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塩貝健人が鮮烈デビュー! 「結構ストライカーだなと」伊東純也ら先輩も一目置く21歳、一気に“スターダム”を駆け上がるか

2026.03.29

日本代表FW塩貝健人 [写真]=ムツ カワモリ

 FIFAワールドカップ2026の出場国スコットランド代表とのアウェイゲームは、日本代表にとって数少ない貴重なテストの場。ハムデン・パークでの一戦で、森保一監督はさまざまなチャレンジに打って出た。

 代表キャップ数10以下の若手をズラリとスタメンに並べたと思えば、後半から三笘薫や伊東純也、堂安律ら主力級アタッカーを次々と投入。三笘と堂安をシャドーに並べて攻撃のギアを上げると、後半33分からは鎌田大地と塩貝健人を投入。鎌田をアンカーに据え、伊東、堂安、三笘、中村敬斗を2列目に配置。最前線に上田綺世と塩貝を2トップにする超攻撃的なシステムで強引に点を取りに行き、後半39分に勝ち越し点を挙げることに成功したのだ。

 決勝点のシーンを振り返ると、橋岡大樹の縦パスが伊東に通ったのが始まりだった。背番号14は中央にボールを運びながら、上田に預けてリターンを中村敬斗に展開。そこから三笘、鈴木淳之介とパスがつながった。次の瞬間、左サイドから鈴木の鋭いクロスが入り、これを塩貝が確実に落とし、最終的には伊東がゴール。“ルーキー”塩貝がいきなりアシストを記録する離れ業をやってのけたのである。

「あのシーンはマークの外し方が完璧だったんじゃないかなと。相手の前にいいように入れて、あとはボールが来たら触るだけだった。左足に来たので、トラップして反転シュートか落としかという選択で落としで行きましたけど、アシストがついたので、悪くない結果だったと思います」と本人もしてやったりの表情を浮かべた。

 一目散に飛び込んできた伊東の動きが完璧に見えていたというから、余裕がある証拠だ。初代表の重圧などは一切感じなかったのだろう。「短い時間で結果を出せるのはもともとの実力かな」とビッグマウスを見せるあたりも彼らしいところだ。

 塩貝が慶應義塾大学からNECを経て、欧州5大リーグのヴォルフスブルクへと駆け上がり、W杯メンバーに手をかけるところまで一気に上り詰めてきたのには、やはり理由がある。彼には速さやアグレッシブさという長所に加え、今どきの若者には珍しい“ガツガツ感”がある。そのマインドは何物にも代えがたい貴重な要素と言っていい。

「正直、与えられている時間が少ないとは思いますし、もっと長いプレータイムを与えてくれたら、もっと結果を残せると思っています。ただ、代表に限っては、今回は妥当な時間配分だった。チームだったら『もう少し欲しい』ということになりますけど、実績が少ない中で15分くらいもらえて、勝利に貢献できたんで、よかったなと思います」と塩貝はストレートに本音を吐露するのだ。

 こういった鼻息の荒さは、かつての本田圭佑や岡崎慎司に通じるところがある。彼らも決して洗練されたプレーヤーではなかったが、泥臭く逞しく戦い、ここ一番で結果を出してスターダムにのし上がってきた。塩貝はその系譜を継ぐべき人材なのかもしれない。

 殊勲の伊東も「結構ストライカーだなと。自分を持っているなと思うし、フィジカルも強いものがある」と絶賛していたが、確かに塩貝はピッチ内外で異彩を放っている。だからこそ、今回のキャプテン堂安律も特別に目をかけているのだろう。年長者たちに可愛がられるキャラクターも含め、塩貝には非常に将来性があるのだ。

 初キャップを踏んだ記念すべき一戦で上田と2トップを組んだことも一つの収穫と言える。塩貝は1トップ、もしくはシャドー要員と見られていたが、不慣れな2トップを十分にこなせることを実証した。それは今後の代表定着、生き残りを見据えても、大いに意味あることなのだ。

「2トップを今までやったことがあるのかどうかも分からない。たぶんないと思いますけど、戸惑いはなかったですね。コンビを組んだ上田選手はいい選手ですし、ストライカーの一番手。ヘディングも強いし、そこでスラしてくれて、僕が裏を走れたらチャンスになると思う。上田選手の強さと僕の速さ、その2つを合わせてうまく生かし合えれば、必ずチャンスは作れる。次はそういう形ができればいいと思います」と新たなオプションをもたらせる自信をのぞかせた。

 多彩な起用法に対応してくれる選手であればあるほど、森保監督がW杯メンバーに選ぶ確率は上がる。実際、この日の決勝弾を叩き出した伊東もボランチより前なら全てのポジションをこなせるくらいのマルチな能力を示している。そういったいい見本を参考にしながら、塩貝はできることを増やしていけばいいのだ。

 最高の一歩を踏み出した21歳のアタッカーが次戦のイングランド代表戦に抜擢されるかどうかはまだ分からないが、強豪相手に何かやってくれるのではないかという期待感があるのは確か。いずれにしても、伸び盛りの塩貝がいかにして大化けしていくのかを、我々は興味深く見守っていきたいものである。

取材・文=元川悦子

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