要になりそうだ。純粋なチーム力だけでなく、試合の流れをガラッと変える大胆さや柔軟性を持ち、全選手のモチベーションを高く保つことができる指揮官がいる国だ。大会後半戦は、ぜひ各指揮官の“ベンチワーク”にも注目してほしい。
(記事/Footmedia)