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「岡山浮上の起爆剤になります」宣言通りのチーム得点王&日本代表入り…18歳MF佐藤龍之介は森保ジャパンに新風を吹かせられるか

2025.06.02

岡山MF佐藤龍之介 [写真]=J.LEAGUE

 2026年北中米ワールドカップの出場権をいち早く獲得し、アジア最終予選ラストとなる6月のオーストラリア代表戦、インドネシア代表の2連戦から本格的なサバイバルがスタートする。森保一監督もそれを意識し、今回はパリ五輪世代以下の若手を大量招集。初招集は7人に上っている。

 最年少は18歳MF佐藤龍之介ファジアーノ岡山)。2028年ロサンゼルス五輪世代注目のアタッカーだ。16歳だった2023年8月にFC東京のトップに昇格し、同年のU-17W杯(インドネシア)に参戦。2024年夏にはパリ五輪のトレーニングパートナーも務めている。大岩剛監督も「五輪本大会に連れていきたかった」と言うほど、非凡な攻撃センスで見る者を魅了した。

 しかし、昨季まで所属したFC東京では出場機会を得られなかった。特に2024年は「開幕からメンバー入りが期待できるような立ち位置でキャンプに臨めたんですけど、全然使ってもらえなかった。練習でいいパフォーマンスを見せて『次の週は絶対に入る』と確信を持てても、結果的には外されました」と本人は年代別代表の合宿に来るたびに苛立ちを募らせていた。

 苦境から抜け出すべく、佐藤は今季に懸けていた。FC東京に残って勝負する選択肢もあったが、「一度外に出て、自分の価値を上げることも大事」と判断。J1初参戦の岡山で新たな一歩を踏み出す決意を固めた。宮崎キャンプの際、彼は「岡山浮上の起爆剤になります。みんながテレビをつけて見たくなるような選手になりますよ」と力強く宣言。ギラギラ感を前面に押し出し、新たな環境で2025年シーズンをスタートさせた。

 当初は3-4−2−1布陣のシャドーの一角で使われると思われたが、木山隆之監督は主に右ウイングバックで起用。そこで着実にゴールを重ね、存在感を高めていった。「点を取るとか点に絡む選手、その能力がある選手は、どこに置いてもゴールに絡める。我々は今までウイングバックに推進力のあるタイプを置いてきたが、龍之介には守備のタスクは与えているものの、攻撃はもっとダイナミックに自由にやっていいよという話をしている」と指揮官は語っていたが、その意図をしっかりと理解し、得点を重ねてきた。

 直近のJ1第19節・湘南ベルマーレ戦でも、現時点でのチーム最多となる今季4点目を奪っている。ボランチの田部井涼から鋭いパスを受けた背番号39は、ドリブルで中に持ち込んで左足を一閃。DF2人に当たってネットを揺らすという幸運もあったが、右ウイングバックの佐藤らしいダイナミックと決定力が凝縮されていた。

「しっかり自分のスペースがありましたし、あそこは仕掛ける場所なので、ボールをいい位置に置けて、足を振れてよかったです。僕はもともと真ん中の選手なので、サイドに行っても中に入っていく仕事は可能ですし、自分のプレーを出せているかなと思います。監督からも『自由にやっていい』と言われていますし、自分が考えてゴールに近づけるプレーなら自由にやっていこうと思います」と本人も自信満々にコメントしていた。

 トップ下やシャドーを主戦場にしつつも、右ウイングバックで新境地を開拓しつつあるという意味では、日本代表の先輩・堂安律に通じるところがある。佐藤は「自分と照らし合わせて見たことはないです」とあくまで自身を研ぎ澄ませることにフォーカスしているそうだが、森保監督にしてみれば、多彩な役割をハイレベルにこなしてくれる人材は有難いだろう。初代表となる今回の2連戦に向けても、佐藤はポジションにこだわらずチャレンジしていく構えだ。

「18歳の段階で勝負するポジションを決める必要はないと思ってますし、自分は本当にどこでもいい。(ウイングバックの)右でも左でもいいくらいなので、こだわりはないですね。代表にはすごい選手がいっぱいいますし、自分が成長するチャンス。試合に出て活躍することをイメージしながら取り組んでいきます」と岡山でのプレーと同様に、指揮官から求められるタスクを最大限こなしつつ、得点力とチャンスメークというストロングを存分に発揮していくつもりだ。

 その代表の舞台には、5つ年上のFC東京の先輩・久保建英もいる。久保と面識はないというが「僕が中1だった2019年のFC東京が強くて、毎週のようにスタジアムに行って試合を見ていたんですけど、そこで活躍していたのが久保選手だった。憧れの選手なので、(一緒にやれて)非常に嬉しい気持ちがありますね」と18歳の若武者は笑みをのぞかせた。久保も18歳だった2019年6月のエルサルバドル戦(宮城)で初キャップを飾っているが、佐藤も同じ系譜を歩めるのか……。キレキレの今の彼なら、代表戦のピッチに立てる可能性は十分にある。まずはその一挙手一投足に注目したいが、ぜひとも森保ジャパンに新風を吹かせてほしいものである。

取材・文=元川悦子

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By 元川悦子

94年からサッカーを取材し続けるアグレッシブなサッカーライター。W杯は94年アメリカ大会から毎大会取材しており、普段はJリーグ、日本代表などを精力的に取材。

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