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瀧澤千聖&中嶋淑乃のホットラインで2試合3得点…S広島Rの攻撃を彩る2人の信頼関係

2023.05.06

 FW中嶋淑乃が得点への意欲を燃やしてゴール前へ走り込む。その強い思いを理解しているFW瀧澤千聖は11番を信じてラストパスを託す。この2人の信頼関係がいま、サンフレッチェ広島レジーナの攻撃を彩っている。

 S広島Rの両翼が好調だ。左FWで絶対的な主力の中嶋は武器のドリブルに加え、3試合連続ゴールと得点力が開花。今季これまで6得点でチームの攻撃をけん引している。今季加入した右FWの瀧澤は攻守において持ち前のアグレッシブさを発揮。ここ2試合では中嶋の3得点を全てアシストし、調子を上げている。

 4月29日に行われたYogibo WEリーグ第15節のAC長野パルセイロ・レディース戦では前半に2点ビハインドという苦しい状況の中で、瀧澤と中嶋のホットラインが誕生。後半の立ち上がりに、瀧澤のアシストから中嶋が2ゴールを挙げて、引き分けに貢献していた。

 5月3日にホームで行われた第16節の三菱重工浦和レッズレディース戦でも、2人の連携からゴラッソが生まれた。32分、右サイドバックのDF近賀ゆかりが、中央で相手の背後を狙った中嶋へ浮き球のボールを送る。これは相手DFに跳ね返されたが、こぼれ球を瀧澤が収めてワンタッチで中嶋にボールを託す。

「セカンドボールが来そうだなと予測をしてポジションを取って、しっかりマイボールにできるように収めようと思っていた。自分の思い通りにトラップできたので、そしたら中嶋選手が鬼形相で呼んでいて(笑)。あれだけ呼ぶってことは(ゴールを)狙っているんだなと思ったので、『頼むよ』って感じでパスを出しました」(瀧澤)

 左サイドの中嶋は、「ゴール前でボールを受けてシュートを打ちたかった」と得点への意欲を燃やして中央へ走り込んでいた。瀧澤がボールを収めた瞬間、パスを要求しつつペナルティエリア右のスペースへ飛び出す。相棒からボールを引き出すと、冷静に周囲の状況を見極めて右足を一閃。GKの頭上を抜く豪快なシュートを突き刺した。

「千聖がいいボールを出してくれると思って動き出しました。千聖からパスを受けたとき、意外と相手DFがガツっときているわけではなかったので、落ち着いてゴールやGKの位置をよく見て蹴れました」(中嶋)

 S広島Rの新たな武器になっている瀧澤と中嶋のホットライン。その秘訣は2人の信頼関係だ。2人は普段から仲が良く、練習場や試合会場でもよく一緒に行動している姿が見られる。その仲の良さがピッチでも表れているようだ。

 瀧澤は、「一緒にいる時間が長いので、サッカーの話もすることが多い。試合の振り返りを一緒にしたり、Jリーグや海外の試合の映像を持ってきて『このシーンよくない?』、『これできそうじゃない?』って話をしたりするので、イメージはよく合うと思います」と明かす。中嶋も「千聖が持ったらこっちも信頼して、いいボールが来るって信じて走っています」と絶大な信頼を寄せている。

 さらに、瀧澤は右FWを主戦場としているが、第14節の日テレ・東京ヴェルディベレーザ戦と第15節のAC長野戦ではトップ下でプレー。普段は逆サイドの中嶋とピッチで絡む機会が多かったことで、上り調子のきっかけをつかんだようだ。

「(トップ下では)中嶋選手と関わる回数が今までより多かったので、どういうボールが欲しいかがより理解できるようになった。そこは右サイドでプレーしても、あまり関係なく、もっと関わりにいけたらいいと思います」

「個人的にはすごく自由にやらせてもらっていますし、自分のプレーが出せている実感はある。残りの試合で勝てるように、チームのために自分のプレーをもっと出していきたい」

 S広島Rはこの6試合で4分2敗と勝ち星から遠ざかっている。それでも、瀧澤や中嶋の生き生きとしたプレーが象徴するように、チームの攻撃面は少しずつ改善してきた。今季はこれまでセットプレーからの得点が多かったが、直近3試合はいずれも流れからの得点で計5ゴールを記録している。

 その全5ゴールに絡んでいる中嶋は自身の好調理由について、「誰かがボールを持った時にゴール前に走り込めていて、そこはチームとしてやりたかった攻撃が実ってきているし、いいボールも来ている」とチームの連携が高まっていることを挙げている。

 今シーズンは残り4試合。S広島Rとしては、まず未勝利のトンネルから抜け出したいところ。そのカギを握るのは瀧澤千聖と中嶋淑乃の両翼コンビ。2人が彩る攻撃を勝利へとつなげたい。

取材・文=湊昂大

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