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【バイエルン】前人未到の5連覇に必要なこと

未だかつて、マイスターシャーレを5年連続で掲げたチームは存在しない。アンチェロッティ率いるバイエルンは、昇格1年目のチームのサプライズや不吉なジンクスを跳ね除け、金字塔を打ち立てることができるのか。後半戦の行方を占うのは、下位チームとの戦い方とクラブの“象徴”の起用法だ。
[ワールドサッカーキング2017年3月号増刊「2016-2017 ブンデスリーガ後半戦ガイド」]

新指揮官が抱える「攻撃」の問題


 2016-17シーズン前半戦はブンデスリーガ初参戦のライプツィヒが数々の記録を打ち立て、一時は首位に立った時期もあった。しかし、ウインターブレイク前の最後の試合、王者バイエルンはそのライプツィヒを直接対決で下して〝例年どおり?首位で新年を迎えることになった。

 一般のファンのアンケートでもバイエルンの5連覇を予想する声は多い。『kicker』誌が238人のブンデスリーガ所属選手を対象に行ったアンケートでも、84.5パーセントが「バイエルンが優勝する」と予想している(ライプツィヒが9.7パーセント、ドルトムントが5.0パーセント、それ以外のクラブが0.8パーセント)。この事実は重い。

 では、王者に死角はないのか。必ずしもそうとは言えない。最大の問題は「攻撃」にある。

 まずはジョセップ・グアルディオラが指揮を執っていた昨シーズンまでとの比較で考えてみよう。ペップが監督を務めていた3年間でバイエルンがリーグタイトルを一度も落とさなかった最大の理由は、攻撃面で絶えず進化を続けていたことにある。顕著だったのは14- 15シーズンだ。このシーズンは優勝したバイエルンから6位シャルケまでの直接対決の成績だけで見ると、2位に終わったヴォルフスブルクがトップで、バイエルンは6位に過ぎない。しかし、7位以下との対戦ではバイエルンが圧倒的な成績を残した。これが彼らがリーグ優勝を成し遂げた大きな要因でもある。

 ペップがポゼッションサッカーの信奉者であるがゆえ、彼が指揮していたバイエルンは常に同じような戦いを繰り返していたように思われがちだ。だが、ペップは対戦相手の分析に(他の監督と比べれば)異様なまでの情熱を注いでいた点を見逃してはいけない。対戦相手の特長を研究し、守備をいかに崩すかを分析した上で、戦い方を微調整していた。ポゼッションが前提なのは確かだが、崩し方については試合ごとに変化を加えていたのだ。

 しかし、カルロ・アンチェロッティ監督の場合は様相が異なる。意外に思えるかもしれないが、結果的にはアンチェロッティのほうがペップ以上に、自分たちの戦い方にこわだわっている。ペップが戦術面を重視しているのに対し、アンチェロッティは選手のメンタル面のケアに重きを置いている、と言い換えられるかもしれない。

 フランク・リベリーなどは指揮官についてポジティブなコメントを残している。「ペップ時代は頭でサッカーをやり過ぎていた。アンチェロッティは『やりにくさを感じることはないか』と、選手たちによく聞いてくれるからやりやすいんだよ」

 とはいえ、アンチェロッティが戦術面で柔軟性や多様性をもたらしていないという事実は確かに存在する。先に挙げた14-15シーズンの例からも分かるように、ブンデスリーガを制するカギは、力の差があるチームとの対戦でいかに勝ち点を取りこぼさないかに懸かっている。実際に、バイエルンはシーズン前半戦でドルトムントに敗れているが、16試合を終えた時点でドルトムントよりも12ポイントも多く勝ち点を稼ぎ出している。バイエルンと対戦するチームは一様に守備を固めてくる。その中で、その守備を打ち破る術を次々と授けてきたのがペップだったわけで、各チームと2回目の対戦を迎える後半戦に向けて、現指揮官の戦い方には不安が残る。

アンチェロッティ(左)には、「ミュラーを使いこなせていないのではないか」という疑念の声が上がる[写真]=Getty Images

アンチェロッティ(左)には、「ミュラーを使いこなせていないのではないか」という疑念の声が上がる[写真]=Getty Images

バイエルンの“象徴”ミュラーの処遇は?


 アンチェロッティの采配で話題となっているのは、シーズン序盤に採用していた「4-3-3」から「4-2-3-1」へとシステムを変更したことだ。ペップは以前、「フォーメーションなんて電話番号みたいなものだ」と布陣でサッカーを語る方針を切り捨てていたが、アンチェロテッティはそうではない。11月に入ってチームのパフォーマンスが下降線をたどると、12月に4-2-3-1に布陣を変更して年内の試合を全勝で乗り切った。これは一見すると順調なようにも見えるが、本当にそうだろうか。

 シーズン前半戦はある選手の処遇をめぐり、ドイツ国内で多くの議論が巻き起こった。トーマス・ミュラーの起用法だ。4-3-3を採用していた序盤戦、右ウイングの位置でプレーしていたミュラーは開幕からゴールを決められない日々を過ごしていた。しかし、指揮官がシステムを変更した12月2日のマインツ戦、4-2-3-1のトップ下に入ったミュラーはアシストを含む好パフォーマンスを披露。続く12月10日のヴォルフスブルク戦でついにリーグ戦のシーズン初ゴールを決めた。

 彼のパフォーマンスが向上したことは、ゴールやアシスト以外のデータにも表れている。サイドでプレーしていたマインツ戦前までのミュラーの1試合あたりの平均走行距離は11.4キロ、平均タッチ数は52.4回だった。それがトップ下でプレーした2試合ではそれぞれ11.9キロ、67.6回と、いずれの数値も向上しているのだ。

バイエルンは周囲の期待と要求どおりにマイスターシャーレを掲げることができるのか。? ワールドサッカーキング2017年3月号増刊「2016-2017 ブンデスリーガ後半戦ガイド」では、バイエルンの“象徴”であるミュラーの起用法に揺れるアンチェロッティ采配を分析します!/strong>

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