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S広島R、サポーターとつかんだホーム初勝利…1G1AのFW谷口木乃実、観客の応援「心に響いた」

1得点1アシストの活躍だった谷口木乃実 [写真]=WE LEAGUE

 手をつないで横一列に並んだ選手たちがスタンドに向かって飛び跳ねると、スタジアムは歓喜に沸いた。サンフレッチェ広島レジーナが待望のホーム初勝利をサポーターとともにつかんだ。

 サンフレッチェ広島のクラブ創立30周年を迎えた4月24日、レジーナはホームの広島広域公園第一球技場で行われたYogibo WEリーグ第18節で大宮アルディージャVENTUSと対戦。3-0で完勝し、リーグ戦ホーム初白星でクラブの記念日に華を添えた。

 サポーターの存在が勝利の原動力となった。レジーナは新型コロナウイルスの影響でサポーターとの距離を縮められない状況が続いていたが、大宮V戦の前日にチーム発足後初となる公開練習を実施した。集まった200人のサポーターが選手たちの一つひとつのプレーに拍手を送り、ときには感嘆の声を漏らして練習を盛り上げた。中村伸監督が「公開練習は選手たちの顔が全然違った。練習でも普段見られないようなスーパーなプレーをたくさん出してくれた」と振り返ったように、肌で感じるサポーターの反応が選手たちの大きな刺激となった。

 前日から後押しを受けたチームはホームで躍動した。試合を通じて終始相手ゴールに迫り、放ったシュートは16本。守っては前線からのプレスや中盤でのボール奪取がはまって70分ごろまで相手にシュートすら打たせず、攻守にわたって大宮Vを圧倒した。指揮官も「自分たちの積み上げてきた形で表現しよう、勇気と自信を持ってやろうと話して試合に入り、それを攻守両面でブレることなく発揮してくれた」とチームの戦いぶりを称えた。

 その中でも3トップ中央に入ったFW谷口木乃実の活躍が光った。2試合連続で先発したストライカーは常に相手の裏のスペースを狙って脅威になり続けた。守備でも献身的にプレスをかけて、最前線からチームをけん引。90分間ハードワークを続けて、2ゴールに絡んでチームを勝利へと導いた。

 最大の見せ場は37分。右サイドバックのDF松原優菜が敵陣でボールを持った瞬間、谷口が手を挙げてアピールしつつペナルティエリアへと走り出した。「試合前に優菜が『左足で持ったら裏に蹴る』って言っていたので、それは積極的に狙っていこうと思っていた」。松原の絶妙なパスに反応し、体を投げ出しながら懸命に左足で触ってゴールネットを揺らした。

 狙いどおりの形だった。今季2点目を決めた谷口は、「常に裏に抜ける準備はしていたし、今日はそれを何回も繰り返そうと自分の中で思っていたので、それがゴールにつながったシーンだった」と振り返った。中村監督も「自分の特徴を最大限出して、いい形で彼女らしい得点だった」と賛辞を送る一発だった。

 この先制点がチームをさらに勢いづけた。45分には相手のハンドで得たPKをFW上野真実が決めて前半のうちにリードを広げる。後半に入っても主導権を握り、62分には谷口がクロスでFW中嶋淑乃の大きな追加点を演出。チームは開幕戦以来の3得点で鮮やかな勝利を収めた。シーズン後半戦4連敗スタートという厳しい状況から一転して、2試合連続のクリーンシートで初の連勝を飾った。

 1ゴール1アシストの活躍を見せた谷口はサポーターの存在を力に変えていた。「前日にたくさんの方々が来ていただいて、シュート練習ではいつもの2、3倍ぐらい多く入っていたので、サポーターの力を実感しました」。試合当日もホームで勝利の喜びを分かち合い、「すごく盛り上げてくれたので、心に響きました」と感動していた。

 中村監督も試合後の会見では真っ先に、「今日もたくさんのサンフレッチェファミリーのみなさんがスタジアムに足を運んでくれて、背中を押してくれて、選手たちがさらに力を発揮できる環境を作ってくれた」と感謝を示した。2日続いたホームの雰囲気が確かにレジーナの力となっていた。

 まだ新型コロナウイルスの影響により、スタジアムで声を出して応援ができず、選手との交流も難しい。どうしてもチームとファンの間に距離ができてしまう状況だ。それでも、大宮V戦はファンの存在が選手たちの力になることを証明した試合だった。スタジアムが歓喜に沸いたホーム初勝利は、チームとファンが一緒につかんだクラブ史に残る1勝となった。

取材・文=湊昂大

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