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初の栄冠を手にしたGK秋元陽太「支えてくれた方々に感謝しかない」

2018.10.27

初の栄冠を手にしたGK秋元陽太 [写真]=兼子愼一郎

 「いつも応援してくれているサポーターの方々の喜んでいる姿というのは、僕が一番させたかったことなので、本当に言葉が見つからなかったです。うれしかった」。

 試合終了のホイッスルが鳴り響いた瞬間、秋元陽太の目の前には、黄緑色に染まった景色が広がっていた。「みんなが笑顔になってくれるのはうれしいですね」と感慨深く言葉を紡いだ。

 ここまで決して平坦な道のりではなかった。ジュニアユース、ユース、プロと計12年間をトリコロールに身を包んでプレーした。横浜FMでのプロ6年間でJリーグ出場はわずか5試合。一学年上の飯倉大樹のことを“お兄ちゃん”のように慕い、ともに切磋琢磨した。

「飯倉選手は僕のお兄ちゃんみたいな感じで愛媛に行った時もメールをくれたり、人としてもすごくいい人。本当に感謝しかない。飯倉選手からは試合に対する姿勢、試合に出れなかった時の姿勢を学べたし、それが自分の経験として生きている。今、ベルマーレの若いGKにそれをしっかりと示さないといけないと思っているし、そのベースは飯倉選手、榎本哲也選手(現浦和レッズ)、シゲさん(松永成立/現横浜FM GKコーチ)の指導のおかげ。感謝しかないです」。

 しかし、2012年に出ることを決意。J2の愛媛FCへ移籍した。この時、秋元自身は「正直もうJ1ではやれないな」と思ったという。それでも移籍先の愛媛で試合に出続けたことで、2年でJ1の舞台へ復帰。そして湘南ベルマーレ、「明確に自分に足りないものが見えた」という苦しかったFC東京での経験を経て、J1初タイトルを“お兄ちゃん”よりも先に自ら手に入れた。

 指揮官からは3バックとGKの守備陣の奮闘をチームMVPと評された。「僕じゃなくて、3バックのほうを……」と謙遜しつつ、「本当にシュートが来なかったので。彼ら(DF陣)を信頼して先に動かなかったり、そういうところがうまくリンクしたと思う。変に力を入れるんじゃなくて、DFから漏れたボールに反応しようとした」とリーグ最多得点数を誇る古巣を無失点に抑えた理由を明かした。

 守備陣の奮闘があったからこそ、手に入れられた初の栄冠。それでも控えめな男は、何度も「感謝」という言葉を口にした。

「支えてくれた方々に感謝しかない」
「感謝しても足りない」

 これまでの苦労がようやく報われた瞬間だった。しかし、本人いわく「リーグ戦が中2日であるので、もう切り替えています。(優勝の余韻に浸るのは)もう大丈夫です(笑)」。取材エリアを後にする背中が、また一回り大きくなったように見えた。

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